高校生の時、部活の練習に明け暮れるを毎日を送っていました。
忘れもしない冬の日、大会直前ということもあって練習に熱が入り、いつもよりだいぶ帰りが遅くなってしまった時の話です。
家への帰り道
学校から家までは距離があり、自転車で大通りを通るルートだと50分くらいかかります。
ただし、近道があって半分ぐらいの時間でできるのですが、山を直行で抜けるルートなので高低差があり、しかも淋しい道なので、なるべく通りたくありません。
あの時は、連日の練習で疲れていたのと明日はお休みだったので、少しでも早く帰りたい気持ちがあって、近道で帰ることにしました。
夕日が落ちて星が見える寒い冬空の下、自転車を必死に漕ぎ山道を進んでいくと、古い家が立ち並んでいる地域に抜けます。街灯はあるのですが、ぽつん、ぽつん、としかなく、薄暗くて不気味な雰囲気を醸し出ですが、ここまでくれば、家まであとすこしです。
なにかいる
先を急いでいたときです、遠くの街灯の下に何かがいるようです。
スピードを緩めて、それが何なのか目を凝らすと、それは女性のように見えるのですが、俯いていて何か様子がおかしい。
何かあったのかな、と心配にも思いましたが、そんな考えは一瞬で消えました。
なぜなら、その女性の服装が袖のないワンピース、凍えるほどの真冬にそんな格好でいれるわけがありません。
一刻も早くこの場から逃げなければとペダルを漕いでも漕いでも、自転車は前に進まないのです。自転車を捨てて走り始めると視界の端に白いものが入ってきた。あの女性でした。
焦りと恐怖のあまりにパニックになり腰が抜けてその場で動けなくなり、失禁して大泣きしてしまいました。
しばらくして通りがかりの見ず知らずのオジサンに助けてもらったのですが、女性の姿は見当たりません。
あれはなんだったのか
オジサンに自転車ごと家まで送ってもらい、人心地つきました。
自転車が動かなかったのはチェーンが外れてしまっていたからだと、オジサンは説明してくれ、修理までしてくれたようです。
家から出てきた母がお礼をしたいからと連絡さきを聞こうとしたのですが、なにも言わずに帰っていきました。
オジサンがいなかったら、どうなっていたのかと思うとゾッとします。
後日、女性が現れた街灯のそばの家で、借金を苦に老夫婦が自殺したというニュースをみました。
そして、亡くなった方の写真はどうみても、私を助けてくれたオジサンに似ています。
母も同じ事をいっていました。
小さい写真だったので、思い違いなら良いのですが、もしそうだとしたら女性の幽霊よりも、オジサンが幽霊だった事がショックです。
※画像はイメージです。
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