意外と深くて重要なレーション(戦闘食)

ミリタリーといえば兵器や戦闘そのものなどが主役ですが、脇役、裏方である食糧も欠くことのできない重要なものです。

レーションの難しさ

レーションとは軍用携行食のことで、野戦食や戦闘食糧とも称される、前線など直接的戦場で兵士や部隊が携行する携帯専用糧秣です。
戦闘状態が常態の場面で使われるレーションには、意外な制限や性能が求められます。

1.小型化・軽量化

行動中の兵士は武器弾薬だけでもかなりの重量を負担しています。
携行物の重量は体力消耗に大きく係わり、レーションの軽量・小型化が重要になり、同時に全体的な兵站上の効率アップに繋がります。
米軍で1950年代から実用に向けて本格的研究が始まったフリーズドライ食品は、この点において大きく貢献しています。

2.保存性

戦場は場所を選びません。極地圏から熱帯雨林や砂漠まで、気温、湿度、気候が極端に違ってきます。
そんな戦場で使われるレーションは、そのすべてに対応できる保存性が求められます。
また緊急時に備えて平時から一定量を備蓄しなけらばならず、長期間の保存性も必要です。

この保存性を追求して、ナポレオン時代のフランスで瓶詰めが、そして後のイギリスで缶詰が発明されました。
フリーズドライは保存性も大きく進化させました。

3.カロリー・栄養の確保

戦場における兵士の運動量は、通常社会での活動より格段に増加します。
従って兵士の体力保持のためには、相応のカロリーとバランスの取れた栄養が不可欠です。
寒冷地の北欧諸国で要求される熱量は最大7500kcalにもなります。

4.美味しさ

過酷な状況で活動する兵士たちの最大の楽しみのひとつが食事です。
それは戦闘活動に直結する士気に係わる重要な要素で、美味しく飽きない食事が士気を持続向上させます。

例えば、欧米にはない日本の米飯は自衛官の強い要望がありましたが、軽量化や保存性に問題があり、沖縄や北海道での保存可能期間3年という規定をクリアするのに時間がかかりました。
そしてさらに困難だった美味しさの維持に苦心して実現したといいます。

アメリカ人のソウルフード

また今やアメリカの国民食にもなっているピザが、5年間の開発を経て米軍のレーションに加わったのは2017年でした。
それは兵士へのヒアリングを行った結果で、それほど現代の軍隊では兵士の食事に注力しています。

戦死者数と比べ、餓死・病死者数の比率が極端に高かった戦場もあった旧日本軍とは、隔世の感ある現在のレーション模様です。
理論的に突き詰めれば当然の帰結なのに、旧日本軍にはなぜそういう発想がなかったのでしょうか・・・不思議です。


歴史大好きじいさん
歴史大好きじいさんです。
秀才ばかり集められていた筈の旧日本軍上層部が、なぜ兵站の重要性を低くみたのか謎です。

※画像はイメージです。

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