キラキラorダイ?新感覚魔法少女ノワール〜魔法少女と麻薬戦争

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魔法少女、キラキラのコスチュームと華やかな必殺技がウリの女児向けヒーロー。
そんな彼女たちに、ダークな側面が加わったのはやはり『魔法少女まどか☆マギカ』の力が大きいだろう。
『まどマギ』のヒット以降、ハードな世界観を主軸とした「大人の魔法少女モノ」は数多く作られてきた。

今回ご紹介する『魔法少女と麻薬戦争』(原作: 野宮有/漫画: メイジメロウ)も、そのまま魔法少女モノに裏社会の抗争をミックスした、「暗黒魔法少女モノ」だ。魔法少女と麻薬戦争、絶対に日曜朝には放映できない組み合わせ。
一体どんな世界がページの向こうに広がっているのか。今日はその魅力に迫ってみよう。

目次

ほとばしる血!暴力!そして魔法!仁義なき魔法大戦その実態

突然だが皆さんは小説、『テスカトリポカ』をご存知だろうか。南米麻薬カルテルの抗争を発端に、血と暴力のループが描かれるノワール小説だ。主人公は運命に導かれるように世界をめぐり、死と暴力によって物語を紡いでいくのだが、そこに医療や信仰など本来黒社会モノには関係なさそうなテーマが絡み合うのがこの作品の魅力だ。
いきなり何の話かと思われたかもしれない。実は、今回ご紹介する漫画『魔法少女と麻薬戦争』も、ノワールに全く関係ない要素が絡み合うことで、作品世界が思わぬ方向に転がっていく…そんな作品なのだ。
では早速本作の内容を紹介していこう。

舞台は特殊な麻薬「キャンディ」が蔓延した現代日本。主人公煤井は、「キャンディ」密売組織を追う潜入捜査官だ。ヤクザに潜入中、正体がバレて絶対絶命に陥った煤井を救ったのは、奇妙な技を使う女の子は魔法少女だった。ある事情から「キャンディ」を憎む二人は手を組み、麻薬組織壊滅に乗り出すというのがざっくりとしたあらすじ。

そこに、「キャンディ」を扱う各組織が入り乱れ、文字通りの麻薬戦争に発展していくというわけ。魔法少女と麻薬戦争。まあ考えなかった人間はいないだろう。いないだろうが、本当に漫画にするヤツがいるとは思えなかった。
そんなむちゃくちゃさが際立つ本作。しかし、出オチのインパクトだけで続けられるのか?あらすじを聞いていて、そう思った方も多いだろう。
実は、本作の魔法少女要素、意外にもしっかりと作品世界に食い込んでくる。次のパートでは、本作の重要要素「魔法少女」について深掘りしてみよう。

設定は出オチじゃないんだ?加速するノワール、そして拡大するバトル!

その組み合わせ、本当にやるとは……なファンタジーノワール『魔法少女と麻薬戦争』。
『まどマギ』に連なる、ダークな世界観の魔法少女モノ。といえばそれまでだが、麻薬戦争はさすがにアウトローがすぎる。
チャレンジ精神旺盛な本作だが、それゆえに、こう思われた方も多いのではないだろうか。「出オチじゃないの」と。明らかに場違いなアウトローの抗争に、魔法少女を放り込み、その違和感を楽しむ。
本作にもその手法が使われているのは否めない。
しかし、本作は早々に魔法少女と潜入捜査官に手を組ませ、騒動の根幹、キャンディの密造者たちに迫っていくのだ。この切り替えの速さには私も少し驚かされた。
もう少し、「魔法少女」が世界から浮いている様で従来の漫画なら引っ張っていただろう。しかし、本作は突然黒社会に現れた魔法少女のインパクトもそこそこに、彼女の目的や「キャンディ」蔓延の黒幕をさっくり明らかにしてしまう。

この騒動の黒幕、キャンディを作り、売り捌いていたのはなんと「魔法少女」たち。なんの変哲もない飴に魔力を込めることで、普通の人間にとっては麻薬のような効能をもたらす菓子を作っていた、というのがひとまずこの騒動の真相だ。
主人公と共闘する魔法少女は、麻薬カルテルに堕ちた仲間と袂をわかち、彼らを潰すために独自に行動していたというわけ。ここより、主人公たちの戦いは、対アウトローに加え、その裏にいる本丸、魔法少女麻薬カルテルとのものに急ハンドルを切っていく。
これはなかなか奇抜な展開だ。だが、ここから本作における魔法少女は単なる出オチ要員ではなく、物語を駆動する存在として、存在感を強めていく。

ちなみに、以降カルテル側の魔法少女も登場し、異能力バトルものの要素も帯びてくるのも、本作の見どころのひとつ。ここは掲載誌であるジャンプ+のお家芸と言ったところ。また、魔法少女たちが使う「魔法」は種類も効能も様々で、使用範囲の制限もあり(ジョジョの「スタンド」を思い浮かべてもらえればわかりやすい)、単純な力と力のぶつかり合いとはならず、基本頭脳戦となる。
ここも、本作の面白さのひとつ。「大人の魔法少女もの」の面目躍如といったところだろうか。

加えて、主人公チームは常人を超えた「フィジカルな強さ」を持つ主人公と、補助系の能力を使う魔法少女のバディでもあり、魔法少女単体よりもフレキシブルな戦闘が可能だ。
序盤は微妙に息の合わないふたりだが、作品が進む中で「ふたりのバトルスタイル」を確立しつつある様子。主人公チームのバディとしての成長も、黒社会や魔法少女たちとのバトルに加えて、本作の見どころとなりそうだ。

魔法少女と麻薬戦争

さて、今回ご紹介した『魔法少女と麻薬戦争』は、『まどマギ』に連なるハードな世界観を持った大人の魔法少女モノだ。事実、本作もジャンプ+の掲載作品でありながら、かなり残酷で暴力的なシーンを含むなど、そういう意味ではあまり人に勧めづらい作品でもある。
だが、それゆえに「魔法」「魔法少女」といったファンシーな要素が目を引く作品。またそうしたファンタジー要素が作品にガッツリ絡んでくるのも見どころだ。本作はまだ連載が始まったばかり、ここからどう作品世界が広がっていくのか、気になった方はぜひチェックしてみてほしい。

(C) メイジ メロウ・野宮 有 / 集英社

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