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誰も居ないベッドからイビキ

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私が昨年秋から冬に掛けて、持病(心臓病)の為、市内の総合病院に二度入院した。
第一回目は三泊四日の検査入院。四人部屋で各自患者同士カーテンに囲まれ、常にマスク着用で治療を受けていた。
その為入院当初から退院迄患者同士誰も知らないのが当たり前。

退院の朝、迎えの家内を待ちながら談話室で休憩していると80歳位の男性がいた。ちょっぴり物淋しい感じ、私はおはようございますと挨拶をした。男性はおはようございますと返し、自身の病気の話しを始めた。
私も貴方の病状はと聞かれたので素直に答えた。どうやこの男性は同室の迎えベッドの方だった。

「あんたはまだ若いのにそんな病気とは…」

大粒の涙を流してくれた。
一応その日私は無事退院した。

それからひと月後病気治療で二度目の入院。今回も前回と同じ七階の部屋。初日は私ひとり貸し切り状態。
ベッドは退院時会った男性の真横のベッド。初日夕食迄暇な時間、読書をしていると、私以外誰も居ない部屋からイビキがする。

それから9時の消灯になってから10分したらイビキが聞こえる。
あれれ…気味が悪いと思いイヤホンでラジオを聴きながら寝てしまった。

翌日、お昼近くに私の手術、朝から家内がベッドの隅の椅子に座り私を見守っていた。やがて手術室に向かった私のベッドの処で家内は私を待った。手術も順調にいき、夕飯をスプーンで私の口に運んでくれた家内。

「昼間この部屋からイビキが聞こえたけど(横のベッドから)誰もいなくて…」

私が聞いたあのイビキを家内も聞いていた。その晩も…同じイビキが聞こえた。次の日一度に三人患者が入り満床となった。それからは…イビキは聞こえなくなった。
後から掃除のお姉さんにそのイビキの件を訪ねたら、私が入院する10日前、その男性は亡くなったそうです。
赤の他人の私を自分の痛みの様に感じてくれたあの男性の霊だったのか…有難う心で手合わせました。

朝一揚羽(あさいちあげは) 

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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