これは私が高校生の頃の話なので、今も同じように地元で噂になっているかは解りませんし、もう既に実在すらしないかもしれない。
あの頃は、よくある思い込みや、ただの噂話だと思っていました。
まさか自分が目の当たりにする事になるとは・・・。
赤レンガマンション
高校に入学してしばらく経ち、それぞれが学校にも馴染み始めた初夏、クラスの男子たちが心霊スポットについて盛り上がっていました。
私も興味はあったのでこっそり聞いていると、どうやら学校からそれほど遠くない、高校生でも行ける場所にマンションの廃墟があるというのです。その子は先輩にきいたらしいのですが、その外観から「赤レンガマンション」と呼ばれ、そこでは心霊体験しかり、必ずというぐらいに心霊写真が撮れるらしい。
結局その子達は「今日行こう!」という話でまとまったようで、授業が終わると嬉々として「赤レンガマンション」に向かっていったようでした。
心霊写真
翌日学校に行くと教室は大騒ぎでした。マンションに行った子たちが「心霊写真が撮れた」と周りに見せびらかして、盛り上がっていたのです。
私も見せてもらったのですが、そう言われれば見えなくもないけれど、という印象でした。
それからというものマンションに行く学生が続出するようになるのですが・・・。
すんなり入れた子と、入口に鍵がかかっていて入れなかった子と証言するがいて、現場の状況に食い違いがあり、その不気味さから恐怖を煽りました。
私は親友から行こうと誘われたのですが、面白半分でそういう場所に行くのは嫌だったので断っていました。
するとそのうちに彼は1人で行ったらしく、マンションの中の写真を見せてもらい、その中には例にもれず「そう言われれば」といった心霊写真があったのです。
「赤レンガマンション」の噂が学校中に広まった頃、最初に心霊写真を見せびらかした男子の1人が、交通事故にあってしばらく入院してしまいました。
偶然だとおもうのですが、マンションにいって中に入れた子の何人かが、なにかしら不幸な出来事が起き初めたのです。もしかしたらと思って、親友に連絡すると本人はなんとのなかったのですが、お父さんが仕事中に脚立から落ちて怪我をしてしまった。
何があるのか?
いろいろな噂が錯綜し「赤レンガマンション」は呪われていると皆が思い始めました。
実のところ、私はミステリーが大好きで、すこし感覚が違っているようなので、噂になっているのがどんなところなのか、何故かだんだんと気になってしいます。
しかし自分に不幸が降りかかるのはと思い、最終的には外から見るだけと決めてマンションに向かいました。
赤いレンガのマンションは日当たりが悪い立地なのと、割れた窓ガラスのおかげで異様な雰囲気です。
確かに不気味という感じがして、いかにも心霊スポットという佇まいですが、結局不気味な雰囲気だけで何もなく、やっぱり気のせいなんだろうと帰ろうとした時でした。
眼の前に見えているマンションの入口の扉が、とつぜん音もなく解放されたのです。
中を調べてみたいといった好奇心はあったのですが、恐ろしいというよりは「入ってはいけない」と嫌な気がしたので逃げるように帰宅しました。
この事は誰にも話さなかったのですが、私が思うには、なにかの理由で「赤レンガマンション」は人を選んで中に入れているように思うのです。
今でも鮮明に思い出せますが、もし中に入っていたらどんなことが起こっていたのか、なぜ私には開いていたのか、想像するだけでも怖かったです。
※画像はイメージです。
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