MENU

真夜中の訪問者

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。
  • URLをコピーしました!

私には小さい頃のトラウマがある。
小学三年生の夏、祖父母宅に泊まった時の不思議な体験が、今も頭の片隅にこびりついている。
いとこと、叔母、叔父、父親で祖父母宅に宿泊した。お盆であったため、心霊番組が夜テレビでやっており、固唾を飲んでテレビを見ていた。丁度、叔母が「いい?夜中、この家の中で足音が聞こえたら、霊感があるんだよ?聞こえなかったら、霊感はないの。今夜、聞こえたら、明日教えてね」と、不思議な事を言い出した叔母。

私は、普段泊まり慣れていない祖父母宅に来たことを、後悔しており、自宅に一刻も早く帰って安心したい気持ちでいっぱいだった。
従兄弟が、「一緒に寝ようよー!」と言ったため、叔父、従兄弟、私の順に川の字で布団を敷いた。祖父、叔母、父は仏間の近くで布団を敷いて寝ることになった。
祖母は当時亡くなっていた。

夜中の2時過ぎ、私は従姉妹の寝相が悪く、顔を蹴られて起きたのだった。
たまたま目を覚まし、こんな時間に起きてしまった…目も冴えてしまい、布団の中で過ごしていた。昨晩見た心霊番組の映像が甦り、さらに恐怖を掻き立てる。
怖いが、目を瞑ればすぐに眠れる。大丈夫と言い聞かせて、寝ようとしたところ…。
ガラガラガラガラガラガラ。
鍵の閉まっているはずのドアが、開いた。
ドアが、開きびっくりして動けなかった。

「え?どうゆうこと?ドア開いたー!」と、近くで寝ている叔父を起こしたが、起きず。従兄弟も全然起きない。障子一つで区切られた部屋の向こうの玄関が、勝手に開いた?ありえない、ありえない。なんて頭の中は恐怖MAX。次の瞬間、ドン!ドン!ドン!ドン!!っと、足音が聞こえたのだ。
足音がしっかり聞こえ、玄関、リビングに行き、大広間から階段を登り二階を一周してきて、他の部屋のドアが開く。
またぐるぐる歩きだし、玄関付近まで戻ってくるのを二時間近く繰り返した。まるで、怒りに怒った人が歩くような、糠漬け石を思いっきり床に落とすような足音だった。

そんなうるさい音に、誰も起きる様子はなかった。金縛りにはならなかったため、父親の寝ていた仏間に走り、父親の布団に入り込んだ。「どうした?」と父に聞かれたため、足音が聞こえて怖いことを伝えて、布団の中で震えていた。
早く朝が来い!朝になれ!朝が来い!と心の中で唱えていた。
夜が開け始めた朝5時頃、玄関のドアが空き、足音は消えていった。
同時に父が「もういったよ、安心して」と私に言ってきた。

私は足音が聞こえて怖くて泣きそうだったが、父にもその足音が聞こえていたことの方が怖かった。
糠漬け石が普通に落ちた音なら全員起きるはずなのに、起きなかった親族たち。父には聞こえていた足音。そして、自分にも聞こえてしまったこの足音。全てが理解できた時に、初めて体の底から恐怖を感じた。
私にも、霊感あったんだな…。
怖すぎる一夏の体験だった。

もこ
30代女性

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
評価やコメントをお願いします。

※画像はイメージです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次