今回紹介したいアニメ作品は、「風の谷のナウシカ」。
この作品は数多くのアニメ作品を制作し、日本アニメの代表的な監督でもある宮崎駿氏の代表作でもあります。
この作品はジブリ設立前のアニメ制作スタジオである「トップクラフト」で製作されました。
「アルプスの少女ハイジ」や「ルパン三世 カリオストロの城」などのアニメーションを手掛け、当時の宮崎駿氏はアニメ映画の監督としても歩みだしていた頃でもあり、新しい作品の形を模索していた時期とも言われています。
原作は、徳間書店から発刊されているアニメ情報誌「アニメージュ」の巻末で連載されていました。
当時の日本漫画においては未開ともいえる、SFファンタジー作品でもあり、連載自体がある種に異色作品として見られていましたが、宮崎氏の手掛けるナウシカの世界観は、緻密な作画と重厚なストーリーで精錬され、当時のアニメファンを納得させる程の面白みに溢れた、SFファンタジーの新しい形を作ったとも言われています。
「風の谷のナウシカ」の世界観とストーリー
さて、そんな「風の谷のナウシカ」の世界観やストーリーを軽く説明させていただきます。
舞台となる世界は、人類の科学が最も成熟された高度産業文明時代を崩壊させた「火の7日間」と呼ばれる最終戦争が終結した1000年後の地球。
大戦で汚染され尽くしてしまった大地に、巨大な菌類によって成形されるカビの森「腐海」が広大に覆い尽くし、腐海の発する「瘴気」によって人類は、かつての繁栄を衰退させていました。
星の世界へと旅立っていける程の高度な文明レベルは、中世までに落ち込み、微かながらの前世紀の科学力を維持しながら細々と国々を形成し、絶えず争いを続けながら生き残っていた人類。
腐海と背中合わせで生きる事を余儀なくされてしまった人類達は、「腐海」を幾度なく燃やし尽くそうとするも、腐海から生まれた「蟲」と呼ばれる巨大生物達によって阻まれ、衰退の一途を辿っていました。
そんな世界に生きる少女・ナウシカは、風の谷と呼ばれる豊かな緑を残す地にて育ち、腐海の森と共に生き、健やかな日々を送っていましたが、後の彼女は世界の命運を握る、大国の思惑に翻弄されていく・・・と、大筋が以下の様になっています。
ナウシカの魅力
主人公のナウシカが活躍し、オームと呼ばれる巨大昆虫、旧世界の兵器である巨神兵などが登場し、巨大な運命に巻き込まれていくヒロイン・ナウシカの力強さと優しさが見どころとなる作品です。
この作品の魅力として、軍事大国のトルメキアの兵器や、ナウシカの乗るメーヴェや、重コルベットに鎧を着た兵士が銃火器で武装している等、アクションシーンや世界観に設定など、ミリタリーとファンタジーを刺激してくれる充実した内容ではないでしょうか?
そして、「風の谷のナウシカ」は、アニメ版や原作版に大きな違いがあり、両方を見て楽しむのが二倍お得だと、筆者は自身を持って、二つをおススメしたいです。
ここからは若干のネタバレですが、映画は漫画全7巻のうちの、第1巻~第2巻途中までのストーリーをきれいにまとめていますが、腐海や蟲、巨神兵とは何だったのか、この世界の秘密や行く末と、映画版では回収できなかった、数々の伏線と謎が解き明され、衝撃の事実が明かされます。
ナウシカの事実とは?
映画版冒頭でも説明があったように「火の7日間」によって、高度産業文明時代を崩壊され人類が衰退した世界です。
しかし「火の7日間」は人類が汚染された世界を浄化するために、文明や人類を無差別に破壊するために製造した人造生命体の「巨神兵」によって引き起こされた人為的な物であったのです。
地球がすべてを浄化し、かつての生物や科学文明とともに復活し、新しく平和的な世界を再建する、1,000年前の旧世界の人類の再生計画の最初のステップでした。
腐海や蟲の秘密
映画版でも、その謎について若干は明かされていますが、腐海は自然の力によって地球が汚染を浄化するために発生したものとされています。
浄化が完了すれば毒を出さなくなるのを、映画版でもナウシカが隠し部屋で実証し、腐海の下にナウシカとアスベルが落ちたときも、マスクなしで呼吸できる清浄な世界が広がっていました。
しかし実はそうではなくて、これも「火の7日間」の後に人類と地球を再生させるための計画の一環で、蟲はその腐海を守護するためのガーディアンを兼ね、死骸を苗床として腐海を広げるための人工生物だったのです。
ゆくゆくは全ての世界が腐海に飲み込まれて浄化されると、腐海と蟲は、清浄な世界では生きていくことができないため、世界の浄化後に自動的に消滅し、完全に浄化された世界が完成します。
ナウシカ達は旧人類の子孫ではない!
そうするとナウシカ達は正常化された世界に移住し、物語はめでたしめでたしで終わると思いがちですが、そうではないのです。
民族間で戦争を引き起こす彼らは、いずれは同じ過ちを繰り返す恐れがあります。
それを防ぐため、「火の七日間」を起こして再生計画開始した旧人類は、遺伝子操作により「闘争心」を完全に削除した新人類を生み出し、「墓所」と呼ばれる場所で旧世界の文明、生物とともに「卵」として墓所に保管します。
では、ナウシカたちはいったい何者なのかといえば、腐海や蟲、地球再生を監視させるため、汚染された環境に対応するように遺伝子操作して生み出した、「監視役」としての存在です。
さらには、映画版では語られていませんが、浄化が完了されたのちに復活する「闘争心」のない平和的な人類と争いにならないよう、ナウシカ達は清浄な環境では生きていけないよう操作されています。
ナウシカ達「監視役」は浄化が完了すれば死滅する運命にあるのです。
完全ネタバレ、ナウシカの結末
トルメキアがひそかに所持していた巨神兵を土鬼軍が奪取します。
偶然居合わせたナウシカの「秘石」に巨神兵は反応し、ナウシカを「母」と認識したうえで裁定者として目覚めます。
ナウシカは暴れ始める巨神兵をなだめ「オーマ」と名付け、「墓所」の存在をしったナウシカとともに向かいます。
「墓所」は、意識をもつ人工生命体で、旧人類の計画、自分たちの存在や世界の真実を知ったナウシカは、「汚れを一切許さない世界」を拒絶して、「憎しみや悲しみ、汚れとも共に生きていく」を決意し、巨神兵オーマに「墓の主」を殺させ「墓所」を破壊してしまいます。
つまりは、浄化が完了すると、人類が滅亡してしまうバットエンドとなります。
ネタバレしてしまいましたが、かなり端折っていますので、原作版のナウシカは実際読んでほしいです。
アニメでは語れなかったナウシカの世界が描かれており、見て損のない作品です。
(C)1984 風の谷のナウシカ 二馬力 Studio Ghibli・H
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