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不思議な空間

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幽霊といえばどんな姿を思い浮かべますか?
白いワンピースの女?それとも火の玉?あるいはそれ以外の・・・。

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不思議な空間

高校生の私は、電車で30分ほどかけて通学していました。
最寄が始発駅だったので、ホームに押しつぶされそうなくらいの人が押し寄せ、毎朝通勤ラッシュに巻き込まれて大変な思いをしながら通っていたのです。

ある朝、ギュウギュウ詰めのホームで電車を待っていると、私の眼の前に人一人分くらいのすき間が開いていました。
そんな隙間があるのならば、まわりの誰かが詰めてくる筈なのに、ぽっかりと空間が空いています。
それからも待っている人たちと流されるように電車に乗り込んでいくなかで、さっきの人一人分くらいの空間も一緒に動き、すし詰め状態の車内でもぽっかりと空間が空いています。

学校のある駅でふと気がついたのですが、その空間には何もない訳ではなくて、なにかがあるようでまわりの人達が避けているようなのです。

亡くならない空間

私は怖くなって、その日の授業はほとんど耳にはいってきません。
普段はうるさいと言われるぐらい活発なのに、ぼーとしているので友人たちが心配して話かけてくれますが、話をしても誰も信じてくれなくて、たまたまでしょと笑われるだけと思って、調子悪いのぐらいしか言えませんでした。

時間がたつに連れて、冷静になって考えられるようになってくると、やっぱり気のせいだよねと思っていたのですが・・・。

帰りの電車はそれほど混んでいませんが、席は全部埋まっていて、つり革をつかんで立っている人がちらほらいるくらいです。
私は席に座っていて前につり革で立っている人がいるので、眼の前にあった空間はもう無くなったのだと思っていたのですが、私のとなりに移動したようで、だれもそこには座らないようなのです。

途中の駅で人が乗ってきて、朝のラッシュに近い状態になっても誰も座りません。
ふとなにがあるのかな?肘で軽く空間を小突いてみると、なにか柔らかいものに当たったような気がしました。

私は怖くなって、次の駅で逃げるように降りてみると、混んでいても私の横には誰も並ぼうとせずに、人一人分くらい離れています。

すこしさみしく思う

空間が開く現象は、卒業式の前日まで続き、卒業式の日からは空間が開くことは無くなっていました。
空間として存在した誰かさんは、いったいなぜ現れて、なにをしたかった?言いたかったのでしょう。

思い返せば、なにか害があった事もなくて、恐ろしい体験ではなかったように思いますし、なんだかさみしい思いもします。

※画像はイメージです。

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