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青森の恐山~体験奇譚

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青森にある恐山での体験をお話します。
話すを始める前に一言いっておきますが、僕は絶対に悪くないです。

目次

母親の急逝

母親が病気で急逝しました。持病をもっていたのは知っていましたが、本人はずっと大した事がないと言っていたのに・・・今でも信じらせませんし、死に目に会えなかったのも心残り。
会社を休んで両親の実家の青森へ向かうのですが、実のところ青森はほぼ初めてです。

なぜ実家なのにと思うでしょう?
それは父が自衛隊に勤務していたので子供の頃は日本各地を転々とし、僕が成人して東京で働くようになった頃に父は引退して青森にある実家にもどったのでした。
ちなみに自衛隊は普通のサラリーマンよりも早くて50代中盤で引退となります。

父の実家が青森にあるのは知っていて、子供の頃に何回か親戚の家に遊びに行った事がありますが、それぐらい。
だから青森はほぼ初めてなのです。

僕の提案

火葬、お通夜、葬式、納骨、取り越し法要。青森ではお通夜の前に火葬し、納骨の後に四十九日までの法要を済ませる習慣があります。
一通りの葬儀が終わり、父親はがっくりとしてしまい、いっきに歳を取ってしまった雰囲気。
近居の妹は結婚して家庭をもっているし親戚もいますが、それぞれ都合があるので常に一緒は難しく家には父親一人きりになってしまう。
状態から少しでも一緒にいてあげようと思って、会社に連絡をして休みを伸ばしてもらいました。

気分転換と元気を出してもらう為に、観光地でも行ってみるかと家に置いてあった情報誌をみていて目についたのが「恐山」だったのです。
そこは死者に会える場所で、亡くなった人に会えると言い伝えがあるらしい。

これは今の父親への慰めになると提案してみると、ワラをも掴むような思いだったのでしょう・・・2つ返事で行こう!

恐山での出来事

恐山は思ったより近く、こんな所にこんな場所があったなんて。
それこそこんな事でもなければ、普通、恐山なんて来ることはないでしょうね。
名前からして恐ろしい雰囲気だと思っていたのに、日本にいるとは思えないような神秘的な光景が広がり、恐ろしいというよりはディズニーやジブリの映画のようなファンタスティクな世界に迷い込んでしまったようです。

ともかく亡くなった人に会えるという「イタコ」に母親を呼び出してもらおうと社務所でどうすれば良いか聞いてみると、大きなお祭りの時ぐらいしか来ないようです。
がっかりしながら、もしかしたら魂はいるんじゃないかとガイドマップを貰って参拝する事にしました。

最初のは父親と母の思い出を語り合い、独特な景色に目をやりながら歩いていましたが、だんだんと気持ち悪さや吐き気、苛立ちを感じるようになっていったのです。
たぶん最近の疲れがでたんだろう、それに参拝しているルートは石がゴロゴロしていて険しく、元自衛隊の父親にはなんともないだろうけれど、普段デスクワークの僕は辛い。
しばらく歩いて気分転換すれば収まるだろうと。なんでもないように振舞いながら歩いていた時でした。

どこからか「帰れ帰れ帰れ帰れ」と叫んでいる声が自分の頭の中に直接的に聞こえてくるのです。
とにかく帰りたい、この場を一刻でも早く立ち去りたい気持ちで一杯になり、ストレスは限界を超えそうでしたが、母を探しているような、すこし明るい表情になった父親に「帰ろう」と言うことはできません。それに、自分が置かれている状況をどのように説明するかも解りません。

とにかく我慢をして状況を悟られないように気を付けて、わざとおどけたりていましたが、何かが身体の中でストンと落ちる気配がした瞬間。
気がつくと僕は父親の実家で寝かされていました。

あたりまえか・・・

どうやら恐山で僕は突然倒れてしまったらしく、父親に背負われて帰ってきたところ、父親が心配になってやってきた妹が看病してくれたらしい。

僕は夜になってすっかり元気を取り戻したのですが、やはり父親の様子を見に来てくれた親戚のオジサンに「お前はバカか?」と激しく怒られてしまった。
「恐山がどういう所なのか普通考えればわかるだろう、お前には常識はないのか!」

それを聞いて父親は、元気づける為にやってくれた事だからとフォローをしてくれたのですが、「母親の魂があるかも」の一言に激しく激昂してしまい。
「たしかにこの当たりでは死者の霊は恐山にいくと言われているけれど、お前がした事はなんなんだ!よく考えて行動しろ!」と一喝されてしまい、父親以外、そこにいた全員に顰蹙をかってしまったのでした。

翌日、東京に戻りました。
法事でもないかぎり、青森にはもどりづらい雰囲気です。
恐山で聞いた「帰れ帰れ帰れ帰れ」の声がなんだったのか気になりますが、人間であってもそんな対応しますか?
父の為にとおもってやった事なので絶対悪くない。

※画像はイメージです。

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