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遂に現実に?!SF兵器の代表選手「レールガン」

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兵器とは安全性と威力という背反する要素を両立させるべく技術力の粋を注ぎ込む性格上、エンターテインメントでは描き出されている世界の一端を表す「顔」のようなものとして扱われる事がしばしばあります。
SF界隈なら流線型の不思議光線銃やレーザーライフル、ビーム砲、原理が明かされている例ならレーザー水爆、原理不明なものなら光子魚雷、といった辺りが良く目にする例といった所でしょうか。

そんな現実と一線を画する兵器達の中で、遂に「現実のもの」となったものが、今回の命題である「レールガン」です。電磁力によって弾体を加速、投射するというシンプルな原理ながら投入する電力次第で「威力」を増すという「可能性」からレーザー兵器と並ぶ宇宙戦力として「実際に」研究された歴史もある、ロマンと現実の交差点を掘り下げて見たいと思います!

目次

「電磁力」でどうやって加速する?

「レールガン」という兵器が「電磁力を利用したもの」であるという事は、今日様々なエンターテインメント作品を通じて、或いは実際の次世代軍事兵器研究が公開される事で良く知られる所となった話題でしょう。
では「電磁力をどのように利用する」と「レールガン」という仕組みを形作るのかという点に迫ってみます。

「(電)磁力」と聞いて多くの人が最初に発想するであろう「反発力」を利用するというものがあります。磁石の双極…S極とN極の内、異なる極を近づけると引き合い、同じ極を近づけると反発するという性質は、磁力の最も基本的な性質として様々に利用されています。
もしかすると、この「反発力」を利用して磁石を押し付け合い、力を解放して弾を飛ばす玩具を作った…なんてちょっとアブない工作をした経験がある人もいたりするかもしれません。
※2024年6月14日以降「コイルガン」は改正銃刀法に抵触するものになりました!要注意!

この仕組みを電磁石によって構築したものは「コイルガン」(この分類は電磁石=ソレノイドコイルを利用したものの総称とされます)と呼ばれ「レールガン」とは異なる方法論として区別されます。
「コイルガン」は前述のように仕組みそのものが然程複雑ではなく、構造的にも比較的単純で済む一方、弾体の加速に掛けられる時間が一瞬しかない事が、電力を用いて加速する方式としての利点を活かしにくく、通常の銃砲と比較して大きな利点を示すには至らないという欠点から、大型火砲を構築するには不向きとされます。

「レールガン」の構造とは?

では本題となる「レールガン」の構造とはどのようなものかと言うと、根本的には2本の電極を「レール」のように敷き、その間を繋ぐようにして電気の流れるもの…基本的には弾体となるものをセットする事で「電気回路」が作られ、これによって弾体に「ローレンツ力」が作用する事で、電源とは逆方向へ「押し出される」ような力が働くという作用を利用したものです。
一見すると不思議な動作に見えるかもしれませんが、これは「電気が流れる」という一連の現象において電気が流れている物体=導体に掛かっている力そのままを取り出したもの…下敷きをこすりつけて髪の毛や軽い紙切れ等が吸い寄せられる力と同質のものと言えます。

言い様によっては「電磁力」…「電気」というものを利用して物体に力を掛ける方法論としては「コイルガン」よりも「電気というものの基本的性質に近い」とも言えるこの方法論は、事実として「コイルガン」が複数の設計アイデアを見出しながら「兵器としては」十分な威力を得るに至らなかった事に対し、1960年代には実験レベルながら砲身5mのレールで3gの弾丸を「秒速5.9km」で射出する事に成功したと記録されています。
これは単純に速度だけを比較すると、ライフル銃や戦車砲の3倍以上という速度であり、その後1980年代のアメリカでは宇宙空間で使用する兵器としての優位性を期待され、戦略防衛構想…通称「スター・ウォーズ計画」において研究が進められました。

惜しむらくは、この構想それ自体が大きく変遷していく状況の中で大きく形を変えざるを得なくなった事に加え、研究が進むに連れて明らかとなっていった「出力増強に伴う様々な問題」が障害となる事で「レールガン」そのものの有用性についても疑問が呈され、アメリカでの研究が事実上頓挫したとされる事でしょう。

出力増強に伴う問題?

