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幽霊が出る理由

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廃屋が複数点在する過疎地の風景は、なにも怪談が存在しないわけがない。
実際、霊としてこの世に残るのになにか理由があるのだろう。

この海沿いの小さな町は漁業で栄えたが年々漁獲量が減り、人々は他の土地に移っていき、老人だけが残った。
その老人も亡くなっていき、集落はほとんどが廃墟になって朽ちていく。
廃墟は好きではない、濃密な人の気配を感じるからだ。

事情があって、そんな土地に移り住んだ。

目次

ある若者との出会い

去年の秋、この近辺に一軒しかなない食堂で、ある若者に出会った。
彼は親戚から誰も住んでいない海が目の前にある家を貰い、釣りが好きなので同じ趣味の客を目当てにゲストハウスを始めるために東京から下見に来たという。

その家は私達がいまいる中心地から少し離れた集落にあって、その近辺に今は誰もすんでいないのを聞いているらいし。宿泊施設がないので廃墟となってしまった、家に泊まると言っていた。

この辺りは街灯がなく、恐ろしく夜は暗い。
日が落ちると昼間の若者が気になり、泊まると言っていた集落に車を走らせると、いつもは誰もいないその地域に光が見えた。
彼は廃墟の庭でカセットコンロを使って湯を沸かしながら、なにかに打ち震えている。

背後の廃墟はまるで今でも人が暮らしているように、ざわめきや濃密な気配を感じる。
いや、この場に置いて行くわけには行かないと思い、「良かったら、うちに泊まらない?」と話しかけると、少し涙目の彼は喜んだ。

車に荷物を運びこもうとしたとき、彼の背後に少女のシルエットが浮かび、それに気がついた彼が立ち尽くす。
私は荷物は朝とりに来ればいいと彼を車に押し込んで、その場を離れた。

彼の話

我が家に着いて一息つき、「霊は信じていないけど」・・・と彼は話し始めた。

家に寝袋を持ちこんで、寝る準備を整えている時、隣りの部屋から笑う声がした。
「廃墟どころか、廃村だ、誰もいるはずがない。」とつらつら考えるうちに、得体の知れない恐怖に取り憑かれてしまった。
野宿を決めて家の前に寝袋を敷いて、レトルトのカレーを温めようとすると風が強く吹きつける。
家の中からはかすかに笑う声や啜り泣く声が洩れ聞こえる。風の音、気のせいだと思っても、恐怖はじわじわ迫って来るように感じたとき、私がやってきたのだ。

次の日、十分に日が登った頃、彼と共にあの家へ行って荷物をまとめ、その足で近場の駅まで送っていった。
車内ではずっと無言だったが、もうこの地にはこないであろう。

あの集落

後からあの集落について、さりげなく情報を集めた。すると小学校に併設された図書館で地域の記録誌で気なる記事を見つけた。

結論から言えば、廃集落だから霊が棲みつくわけじゃない。
集落からすぐの場所に断崖あり、風が強い時期に外で遊んでいて転落死した少女がいた。
母は自分を責め、集落では同情と批難する声に追い詰められて残った一家は、少女が亡くなった断崖から飛び降りたらしい。
それから集落ではいろいろな不幸が続き出したというのだ。

霊になるにはきっと複数の悲しい条件が重なるのだ・・・、楽しかった少女の無念、残された家族を追い詰める閉鎖的な環境。
私は今回の事で始めてしったのだが、近所のお婆さんによれば今も噂となって囁かれているという。

彼とはSNSでつながっていたので、この話とあの家の写真を何枚か送った。
この家は放棄するので、画像は残さないで欲しいと懇願された。
画像を消していく中で、少女の姿だと思うモノが映り込んだ写真を見つけたのだが・・・消去した。

※画像はイメージです。

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