稲荷神社

20代前半の若かった頃、遊ぶのが大好きで、飲みにいったり、ドライブにいったり、とにかく休みの日になると、休むことなく友達とどこかに出掛けていました。
なんて馬鹿な事をしてしまったろう・・・いまだに公開している体験談です。

ある金曜日

ある金曜の夜、仕事が終わってから皆であつまり、ドライブすることになりました。
行くあてはなく音楽をかけながら、海岸線を適当に流して特に見える島の灯台などの夜景を楽しんでいると、友人の一人が昨日夜よるテレビで心霊スポット特集を見たと話だしました。

すると運転していた友人が「そしたら、肝試ししよう！」と言い出し、すかさず私はスマホでマップを開いて”心霊スポット”と話しかけてみると、たくさんのスポットが表示されたのです。
大体は公園や神社、観光スポットだし、昼間のだけなのでどれが怖いのかサッパリわかりません。でも、子どもの頃にこっくりさんをやって怖いと思った事を思い出したので、”S稲荷”という神社を選び、「ここ、怖いんだっさ！」とか適当な事をいって向かう事にしたのでした。

S神社

その神社は、山間にある住宅地の細い道を進んでいった突き当りにありました。
駐車場はないのですが、夜中だしだれも来ないから良いだろうと、神社の名前が書かれた石碑の前に駐車して、神社の方に向かうと沢山の鳥居が見えてきました。

鳥居の先は真っ暗な闇で何も見えません。何人かがビビっていると友人がスマホでノリの良い音楽をかけて、「なにビビってるんだよ！オメーらダセーぜ」とか煽ってくるので、仕方なく進んでいく事にしました。

途中から登り道になり階段っていくと鳥居が無くなり、代わりに”XX稲荷”を書かれたノボリが左右に置かれ、風もなかったと思うのにゆらゆら揺れて不気味。
やがて今までは朱色の綺麗な鳥居だったのに、苔の生えた鳥居があり、その奥には神社が見えます。

最初に煽ってきた友人が鳥居につかまって回ってみたり、ここでは書けないようなバカな事をしていたので、だんだん楽しくなってきていたのですが、最後の鳥居を抜けると全員が誰かから見られているように感じたのです。
左右を見渡してみると、無数の小さいな白い狐たちが私達をガン見しています。

「わーーーーー！」
全員が驚いて叫びました。
よくみれば神社に飾られている陶器でできた稲荷狐ですが、ただならぬ雰囲気があって、もう帰ろうとなったときでした。

可笑しくなった友人

急に1人の女の子がしゃがみこみ、ゆらゆら揺れだします。
てっきり彼女はふざけているものと思い「やめてよ～」なんていいながら、起き上がらせようとしましたが岩のように重くびくりともしません。
男の子の2人が脇を抱えて立ち上がらせようとしても、動かすことしらできないのです。

怖くなた男の子は「心霊スポットに来たら女の子の様子がおかしい」と携帯で先輩を呼ぶことにしました。
急遽こっちに向かってくれることになりましたが、そのあいだ、皆でしゃがみこんで動かない女の子の背中をさすって声をかけ続けたりしましたが、全然動こうとしません。

そうこうしているうちに他の女の子が怖くて泣きだし、先輩が到着して動かない女の子に触った瞬間。
「あはははははははははは」と、笑いながらピョンピョンと辺りを飛び跳ねだしました。
その姿をみて「狐」、誰かそう呟きました。

でも彼女を姿をみて、私はなんとなく違和感を感じていたのでした。

ある神社へ

先輩の手助けで暴れる彼女を取り押さえ、一人ぐらしだったので私の家まで連れて行って寝かしつけました。
次の日、昨晩の皆があつまって彼女を有名なお寺に連れていきました。

そこで神主さんに状況を話すと眉をしかめながら「”S稲荷”の由来って知ってる」と話だし、歴史をこんこんと説明した後、どう考えも祟りとかないようね？
そもそも、祀られているのは神様だし、そういう事しないよね？
若い頃って精神的に未熟で不安定だから、ちょっとした思い込みにたいなもんだよ・・・狐は笑わないし、ピョンピョンはねたりしないよ。
どうみても貴方（おかしくなった彼女）はなんかに取り憑かれてないし、なんともない。
他の神社なら、適当な事言って玉串料とるけど、うちはそういう詐欺みたいのやっていないから。

そして少し怒った口調で、あそこの神社って住宅地の仲だから、近所迷惑だしやめなさい。
ピシャリと言われました。

そのあとその女の子とは連絡をとれず、一緒に遊んだ友達とも疎遠になってしまいました。

※画像はイメージです。