この「出力増強に伴う問題」とは、兵器として「有効な威力」を得る為に必要となる電力の発生に成功したとして、それを回路の外へ漏らさない為の強度と高い絶縁性を持った素材でレールを保護し、レールそれ自体にはなるべく導電性が高く頑強な素材、弾体の軌道をより高精度で制御する為の電磁石…等と、基本的な構造材から要求のハードルが飛躍的に上がっていく事となります。

更にこれらの問題がクリア出来たとして、理論的には投入する電力に比例してその威力が上がるものの、弾体となる物体そのものにも「電気が流れる」事で、その影響を受けてしまう事になります。
これがあまりにも高エネルギー…と言っても目指す威力には物足りない程度…になると、弾体の進行方向に対して抵抗となってしまう電力が発生…「電磁誘導」に則る形で、言うなれば「動く電磁石」と化した弾体がレールの発生させる磁界の影響で「発電」してしまう…結果として無駄なエネルギー損失を発生させてしまうという問題も明らかになりました。

「レールガン」が兵器としての有用性を求める以上、その速度が高くなる事が必定ですが、この現象によって弾体やレールが溶解、プラズマ化してしまう程の温度に達する事があり、更にそのプラズマによって弾体の電力が散逸し、軌道が乱れてしまうといった悪影響まで起きる事が判明しました。
このような問題点を踏まえながら、アメリカでは2010年代まで揚陸支援砲撃用の大口径砲が研究されていたとされますが、現在ではこの計画が事実上断念されました。
一方、日本で「世界初の洋上試射に成功」したケースは、主な用途として極音速兵器の迎撃用等を勘案した口径の小さいものであると見られています。
詳細な情報は未だ非公表となっているようですが、公表されている情報を見る限りでは「手が届いた」感じを受けるものとして続報に期待が寄せられます。

ものを飛ばす兵器を紐解いて「レールガン」はどのような兵器?

ビームやレーザーと並んでSF世界を彩る兵器群の代表選手である「レールガン」という認識は、アメリカの政治中枢においてですらかの超有名作「スター・ウォーズ」の名を通称とする計画で語られる程、今日一般化したものだと言えるものです。
しかし、その根本的な原理は実用化へ至るには高度な技術が数多必要だとしても「電気」という現象、或いはそれを行使する為の技術に関して「最も基本的」と言える部分を利用しているものだと言える事に触れました。
この観点を踏まえ、少し余談めいた話として「レールガン」に至るまでの兵器の歴史を考えて見ます。

それは直接的な打撃から「ものを投げる」という距離を取って攻撃出来る方法へ発展し、投石器や投遣具といったもの、或いは投げる為の槍や斧、ブーメランやボーラーといった投擲武器などに発展していったと考えられます。
そこから弓矢やスリングショットのように伸縮性のある素材の反発力を利用する道具や、重量の移動を利用した機械式の大型投石器等といった道具が作られていきます。

火砲が現れるのは「火薬」というブレイクスルーが成立するのを待たねばならず、技術体系としては大きく歴史を下るものになる、その意味において「飛躍的に発展した」兵器であると言う事が出来るでしょう。
2024年現在から考えて、人類が未だ地球を出て戦争を始めてはいない事から、この「火薬」を推進力に用いた兵器…広義にはミサイル等も含む…ものが現有戦力として支配的である事を考え、現状における「最先端」の枠組みだと言えるでしょう。

結論!

この観点から考えた時、果たして「レールガン」が「どの枠組みに当たる」のかという疑問が浮上します。
推進力に火薬は使って居らず、弾体にも推進力となるようなものは不要、電気のON/OFFと流す電力によって威力を調節出来、レールガンを構築する構造材の信頼性さえ確かなら暴発などの危険も少ない…という、少なくとも「火砲」とは一線を画した存在である事が指摘されます。

一方で、構造部にエネルギーを蓄えたり、位置エネルギーを利用する事で「機械的」にものを飛ばす事や、弾体それ自体に強力な反応性を持たせる必要が無いという特徴から考えれば、どちらかと言えば「投石機などに近い」ものであるという結論が得られる事になります。
こうした奇妙な逆転現象が歴史の一幕において起きるというのもまた、科学の面白い「発展」の歴史であると言えるかもしれません。

理想とする威力へ辿り着くには、未だ高効率の電源や常温でも運用可能な超伝導体、高精度なローレンツ力をコントロールする技術或いは素材のように、飛躍的なブレイクスルーを必要とする「レールガン」。
それは研究によって得られる知見が更にプラズマや電磁気の領域を広げる事が期待される分野であるとも言えます。
兵器の枠組みに留まらない、科学的知見の発展も含めて今後の展開に期待したい話題です。

SF兵器数あれど「レールガン」程シンプルな名称なのに物凄い兵器であるイメージを掻き立てられるものも珍しいような気がします。
実際凄い兵器なんですが、理屈としては「古典的」な暴力でもあるのがまた素敵じゃないかと。

※画像はイメージです。

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