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心のなかで冥福を祈った

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私が社会人になりたての頃、父母と妹と私の4人で少し古いマンションに住んでいました。
今考えても気味の悪い話です。

目次

体調不調

当時努めていた会社はかなり残業が多く帰宅はいつも24時を超え、出勤も朝7時と激務をこなし、そのため体調を崩してしまったようで、熱はないのですが咳が止まらなくなってしまいました。

両親の勧めもあって病院へ行って診断してもらい、薬を貰って飲んでいたのですが、咳は酷くなる一方で眠れない日々が続き疲弊していきましたが、仕事を休む訳にはいきません。

エントランス

ある日、フラフラになりながら、マンションのエントランスホールでエレベーターを待っていた時。
古いながらもデザイナーズマンションらしく、ホールを広く見せるデザインとして壁中いたるところに大きな鏡がついていて、私の背後を映し出している一枚に女性の姿が見えました。

お互いにこんな時間まで大変だなと、挨拶しようと振り向くのですが誰もいません。
「チーン」と到着した音がして、エレベーターに乗り込んでホールを見回しても誰もいません。
「だいぶ疲れているんだな」・・・・と思って帰宅したのですが、実はそんな事ではなかったのです。

仕事での出会い

依然として咳は止まらず、フラフラとしながら仕事を続けていると、新しい派遣社員の人が配属されたのですが、どうやら、その人は前職が占い師だったというのです。

私が挨拶すると小声で「肩に女の人がついてるよ。すぐにお祓いに行った方が良いよ。」と出会い頭に言われました。
正直、不気味な人と思いましたが瞬く間に職場で占いがよく当たると噂が広がり、もしかしたらと藁を掴むような思い出相談しました。

話を勧めていくうちに住んでいるマンションに違和感を感じると言い出し、彼女の調べによれば、結核病院の跡地だったそうなのです。
昔の結核は治療法が確立していなかった為、入院した人の殆どの方が亡くなってしまっていた・・・この一言で背筋が凍りました。
いくら病院へ行っても薬を飲んでも咳が止まらない理由なんじゃないかと。

原因はやはり

次の休みの日、彼女は遊びにくるついでに原因を探ってくれるとマンションにやってきたのですが、エントランスに入って唖然としました。
壁についているいくつかの鏡が合わせ鏡となって悪影響を及ぼし、そこにたまたま波長があった私に無念の死を遂げた人の霊がとりついたという訳らしい。
その後、言われた通りのお寺でお祓いを受け、お札と数珠をいただいてからは謎の咳も嘘のように収まったのです。

後日、彼女がもうすこし原因を調べてくれて、地元の図書館に結核病院の事が載っている古い本を見つけ、患者さんの写真に私にそっくりな人を見つけたと教えてくれました。
その人がどのような人生を歩んだかは解りませんが、きっとさみしい思いをして亡くなったのでしょう。

私は塩とランデスでそっと手を合わせ、心のなかで冥福を祈りました。

※画像はイメージです。

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