山奥の廃墟で見たモノは本物?

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僕は大阪のK大学に通っていましたが、学部はF県にありました。
いわゆる地方キャンパスで、街を少し離れると山がいくつもあって自然に恵まれた環境です。

その年は夏休みになっても、僕はバイトがあったので大阪には帰りませんでした。
同じように帰省しなかった同級生が二人いて、その日は三人とも暇を持て余していました。
そこで、近くにある山のハイキングコースへ遊びに行くことにしたのです。

観光地というほどではありませんが、気軽に登れる程度の山。
ですが、その山で少し妙な体験をすることになります。

目次

山で見つけた廃墟

夏休みの開放感もあって、三人とも妙に浮かれていました。
初めのうちは整備されたハイキングコースを歩いていたのですが、そのうち友人の一人が言い出します。

「こんなんじゃ、ただの散歩じゃん」
「せっかく山に来たんだしさ、ちょっと探検してみようぜ」

そんな軽いノリで、僕たちはコースを外れ、山の奥へ入り込んでいきました。
まるで子供の頃の探検ごっこみたいなノリでした。

しばらく登ったところで、一軒の家があるのを見つけます。
古い二階建ての家で、外壁は茶色く変色し、窓ガラスもいくつか割れています。人が住んでいる様子はなく、完全に放置された廃屋でした。

僕が指を差して言いました。

「あれ、廃墟じゃないか?」

三人とも一瞬黙りましたが、結局、好奇心には勝てません。

「ちょっと見に行こうぜ」

僕たちは少しビビりながらも、ワクワクしながら、その家に近づいていきました。

部屋にいたのは

二階へ上がってすぐに、扉の開いた部屋がありました。
入ってみると、中には古いタンスやベッドがあり、床には色あせたカーペットが敷かれています。
思った以上に生活感が残っていて、ゾクゾクしました。

壁際に押し入れがあったので、何となく開けてみると、中には畳んだ布団がいくつか残されています。
埃をかぶってはいましたが、誰かがつい最近まで使っていたような妙な生々しさがあります。

その部屋の隣にも、もう一つ部屋がありました。
ドアは閉まっていましたが、鍵はかかっていません。
僕がゆっくりとドアノブを回して、少しだけ開けた瞬間でした。

「……うわっ!」

思わず声が漏れます。

部屋の中央に、男がぶら下がっていました
天井の梁からロープが垂れ下がり、中年くらいの男が首を吊ったまま揺れています。
足は床から少し浮いていて、体は力なく前後に動いていました。

僕は反射的にドアを閉めました。

「今の……見たか?」
「首……吊ってたよな……?」

三人とも顔を見合わせたまま、言葉が続きません。

次の瞬間、誰からともなく階段へ向かってダッシュし、転げ落ちるように一階へ降り、そのまま外へ飛び出します。
しばらく走って、家から少し離れた開けた場所まで来たところで、ようやく足を止めました。
三人とも息が切れて、しばらく言葉が出ません。

その時、友人の一人が言いました。

「……これ、警察に通報した方がいいんじゃないか」

僕たちは顔を見合わせてどうしようと話あったのですが、結局その場で警察に連絡しました。

部屋にいたのは

やって来た警察官と一緒に、僕たちはもう一度家の中へ入りました。
正直、二階へ上がるのはかなり怖かった。

警察官が先頭に立ち、問題の部屋の前まで行き、そしてドアノブを回し、ゆっくりと扉を開けます。
僕たちは思わず身構えました。

ですが⋯部屋の中には、ロープも遺体もありません。

「……いないな」

警察官がそう言いました。
僕たちは顔を見合わせます。

「いや、さっき確かに……」
「首、吊ってたよな?」

三人とも同じものを見たはずなのに、部屋には何も残っていませんでした。

結局、僕たちは警察官にこっぴどく叱られました。
廃墟に無断で侵入したことと、いたずら通報をしたと思われたからです。
何度「本当に見た」と説明しても、まったく信じてもらえませんでした。

運よく、というか、あまりに必死で説明する僕達の事が面倒くさいと思われたのか、その場で簡単な事情聴取だけ受けて解放されました。

あれから何年も経ちますが、今でも時々思い出します。
あの時、僕たち三人が見たものは、一体何だったのでしょう?
ただ一つ言えるのは、あの出来事があってから、僕は廃墟に入るのが本当に苦手になったということです。
今でも友人に誘われることがありますが、どうしても行く気にはなれません。

※画像はイメージです。

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