日本以上の高度経済成長期だった2000年代の中国。
その首都北京で女性が亡くなった事件についてをお話します。
大都市北京の光と影、オリンピックの2008年
2008年8月8日、中国の首都・北京でオリンピックが開幕した。
「蜂の巣」というニックネームのついたオリンピック会場の上空に、煌びやかな花火が夜空を壮大なスケールで彩っていた。
その会場から南東に5㎞以上離れた場所に「朝陽公園」という大きな公園があり、私は近辺のマンションに数年住んでいた。
北西方向には開幕式の花火が小さくも派手に光っているのとは対照的に、眼下に広がる大きな公園は真っ暗で、手前にはかつて煌びやかなナイトクラブのネオンも消えたままだった。
世界中から人が集まるオリンピックの開幕が近づくと、北京政府はクリーンさアピールのため浄化作戦を決行。
マッサージ、ナイトクラブなど夜のお店は次々と営業停止に追い込まれていた。
知る人ぞ知る、北京の高級ナイトクラブ「天X人間」
そのナイトクラブは「天X人間」という名前だった。
まさに天にも昇るような気持ちになる絶世の美女たちが接待してくれるそうで、大企業の経営層や政府役人御用達のお店で、深夜になると店の周りは黒塗り高級車で渋滞するほどだった。
日本円で座ってX万、飲んでX0万というような価格設定と聞いていた。
私も一度くらいは行ってみたい、という下心が引っ込んだのは、この天上人間の人気ホステスが怪死したという話を複数の知人から聞いたからだった。
政府のお偉いさんやら大企業の社長やらのお抱えだったとか、刑務所から出てきた兄がいたとか細部は異なるものの、
2005年の年末のことで、彼女は自宅で顔面を殴打され続けてのショック死、貴重品は盗まれていないので強盗ではないという共通点から、事件があったこと自体はウソではなさそうだった。
国家機密を知ったから親族に恨まれるようなことをしてた、など殺された理由も真相がわからないままで、そんなことに巻き込まれたくないな、という気持ちになり、自宅そばでも近寄ることすらしなかった。
それから数年経った
そんないわくつきのお店で、2008年、今度は店の前でホステスが亡くなるという事件が起きた。
今でもネットで検索しても出てこないような事件だが、その翌日警察官が私の住むマンションで聞き込みをしたことで知った。
制服警官がマンション中で事件の目撃情報を聞いて回っていたため、住民の間では事件のことでもちきりになり、人気ホステスがお客様を店外まで見送った直後に、血を吐いて倒れたというのだ。
マンションの住民はファミリー層中心で有力な目撃情報はなかったようだが、ストレスや持病ではないからこそ、事件として捜査していることは容易に想像できた。
だが、店内で毒を盛られたのであれば店内のグラスや容器から検出されるはず。
2人の女性が命を落とした事件を通じて、中国の、政治の街 北京の闇を感じた。
※画像はイメージです。
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