MENU

まっしろさん

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。
  • URLをコピーしました!

H急電車は大阪人の大事な足として、毎日たくさんの乗客が利用しています。
しかしその中にはとんでもないモノも含まれている・・・かもしれません。

目次

ある日の出来事

20年以上前、私はH急電車で大学に通っていました。
ホームには急行列車が停車していますが、大学がある駅には普通列車しか止まりません。

私が乗った普通列車は、急行のあとに発車しました。
少し疲れていたので、ガラガラの座席の隅っこでうつらうつらしていると隣に誰かが座る気配して、その人はぴったりと私の太ももに足をくっつけて座ってきます。

とっさに『これは痴漢だ』と思って、すぐに逃げようとしたのですが、異常なほどの石鹸の香りに硬直。
大学でうわさに聞いたことがある、都市伝説の「まっしろさん」だと直感しました。

まっしろさん

「まっしろさん」は私達の間で噂されていた名前なので、他にも呼び名があるかもしれません。
他にも「あの白いやつ」とか、濁して言われてたと思います。

そして、狙われるのは若い女性で、遭遇したら、ぜったいに顔を見ないで逃げなければならない。
なぜなら「まっしろさんは」は顔をまっしろに塗っていて、顔を見たら自分もまっしろに塗られる。

そのしろい何かは、洗っても落ちることはなく、何回も何回も石鹸で顔を洗っていくうちに、段々顔は腐っていく。
腐った顔を隠すために顔をまっしろに塗りたくり、「洗顔して、おしろいを塗る」を繰り返すうちに、体から石鹸の匂いがするようになり、いつしか、まっしろさんとなってしまうと言われていました。

私は恐る恐る、自分の足の方向に目線を向けながら薄目をあけました。
私の足に体を密着させている人は、まっしろなズボンをはき、手にもまっしろな手袋をしています。
そして頭が痛くなるような石鹸の匂い、石鹸系の香水の香りではありません。どうしたらこんなに濃縮できるのかわからない、牛乳石鹸の強い匂いでした。

追いかけてくる怪異

「顔を見ないように席を立って、隣の急行列車に逃げる」
それ以外思いつきません。

プルルルルル・・・・。
列車が発車するベルが聞こえた瞬間、私は立ち上がり駆け出しました。
同じ列車に乗っていた人たちが驚きの声を上げましたが、構う余裕はありません。

ホームを横切り、反対側に停車している車両に駆け込み、ドアを開けて、前の車両、前の車両と走り抜けました。
ここまでくれば安全だろうと、後ろを振り向きたしかめようとすると、「うわぁ!」「きゃあぁ」という悲鳴が聞こえてきます。
どうやら、まっしろさんは私を追って列車に乗ってきたようです。

私にしか見えないというわけではなかったという安心と、まっしろさんを見てしまったであろう、列車の乗客に罪悪感を同時に感じました。
私は焦りました。結局同じ列車に乗っているのですから追いつかれてしまう。

その時、「◯番線の列車が先に発車します」というアナウンスが聞こえました。
救いとしか言いようがありません。

私は列車の先頭ドアから飛び降りるようにホームに出て、今まさに閉まろうとする、となりの列車に体をすべりこませました。
背後でドアは閉まり、その場でへたり込んでしまった。
『よかった助かった』
駆け込み乗車に対する非難の視線を感じたのですが、それでも私は安心していた時です。

「バン!!!!!!」

すごい勢いでドアに何かが当たる音と衝撃があり、車中から声にならない悲鳴が聞こえます。
私は恐怖でしゃがみこんだまま、顔を伏せ、目を閉じました。

助かったでしょうか?

列車が調子よく動き始めてから、やっと顔を上げましたが、車内の空気はまだ凍り付いたまま。

「〇〇さん、大丈夫ですか?」
声をかけてきたのは大学の後輩のA君でした。

「あれなんですか?なんかまっしろい顔してる変な奴でしたけど。痴漢だったら警察に行った方がいいんじゃないですか」

A君はまだ入学して間もないので、まっしろさんのことを知らなかったようです。
私は説明しようか悩みましたが、結局何も言いませんでした・・・言えません。

「・・・大丈夫。ありがとう」

A君に支えられて、やっと立ち上がることができました。

「なんだあれ、めっちゃおもろい!」

A君はドアのガラスを指さして笑っています。
そこには顔の形がよくわかるほど、鮮明におしろいが残っていたのでした。

終わらなかった事

私はバス通学に変えました。
まっしろさんに遭遇したことは、誰にも言いませんでした。
あの日、巻き込まれて、まっしろさんを見てしまった人がどうなったのかが不安だったから。

まっしろさんを見てしまったA君、姿を見せなくなったので不安で仕方ありませんでした。
しばらくして、親しい大学の先生の話では。

「同じ学部のA君って知ってる?実はお母さんから家に引きこもってしまったって連絡があってさ、ちょっと心配で家に行ったんだけど・・・・」
「部屋の外から『顔見に来ただけだよ』って言ったらさ、『ぎゃぁぁ!』って叫び声が聞こえて、そのまま帰ってきたんだ。多感な時期だから顔にコンプレックスがあるのかな?」

まっしろさんがまた一人増えてしまったのでしょうか?

・・・お伝えしておきながら何なのですが、私はあの白いのは怪異ではなく、ただの本当にヤバイ人間、だと思うようにしてきました。そうでないと怖いので。

※画像はイメージです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次