友人A子は、母方がイタコさんの家系で見えちゃってるらしい。
私は霊感が強いとか自覚はないのですが、彼女いわく充分「見えちゃってる人」らしいです。
仲良くなったのは遠足でお宮さんに行った時、なにか変な気配を感じて、なにもない場所をぼんやりとみつめていると、急に「あれ大丈夫。見えてんだねー」と話かけられたのがきっかけ。
それから、幽霊のこととか、色々と知ることになったのです。
B君の話
これは中校生の頃の話で、私はその頃、同級生のB君が好きでした。
どうしても気持ちを伝えたいと思ってA子に相談すると、B君は危ない事に巻き込まれる家系だから、関わらないほうがいいと言ってきたのです。
でもB君は見た目も、家に遊びに行った時に会った家族も普通。それに好きになった人の事を悪くいうA子にムカついで絶交しました。
A子の話を聞いた日を境に、どんどんとB君の家はトラブルに巻き込まれていったのです。
母親が運転していた買ったばかりの新車の後ろから、トラックに突っ込まれ廃車。
お兄さんが大きな病気にかかり、入院。
追い打ちをかけるように、建設関係の会社につとめる、父親が仕事中に営業車を運転しているときに、横から他の車に追突されて重度のむち打ち。
不幸がこれだけでは止まらず、不動産のトラブルで会社が訴えられて支店は閉鎖されてしまい、責任を取らされてリストラされてしまったのです。
それからB君は学校に来なくなり、夜逃げ同然で引っ越していき、誰にも行方が解りません。
更地になったらB君の家のあった場所の前に立っていると、A子がやってきて「ほらね」と。
何の気なしにA子に「なにがどうなったの?」と聞いてみると、得意げに「それは知らない方がいい」と言うのです。
A子が怖い
しばらくして知ったのですが、A子はB君の事が好きだったらしい。
彼女は幽霊とか変な事を言うのでクラスで煙たがらていて、そういう事を全く気にしない私としか友達はいません。
直感的に「A子が原因なのではないか?」、「A子がなにかやったのではないか?」。
そういう思いが湧き上がりだし、彼女の事が怖くなってしまい、それからは話しかけてきても無視、一緒に遊ぼうと誘ってきても振り払うようにして他の子と遊んで、A子を完全に拒否した。
すると彼女は目の下には深いクマが刻まれ、髪は乱れ、教室の隅でぼんやりする事が増えた。
誰もいない空間に向かって何かに語りかけるように小さな声で、「やめて」「違うのに」「お願い」と繰り返していたという。
今まで仲の良かった二人の豹変に皆が気づき出ころ、「B君はA子の呪にかかった」という噂が蔓延したのです。
クラスの中でA子への恐怖と嫌悪が広がると、皆がA子を避け彼女は孤立しました。誰かが靴を隠し、ノートに「お前のせいだ」と殴り書きし、黒板には《呪い》の文字が書かれた。
ただ、誰もがA子への復讐だと思って行動していたので、イジメとして問題になる事はなかったのです。
A子の顛末
子どもじみた復讐が続き、そして、ある日。
誰かがキョンシーごっこと称してA子の額にお札を貼ったて、追い立てた。
A子は泣き叫び、教室を飛び出した。
その声は、今も耳に残っている。
「違うの・・・やめて・・・お願い」
あの声は、今でも耳に残っています。
A子は翌日から学校に来なくなり、しばらくすると「家庭の事情」で転校しました。
B君の不幸はA子の呪いだったのでしょうか?
もしA子にそんな力があれば、ひどい目にあわせたクラスの誰かに不幸な目にあうと思うのですが、そんな話は聞いた事がありません。
たしかにやりすぎたとは思いますが、A子は「自分は特別だ」と思い込み、不幸な偶然を自分の力の証のように語ってしまった。
それが、彼女自身を破滅に追い込んでしまったのだと思う。
※画像はイメージです。


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