私が生まれ育った町は「ザ田舎」な田園風景が広がる、山口県の山の奥の田舎町。
娯楽のない田舎だからこそ、様々な噂が飛び交っていて、その一つに「7つの家」というのがありました。
7つの家の噂
町から少し離れた山の中に、7軒の家が集まった小さな集落がありました。
だけどある日、強盗に襲われて一家が惨殺されてしまいます。また現れるかもしれないといった恐怖に駆られ、何件かの住人の気が触れてしまい、集落に残っていた全ての住人を皆殺しにしてしまったのです。
余りの出来事に、だれにも手が付けられないままで家は放置され、今でも住人たちの霊がさまよっている。
いくつかのパターンはありますが、こんなような噂がいつしか囁かれるようになり、TVでも取り上がられると心霊スポットとして有名になりました。
私が聞いた話
私が学生時代の話です。
その噂を聞いて放送部の部長が「そこに取材に行って、お昼の放送で流そうよ!」と部員を誘い取材にでかけたそうです。
噂通り、森の奥には7軒の家がボロボロの状態で建っていて、いくつかの家の中に入って動画を撮るのですが何も起きませんでした。
翌日、部長が早速動画の編集を始めると・・・。
「こんにちはー!」『こんにちは』
「おじゃましまーす!」『はい、どうぞ』
「誰かいますかー?」『いますよ』
このような現場の部員の話し声に反応する、音声が入っていることに気づきます。
もちろん、部員同士の会話ではありません。
そして帰る間際に、一つの家をバックに感想を話しているシーンでは、突然画像が乱れて真っ黒な画像になり、『帰るな!』『帰るな!』『帰るな!』『帰るな!』『帰るな!』と悲痛な叫び声が響き渡ったそうです。
部長はその場で倒れてしまい、後日、動画を消し、部員全員でお祓いに行ったのでした。
ところが
あの頃、私はこの話をとても恐ろしく思って、家族の皆にも話をしたのですが・・・。
お父さんが笑い初めます。怖い話なのにと不機嫌になった私に、お父さんは理由を話してくれました。
どうも地主さんが持っていた土地を活用する為、住宅地として開発したのですが、余りの場所の悪さにほとんど売れない状態だったそうです。
それでも暫くは開発を勧めていたのですが、バブルが崩壊して不動産業者ごと潰れ、姿を消してしまったとか。
いくつか売れて住んでいた人もいたのですが、土地の価値が無くなり不便だった事もあって、廃墟だけが残ったというのです。
昔の話なので細かい内容は若干うろ覚えですが、開発失敗の悲観的なイメージから出来た噂であって、事件とか幽霊とかは馬鹿げた話しだというのでした。
ちなみにですが80年代の頃は想像がつかない程の好景気で、とんでもない土地を開発して売ろうという話はいくらでもあり、実質的に「だまされる」地主は沢山いたんだと、付け加えたのを覚えています。
ありきたりですが、一番恐ろしいのは人です。
※画像はイメージです。
思った事を何でも!ネガティブOK!