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千里眼の異世界予知

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若い頃に体験し、不思議で現在に至るまで続く不可解な現象のお話。

目次

卒論の取材

あれは大学生の頃、猛暑の中、ど田舎のある部落を訪れていた。
その理由は詳しくは話せないけれど、卒論のテーマ「民俗学と古代日本史」に関する祠があるからが。
古文章を元にインターネットの情報で場所を突き止め、周辺住民に聞きこみをして辿りついた。

それは、千里眼の古来言い伝えのある里である。
部落の人間特有のよそ者扱いは一切なかったけれど、「特別な優しさ」に包まれるような人たちに歓迎された。
不自然さを感じとり念入りに申し出を断って写真を数枚だけ撮らせてもらい、失礼がないように深々とお参りをすませて早々に帰宅することにした。

一夜の夢

自宅でビールを飲みながら「今日の部落の人たちはおかしな奴おらんかったなぁ・・・」。
しみじみ想いながら熱帯夜の夕飯をすませ、エアコンは喉に悪いと電気代をケチる理由にして、窓を全開にして扇風機を回して寝るのだが、暑くて寝苦しい夜でなかなか眠りにつけない。

夢なのか、現実なのか、狭間がはっきりしなくなってくると、目の前にいつもと同じ日常が繰り広げられるが、普段と何かが少し違う。
自分の知っている周りの人間がみんな老け込んでいて、街には新しい建物が建って、以前からある物は朽ちている。
パッと老婆が表れたと思ったら実母だった、少し違和感がある現実的な異世界のような夢から目が覚めた。

あれから20年

それから20年の時を経て40代になった。
あの時に見た夢の風景や人物、今起きている姿そのものだ。
思い出したようにフラフラっと、20年前の千里眼の言い伝えがある部落へ向かった。

しかし場所は全く同じで間違っていないのにダムが作らたようで、部落ごと消えてしまっている。
あかん、祟られてもうたんか・・・?

※画像はイメージです。

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