神奈川県某所の国道沿い。
約150坪の敷地に4軒の家が建っており、そのうちの1軒の借家で、80代の老婆が一人で暮らしていました。
老婆A
老婆の名前はA。
住んでいる借家の敷地は仕切りがあり、ほかの3軒の家とは独立している。にもかかわらず、Aは敷地内に勝手に入り込み、我が物顔で歩き回っていた。大家は敷地内で倒れたりしては困るため、入らないよう何度も伝えていたが、まったく聞く耳を持たず、頭を抱えていた。
近所には60代の娘が住んでおり、家賃はその娘が支払っていたが、訪ねてくることはありませんでした。
Aはずるがしこく、自分の都合の良いように話を作り変えて吹聴する性質があり、顔見知りや知り合いは多いものの、ほとんどから嫌われていたのです。
さらに近くには弟が住んでおり、よく訪ねてきては2人で周囲の人に言いがかりをつけ、トラブルを起こしていました。二人は当初はそれほどでもなかったのですが、Aが80歳を超えた頃から徐々に攻撃性が強まり、他者と衝突する頻度が増えていきました。
認知症の進行も原因の一つなのかもしれません。
介入の提案
弟以外に訪ねて来る者といえば、デイサービスの送迎くらいだった。
Aはデイサービスに通っていたが、被害妄想を口にしたり、他の利用者や職員に対して悪口を言ったりすることが多く、周囲に不快な思いをさせていたのです。
本人にとっては居心地が良かったようで、気にすることもなく、ほぼ毎日通っていました。
しかし攻撃性の高まりとともにトラブルが増え、他の利用者から施設へクレームが寄せられるようになります。
施設側は連絡先となっている娘に連絡を取り、精神科への受診を勧めました。
気持ちを穏やかにする薬の処方が必要であり、このままトラブルが続く場合は受け入れが難しくなる、という説明でした。
娘が付き添って受診しようとすると、Aは強く反発します。
「なぜ自分が病院に行かなければならないのか。自分の何がいけないんだ!だったらもうデイサービスなんか行かない。お前ももうここへ来るな!」
抑えきれない感情
やがて、Aのもとに寄り付く者はいなくなりました。
娘さんも、顔を合わせるたびに激しく怒鳴り散らされるために、近づくことができません。
唯一の外出先であったデイサービスも、A自身が利用を断るようになり、送迎が来ても無視して居留守を使うようになっていきます。
娘さんとしては通所を続けてほしい気持ちはあったものの、この状態では周囲に迷惑がかかると判断し、呼び鈴を鳴らして応答がなければそのまま帰ってもよいと施設側に伝えていましたようです。
もう誰も訪れないと思われていましたが、時折、近くの道路を歩いていると、Aの家から弟と大声で言い争うような声が聞こえてくることがありました。
ところがある日、これまでよりも激しい言い争いの声が響き渡ったのです。近隣の人たちは「また騒いでいる」と、うんざりした様子で聞き流していたと言います。
ただそれ以降、弟が訪れることはなくなり、家から怒鳴り声が聞こえることも途絶えたのです。
こたつの中のA
周囲の注意や関心は時間とともに薄れ、日常の忙しさの中に埋もれていった頃、Aの家に久しぶりに弟が訪れました。
喧嘩別れしたことを忘れたかのように、これまでと同じような感覚で何気なく顔を出したといいます。
いつもの様に玄関は施錠されてなかったので、いつもの様に家の中へ上がり込んでいくと、テレビの音が聞こえたので居間の方へ向かっていきました。
異様なにおいが気になったのですが、こたつの向こうにAの後ろが見えたのです。
声をかけても反応しないので、「眠っているのか」と思ったのも束の間でした。
Aは微動だにせず、顔は真っ白で、生きている人間のものではなかった。
驚いて腰を抜かしながら、救急車を呼びました。
救急隊が到着してこたつをめくってみると、こたつの電気はついたまま。
こたつ布団の中に入っている部分は身体がすっかり腐っていて、ドロドロに溶けてしまっていたそうです。
その後
その後、Aの住んでいた家には入居者が現れず、空き家のままの状態が続きました。
やがて周辺の3軒には不幸がつづいたそうで、順に人が住まなくなったそうです。
理由は明確ではありませんが、大家は気持ち悪く思ったのか、全ての家が取り壊され、跡地にはコンビニとコインランドリーを併設した施設が建てられました。
ばらくして、コンビニで奇妙な噂が聞かれるようになりました。
午前二時頃になると、老婆が来店する。店員が違和感を覚えて様子を見ていると、肩から上しかなく、下半身が溶けたように見える。
目が合うとニヤリ笑い、ヌルヌルとゆっくりと近づいてくるそうなのです。
いつしかコンビニは閉店してしまい、噂を聞く事はなくなりましたが、どう考えてもAだと思います。
亡くなってなお、他人に迷惑をかけるなんて、困った人です。
※画像はイメージです。


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