1989年、北海道の旭岳で白樺の木で作られた「SOS」の文字と遭難者2名が発見されました。
この文字は彼らが作ったと思われましたが「自分達は作ってない」と証言。
「他に遭難者がいるのでは?」と捜索を進めていくと、不可解な遺留品が見つかったのです。
助けを求めたのは誰なのか?
遺留品に隠された意味は?
不気味な「SOS遭難事件」の真相へ迫ります。
事件概要
1989年7月24日午後、北海道大雪山系の黒岳から旭岳へ向かう途中に「男性登山者2名が行方不明になった」という通報が入りました。警察のヘリコプターが、登山ルートから外れた旭岳にある忠別川源流で、白樺の倒木を積み上げた「SOS」の文字を発見。
2名の男性は、この文字から約3km程度離れた場所で救助され、事情を聞いていくと「SOSは知らない」と主張。そのため別の遭難者の可能性を考え、翌日には再び現地を捜索するといくつかの遺留品が見つかります。
その中でもヒグマに噛まれた形跡のある人骨(左大腿骨 左頸骨 骨盤の一部)が発見された事から、登山中に襲われたのでしょう。
他にも特徴的なのはカセットテープとテープレコーダーで、それには助けを求める若い男性の叫び声が録音されていました。
SOS助けてくれ、崖の上で身動き取れず、SOS助けてくれ。場所は初めにヘリと会ったところ。笹深くて上には行けない。ここから吊り上げてくれ
https://ja.wikipedia.org/wiki/SOS%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
人骨は女性と判明され、再度の捜索で頭蓋骨、男性用バスケットシューズも見つかりますが、男性の遺体は存在せず、謎に満ちたままだったのです。
新たな事実
事件から半年後の1990年2月28日。
警察は頭蓋骨と被害者の頭部の写真を重ね合わせる検査法で再鑑定した結果、「人骨はすべて愛知県の男性Iさん」と発表しました。
他にもいくつかの事実が判明。
- 旭岳に女性行方不明者は記録されていない
- 愛知県の男性は1人で入山していた
- バスケットシューズのサイズ+お守り(神社の所在地)=Iさんと一致
つまり遭難者は男性1名。
これまで男女1組と思われた人骨は1人のものだったのです。
これで解決かと思われましたが、新たに3つの疑問が浮上しました。
疑問点1:なぜ「SOS」の文字は放置されたのか?
1987年9月20日、林野庁は国土地理院の地形図作成の為に空中撮影しているとき、木の枝で積み上げられた「SOS」を発見し、このとき既にら確認されていたのです。
Iさんが行方不明になったのは、1984年7月。
しかも、彼と同じように男性登山者の行方不明届が提出されており、その捜索が行われたかどうかも確認できません。
そのためこの「SOS」はIさん、あるいは行方不明の男性登山者によって作られたと考えられます。
だとすれば林野庁は、遭難者から求められた助けを放置したと考えられないでしょうか?
見過ごされた理由は「イタズラと思ったから」と言えなくもありませんが、例えそうだとしても確認はするはず。
もちろん確認後、「近くに誰もいなかった」という場合も想定できます。
しかしそれなら、誤解を招く文字を解体するよう関係各所に連絡するでしょう。
撮影から2年経っても放置されたのは、縦割り行政の弊害。
「これを片付けるのは自分達の役割ではない」と考え、気づいたけど言わなくても良いと判断したからではないでしょうか。
それからもう1つ。
噂によれば「SOS」の文字は、1989年秋に警察の手で撤去されたと報じられています。
疑問点2:遺体発見現場と録音内容の違い
Iさんの発見は、旭岳山頂から南へ4km進んだ標高1,320mの湿原。
カセットテープに残されていたのは、初めにヘリと会ったところ。
この言葉の意味を解読するのは難しいですが、彼はヘリと出会っていたのですが、救出の願いは叶わず命を落としたのでしょう。
原因は、おそらくヒグマに襲われたこと。
「崖の上で身動き取れない」と言ったのは、近くにヒグマの脅威があったからではないでしょうか。
発見現場と録音内容が異なるのは、崖の上にいたときヒグマと遭遇して一撃を加えられた。
ヒグマは食べきれない獲物を隠す習性があるため、Iさんを移動させたのかもしれません。
疑問点3:なぜカセットテープに録音したのか
当時のはっきりした現状は不明ですが、崖の上へ避難したとき頭上にヘリが飛んでいたのかもしれません。
そのため無我夢中で叫びながら助けを求め、そのときテープレコーダーのスイッチに触れたのではないでしょうか。
普段バッグの中に入れていれば、スイッチを触ったりはしません。
しかし、いわゆる極限状態だった彼は、ヘリに合図を送れるもの探していた。
「大声で助けを呼ぶと体力がもたない」「テープに録音して最大ボリュームで再生しよう」と思い立ち録音した。
ヒグマを警戒させる目的で、叫び声を録音したとも考えられるでしょう。
音声の他には「超時空要塞マクロス」や「魔法のプリンセス ミンキーモモ」などのアニメソングもあり、Iさんはこれらの歌を聞きながら登山を楽しんでいたと思われます。
いずれにしても録音した意図は不明で、危機的状況から抜け出したかった気持ちが唐突な行動をとらせたのかもしれません。
事件の顛末
発端となった男性は2名、旭岳の稜線部にある巨大な大岩「金庫岩」を目印に歩きましたが、近くにあった同じような岩を本物と勘違いし、道を間違えたのでしょう。
事実この「ニセ金庫岩」を頼りに下山すると、Iさんが亡くなった現場へたどり着く。
そこには笹の繁みが広がっており、行く手を阻まれます。
「SOS」の文字と人骨がオカルトを彷彿とさせますが、実際には血なまぐさい衝突ではなく遭難から派生した事件。
ネット上には録音されたテープの肉声もあがっているので、興味のある方は探してみてください。
※画像はイメージです。
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