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なにかに取り憑かれた法事

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祖母の三回忌のため、家族で島根へ帰省したときのことです。
実家は山奥にある昔ながらの日本家屋で、庭には古い松の木がそびえ立ち、すぐそばに小川が流れています。

私たちが到着すると、すでに何組かの家族が先に着いており、子供たちは集まって小川で楽しそうに遊び始めした。
そんな光景を横目に見ながら休憩していると、次々に親戚も集まってきて、三回忌が始まります。

目次

取り憑かれた奥さん

お坊さんの読経が終わると、女性達は一息つく間もなく、言われるがままに会食の準備に取りかかりました。
人数分の折詰弁当を長机に並べ、台所へ椀を取りに行ったときのことです。
隣の部屋から突然、叔母さんの怒鳴り声が響きました。

「あんた! しっかりしぃ! こら! 出ていけ!」

何事かと皆が駆けつけると、妻が青白い顔でぐったりと倒れ込んでいました。
口元はニヤリと薄く笑いを浮かべ、目つきはまるで獣のように吊り上がった顔に豹変した顔は、たとえ妻でも得体の知れない不気味なさを感じてしまいます。

叔母さんがこの異変にいち早く気付き、妻を奥の和室へ連れて行って、背中を強く叩きます。
その場にいた叔父さんが「何かに取り憑かれたのではないか、背中を叩いて追い出せ!」と怒鳴り、叔母さんは「だから今やってるじゃない!」と大騒ぎ。
初めて見る異様な光景に、全員が唖然とし言葉を失いました。

しばらくすると妻は落ち着きを取り戻し、受け答えができるまでに回復。急いで布団を敷き、寝かせることにしました。
お弁当とお茶を枕元に置き、「気分が良くなったら食べなさいね」と声をかけ、皆は気もそぞろのまま会食を始めます。

奥さんの異変

普段なら昔話に花が咲いて楽しい雰囲気になるのに、あまりの出来事に異様な空気が流れ、皆、押し黙って黙々と食事をしている最中でした。
妻が寝ている部屋から、かすかな物音が聞こえてきます。

心配していた私は、ご飯を食べられるまで回復したのだと喜び、様子を見に行ったのですが、思わず息をのんだ。
妻は団の上に座り込み、お弁当を手づかみでぐちゃぐちゃと掴み、むさぼるように食べ散らかしていたのです。
涙を流しながら──。

駆けつけた叔母さんも異様な光景に絶句しましたが、どこか仕方がないという顔つきだったように見えました。

やがてお弁当はすっかり空になり、妻ははチラリと私と叔母さんを一瞥。そして何事もなかったかのように、布団の上に横たわり、また眠りについたのです。

結局なんだったの?

心配になった叔母さんが一晩中様子を見守っていましたが、妻はすっかり落ち着き、翌朝まで一度も目を覚ますことはありませんでした。
翌朝、前夜の出来事について尋ねても、記憶は曖昧なままです。

帰り際、私は心配になって、叔母さんに「妻は大丈夫なのですか???」と詰め寄ると・・・。

「この辺じゃよくある事だよ、お前も子どもの頃に何度かあったけど、覚えているわけないよ」

私は絶句しました。
両親に聞いてみると、やはり何度かこういう状態になった事があるけど、本人に言っても仕方がないので話していなかったと言います。

それから妻は、二度と同じような状態になった事ははく、この日の事も「親戚も沢山いて緊張して倒れた」ぐらいしか話をしていません。もし、詳しく話したら怖がる以上の事になるでしょうし。
私が子供の頃からずっと住んでいた土地で、こんな恐ろしい目に合うとは思ってもいませんでした。

──それもよくある事?
なぜなのか原因を知りたいとは思いませんが、知ってしまった事で、帰省するのを躊躇してしまいます。

※写真はイメージです。

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