これは30年ほど前、私が5歳の頃、家族全員で体験した実話です。
皆さんが想像するような「幽霊」とは少し違った「ナニか」の話。
私たちは、父、母、私、それと1歳年下の弟の4人家族です。
この頃、若くして結婚した父は、よく同僚や友人たちと夜遅くまで飲み歩いて、だいたい帰宅が遅かった。
私たちは狭いアパートで過ごしていましたのですが、新しくて部屋もきれいで不満もなく住みやすい場所でした。
踊るナニか?
ある晩、いつも通り母を真ん中にして3人で川の字に寝ていると、私は喉が乾いて目を覚ましました。
眠たい目をこすりながら台所へむかうと、冷蔵庫の前に、肌が異常に白い年下の子どもに見える「ナニか」が立っています。ぼんやりと見つめていると、だんだんと私に似ているように思えてきて、よく踊っていたダンスを踊り初めたのです。
段々と目が覚めてくると夢でない事を自覚し、その「ナニか」の存在が次第に怖くなり、母を起こして連れてきたのですが、それはすでにいなくなっています。
無理やり起こされた母は、寝ぼけただけだと言って不機嫌な様子、ブツブツと文句を言われながら眠りについたのでした。
それからまもなく、急にアパートを引き払って母の実家に引っ越す事になったのですが、なにも疑問に感じず、むしろ家が広くなるので嬉しくてたまりませんでした。
父母の話
しばらく経った頃、家族みんなで夕ご飯を食べている時。
テレビで心霊番組をやっていたのをきっかけに、ふとあのことを思い出して、「そういえば、夜中に『ナニか』がいたよね」と話し出すと父と母の顔つきがこわばり、思わぬ事を話し初めました。
どうやらアパートを引っ越したのは、ついに私まで「ナニか」に遭遇した事でもう逃げるしかないと思ったからだそうです。
母は夜中に小さい子供が廊下にいることに気がつき、弟だと思って近づいていくといつしか自分にそっくりな「ナニか」になった。
父は入浴中、入口の半透明のドアに子どもの姿が見えて、私か弟が一緒に入ろうとしてるのかな?と思っていると、ら自分にそっくり「ナニか」が現れた。
私が気が付かなかっただけで家族全員が「ナニか」に遭遇し、それも一度だけではなかったらしい。
子どもたちが心配しないように、二人だけで地元で有名な神社に相談に行って、お祓いをしてもらったけれども治まらず、ついには私も遭遇したので、もうダメだと思って引っ越しを決意した。
それから「ナニか」を目撃する事がなくなったので、アパートが原因だっただと安心したそうです。
あれから
あれから30年経った今、弟の様子がなんだか変だと感じています。
漠然としたものなのだし、気のせいだと思っていたのですが、本人以外の家族がみんなそんな風に思いながら今まで生活していたのを、弟が結婚した時に知ったのです。
ふと昔の事を思い出し、家族が遭遇した「ナニか」は最初は子どもの姿から、自分の姿に変わった。
家族全員遭遇したのに弟だけは遭遇していない、私が生まれるまでカメラを買わなかったというけれど、極端に弟の写真が無い。
もしその「ナニか」が家族に擬態していたとしたら、今一緒にいる弟は本当の弟なのか?
それ以前に父や母すら疑わしいと思ってしまいます。
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