1988年、名古屋市内のアパートで発生した事件は普通とは違い、日本犯罪史上類を見ない猟奇的なもので、警察の懸命な捜査もむなしく、2003年に事件は時効を迎えてしまったのです。
名前からも想像できる「名古屋妊婦切り裂き事件」、前代未聞の未解決殺人事件を紹介します。
事件の概要
夫のAさんはごく普通の会社勤めのサラリーマン、妻のBさんは臨月に入った妊婦。
名古屋市内のアパートに住む二人は、ごく普通の幸せな生活を送りつつ、新しく生まれてくる初めての子供の事を待ちわびていました。
事件当日、Aさんは出産予定日を5日も過ぎている妻を心配し、昼頃に会社から電話をかけて安否を確認した後、なんでもない会話交わしたのです・・・これが妻Bさんとの最後とは思いもせずに。
夕方、退社間際に電話すると応答はありません。たぶん買い物にでも出かけたんだろうと、気にかけることもなく帰途につき、アパートに到着したのは午後7時40分頃。
日が暮れているのに部屋の電気がつくいてなく真っ暗、普段ならかかっているはずの玄関のカギが空いている。
Aさんは違和感を感じながらも寝室に向かい着替えていると、かすかに赤ちゃんの泣き声が聞こえてくるのです。
いったいなにがおきたのであろう?と声のする居間へ向かい、部屋の明かりをつけるとそこは一面の血の海。
そこに電気のコードで首と手を後ろで縛られ、鋭利な刃物で腹部を切り裂かれた妻のB子さんが横たわり、足元に置かれた生まれたばかりの赤ちゃんがか細い声で泣いていたのです。
一生涯、頭のなかにこびりついて忘れたくても忘れられない、悲惨な光景だったでしょう・・・。
事件の猟奇さ
Aさんの通報により救急隊と警察が到着してB子さんと赤ちゃんは病院に運ばれましたが、B子さんは病院で間もなく死亡。
お腹の中から取り出された赤ちゃんは、予定日を過ぎていたので自力で呼吸ができるぐらいに成長してたのと、発見の早さと適切な処置が功を弄し、奇跡的に一命をとりとめたのでした。
赤ちゃんはどこから現れたか、あえて説明する事もないとは思うのですが、B子さんが産んだものではなく切り裂かれた腹部から取りだされた子供。
その代わりに腹の中には「電話の受話器」と「ミッキーマウスのキーホルダー」が詰め込まれていたという狂気さに、現場を見た警察官も恐れおののいてしまう程だったようです。
犯人の妊婦の腹部を切り裂いて物を入れるという残虐な行為、ただ殺すだけではとどまらず、なぜそこまでしたのか?
すくなくとも普通のモノ取りではなく、B子さんを狙っていた異常者としか思えません。
捜査
愛知県警は特別捜査本部を設置。
当初は現場は争った形跡がない為、被害者に強い恨みを持つ者の犯行と推測したのですが、現場のタンスが荒らされているところから、犯人は物取り目的で侵入したと捜査を開始しました。
犯行時刻の推定、不審な人物の目撃談、猟奇殺人鬼による犯行可能性など、いくつかの事実や仮説が提唱されるのですが、決定づけるものはなく解決への糸口になりません。
そうしているうちに各新聞やマスコミが嗅ぎつけ、あまりの猟奇さに囃し立てる有り様でした。
警察の必死の捜査は続けられるのですが、そのかいもなく、2003年、時効をむかえ未解決事件として日本犯罪史上に名を残すことになってしまいました。
時効が成立する直前、被害者Aさんの実父は新聞の取材で公訴時効制度への憎しみ。
生き残った息子がいつか知る真実。
逮捕を逃れ、社会に溶け込みのうのうと生きている犯人へ悲痛な叫びを上げ、事件は幕を閉じたのでした。
※画像はイメージです。
思った事を何でも!ネガティブOK!