呪いの家具といえば、有名なものだとイギリスの博物館で展示されている、殺人鬼の亡霊が宿っていると噂される「バズビーズチェア」がありますが、実は他にも呪われているとされている家具はいくつも存在します。
ここではその『呪いの家具』について、背景や呪いについて書いていきたいと思います。
バズビーズチェア
まずは代表的な存在として取り上げた、バズビーズチェアについてです。
このバズビーズチェアは、1702年に自分の義父を殺した罪で絞首刑になった「トーマス・バズビー」が所有していた椅子とされています。
偽金作りのペテン師トーマスは村の富豪の娘と結婚しましたが、彼女の父親「ダニエル・オーティ」は素行の悪いトーマスを嫌っており、家に押し掛けて娘を連れ帰ろうとしました。
しかし、その時にダニエルがトーマスのお気に入りである椅子に勝手に座っていた事もあって、怒ったトーマスはダニエルを殺してしまったのです。
トーマスは絞首刑となり、残されたお気に入りの椅子は彼が住んでいた宿がパブに変わってもそのまま使わました。
「座った者に呪いをかける」という遺言どおりに、全ての人々が、不幸な死因にあって亡くなっていると言われています。
記録されているだけでも60人以上もいるので、単なる偶然ではなく「呪い」なのかもしれません。
ジェレマイア・グラハムのタンス
現在ケンタッキー州歴史協会博物館には、呪いのタンスが展示されています。
1830年代、ジェレマイア・グラハムという金持ちが、生まれてくる長男のために黒人奴隷のリーマスにタンスを作らせたのですが、出来映えが気にくわないので彼を殴り殺してしまったそうです。
仲間の奴隷たちはリーマスの敵を取るため、タンスにフクロウの血を振り掛けて呪いをかけ、グラハムの長男が生まれてすぐに命を落としてしまったのでした。
それを始まりに、タンスを所有した人々が病死などで次々に亡くなっていったと現在まで語り継がれています。
ジェレマイア・グラハムのタンスはケンタッキー州歴史協会博物館公式ホームページのオブジェクトカタログ内に、6枚の写真と共に詳しい歴史が記載されています。
タンスが原因で亡くなったとされている16人の経歴や死因も詳しく記録されています。
マートルズ邸の鏡
マートルズ邸は「アメリカで最も幽霊が多く出る家」として有名です。
19世紀初め頃、クロエという黒人奴隷の女性が折檻され、自分が仕える主人に片耳を切り落とされてしまいました。
彼と恋愛関係にあったクロエは、信頼を取り戻すために主人の妻と子供に毒を盛り看病しようとしたのですが、誤って毒の分量を間違えて殺してしまいます。
奴隷たちの間では人が亡くなった時は家の中にある鏡にカバーをかけないと、魂が鏡の中にとどまって天国に行けなくなってしまうという言い伝えが知られていたそうです。
クロエは妻と子供が亡くなった後、家の鏡全てにカバーをかけたつもりでしたが、1つだけカバーをかけ忘れてしまった鏡があったのです。
それが今もマートルズ邸に現存する呪いの鏡で、この鏡にはクロエによって殺された妻と子供の幽霊が映るらしいです。
ちなみに、このマートルズ邸は公式サイトから事前予約すれば見学や宿泊ができます。
クロエ本人の幽霊も時々現れるとか。
ヤコブ・クーリーの収納箱
1850年代のサウスカロライナ州で、ヤコブ・クーリーという男が自らに仕える奴隷のホセアを殺害しました。
その理由が「ホセアに作らせた収納箱のサイズが間違っていた」という身勝手なもので、ホセアの仲間が敵討ちのために魔術師に頼み、収納箱に呪いをかけてもらったそうです。
その収納箱に関わった人々が次々に亡くなり、最後は行方知れずになってしまったとか。
ケンタッキー州歴史協会博物館が所蔵しているという情報もネット上にありますが、公式サイト内で検索をかけても出てこなかったので、本当に行方不明になったのだと思います。
数々の呪の家具の謂れを考える
最初に紹介したバズビーズチェア以外は、全て昔のアメリカ国内のもので、奴隷が関わっている呪いの話がとても多かったことに驚きました。
かつて奴隷は、奴隷制の中でひどい扱いを受けていました。
しかし、彼らを痛め付けて人権を無視していた主人たちは、心の奥では彼らの持つルーツに秘められた未知なる力を恐れていたのかもしれません。
その恐怖心が、呪いによって人々が次々に死んだという噂話としとなったのではないかと私は思いました。
ただ、屈するのではなく「呪い」と使い、自らを虐げる者たちに対抗しようとしたのかもしれません。
※画像はイメージです。
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