ミリメシは、人気グルメの一翼を担っています?
歴史的背景が人気の一因ですが、人気獲得と狙ってウソはいけません。
海軍カレーと陸軍ナポリタン
海自の金曜カレーは有名ですが、曜日の意識付けが目的というのは実はウソ。
元海自自衛官で日本海軍料理研究家の高森直史氏が、自身が現役だった時にそんな習慣はなかったと言明しています。
現在の海自で金曜の昼食がカレーライスという習慣があるのは事実ですが、そうなったのは自然発生的で、かの理由はもっともらしい後付けにすぎません。
しかし明治41年・海軍経理学校発行の海軍割烹参考書には、既にカレーライスの作り方が紹介されています。
そして昭和7年の海軍研究調理献立集(海軍経理学校発行)には、アサリ、伊勢海老、チキンなどのカレーや、サバのカレー煮・アジのカレー焼きなどのカレー料理のバリエーションが載っているほどに、海軍内ではカレーが定番料理になっていたようです。
因みに海軍カレーの向こうを張った、陸軍ナポリタンの話があるようですが、これこそ真っ赤なウソ。
いかにもありそうな帝国陸軍のミリメシ物語として紹介されていますが、完全なフィクションなのでご注意を。
肉じゃが
肉じゃが料理の始まりは、東郷平八郎が英国留学中に食べたビーフシチューを帰国後に艦上食として作らせたが、ビーフシチューを知らない料理兵が工夫した結果できたものであると流布されています。が・・・これもウソです。
当時の日本では、既に市中の洋食屋でビーフシチューがメニューになっており、その変形であるハヤシライスが普及していたぐらいです。
また明治24年の五等厨夫教育規則にもシチュウ仕方の記述があるので、ビーフシチューは既に海軍のミリメシメニューだったのです。
それではなぜ、そんな都市伝説が生まれたのか。
それは肉じゃがのルーツは海軍にありという趣旨のテレビ番組でした。
昭和13年刊行の海軍厨業管理教科書にある「旨煮」が肉じゃがのルーツだという内容だったのですが、軍港都市・舞鶴市が町興しにこれを利用したことが、東郷平八郎伝説となって伝わったのです。以後、軍港都市・呉市も肉じゃが発祥宣言をして、肉じゃが論争が起こりました。
しかし陸軍では昭和3年の軍隊調理法に「牛肉煮込み」という、肉じゃがに酷似した料理のレシピが既にあり、元々牛肉を砂糖と醤油で煮込むのは、牛鍋など明治から市中にある一般的な料理法なので海軍発祥という話には少々無理があるようです。
栄養豊富で大量調理に適した、最高の贅沢料理
カレーと肉じゃがは、牛肉、ジャガイモ、人参、玉ねぎと基本材料は同じです。
いろいろな種類の食材を使うので兵士の栄養管理面で優れており、一度にごった煮するという調理方法が大量調理に向いていて、両者ともミリメシとして最適です。
銀シャリでさえ贅沢であった昔の日本で、牛肉などは庶民にとって最高の贅沢品。
それが入っている海軍カレーと肉じゃがが伝統的人気料理になるのは当然でしょう。
参照:メシ通「日本式カレーは海軍から始まった」説は本当か?海軍料理研究家に聞く
※画像はイメージです。
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