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日本のSF小説に興味の無かった私が語る「伊藤計劃」

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伊藤計劃という作家をご存知だろうか?
日本のSF作家である。彼の作品で言えば『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』……どれか一つぐらいは耳にしたことがあるかもしれない。──ない? なら今耳にしたってことで。
耳にしたことはあっても、眉を顰めたそこのアナタ。
そうそこの。私もです。かつてのね。

目次

SFと言えば

SF(サイエンス・フィクション)と言えば欧米こそが本場。SF作家ならアーサー・C・クラーク、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインラインは外せないだろう。読んだかアシモフの『鋼鉄都市』を。ああ日本のSF小説?

ハッ(鼻で嗤う音)──と思っていた時代が私にもありました。

確かに先に挙げた作家の作品は素晴らしい。『鋼鉄都市』も素晴らしい。これを読む読者は眼鏡をかけているだろうか?
かけているなら読もう、読んだら君が本部長役をやってくれ。私がベイリ刑事役だ。よろしく頼む。
アシモフと言えばSFに留まらずミステリも素晴らしくて──
いや、伊藤計劃の話をしよう。

伊藤計劃

彼の遺作『ハーモニー』の話をしよう。
舞台は21世紀後半、統治機構「生府」が管理する世界だ。超高度な医療経済。大規模な福祉厚生社会。健康であり幸福であらねばならない社会。優しさと倫理が支配する──端的に言えばディストピア。
そんな社会に反感を抱いた女性を主人公に物語が展開されていく。かつて死ねない社会で自殺を試みた女性だ。ヒュー、サイコーにクールだぜ!

是非日本のSF作家を嫌厭しがちな人に読んで欲しい。だって日本のSF小説、ぬるいこと多くない? もっと設定練ってよお! 専門用語出してよお! みたいな。海外SFに慣れた人間は満足できないのだ。そんな欲張りさんにも安心な作品である。専門用語がワンサカ登場するし、なんなら作品全体がHTML/XMLを思わせるマークアップ言語で描かれている。

ちなみに先に挙げた『虐殺器官』『ハーモニー』『屍者の帝国』、いずれも長編小説であり劇場アニメ化されている。アニメは好きだけど、長編小説はちょっと……という方は劇場アニメ版から是非。
 その上で『ハーモニー』のラストは、文章表現が圧倒的なので、劇場アニメ版を見た後には小説も是非読んでほしい。頼むよ。一緒に圧倒されてほしいよ。
一方で眉を顰めた方。そうそこの。アニメを嫌厭しがちなそこの方。アニメ原作となる小説を嫌厭しがちなそこの方。私もです。大丈夫、こわくない。好きな小説の主人公がピチピチキラキラな女の子になっていると何だか嫌な気持ちになるのよね。わかるよ。ピチピチキラキラではなかったから安心して小説を手に取ってほしい。

はてさて

さて、この伊藤計劃、実は既に亡くなっている。
亡くなったのは2009年。2007年に『虐殺器官』にデビューしているから、僅か2年程の活動期間だった。享年34歳。余りにも早過ぎる。

『ハーモニー』を私が読んだのは2010年代。その時には既に著者が亡くなっていて、「もっと早く読めばよかった」と絶望したものだ。伊藤計劃の作品に唯一欠点があるとすれば、もう新作が読めないことだ。せめて彼が生きている間に読みたかった。もっと早く読めばよかった。
これを読んだ皆様も、是非伊藤計劃を読んでくれ。そして一緒に絶望してくれ。

(C) 伊藤計劃 早川書房

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