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現在に息づくルーマニアの吸血鬼「ストリゴイ」

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吸血鬼と聞くと、多くの人はドラキュラ伯爵を思い浮かべるでしょう。
しかし、ルーマニアにはそれとはちがった吸血鬼伝説が存在する。それが「ストリゴイ」。
ストリゴイは単なるフィクションではなく、今なお一部の地域で信じられ続け、その影響は伝説や民間信仰の枠を超え、現実の事件にまで発展することがある。

ストリゴイとなどんな吸血鬼なのか、実際に起こった事件について考察していこう。

目次

ルーマニアの吸血鬼 ストリゴイ

ストリゴイはルーマニアの吸血鬼伝説の一つである。
日本でも漫画やゲームなど創作作品に登場するが、吸血鬼の中でも格下の存在のような立ち位置に感じられる。

ストリゴイも死後に墓から蘇って生者に危害を加えるのは、一般的な吸血鬼像と同様。
しかし、生きている状態と死んだ状態の2つの心臓を持ち、赤毛で青い目の容姿、血を接種して活力を得る以外にも、呪いをかけることもある等と、典型的な吸血鬼のイメージとはすこし離れている。

また、血を吸われた被害者が吸血鬼になるだけではなく、ストリゴイと化すのは犯罪者や魔女、自殺者などの生前の行い、七番目の息子や片想いの末に結婚せずに死んだ者などから、猫に跳び越えられた死体、ギリシャ正教の墓地以外の埋葬と伝承によって条件が豊富なのだ。

吸血鬼の伝承は、ルーマニア周辺で古くから存在してきた。おそらく記録に残る最古の事例として、17世紀に亡くなったとされるジュレ・グランド(Jure Grando)の伝説がある。
彼は現在のクロアチア・イストラ地方のクリンガ村で病死して吸血鬼となった。
吸血鬼と化した彼は村の家々のドアをノックしてまわり、その家の住人は亡くなってしまう。
そして斬首されるまでの16年もの間、住民を恐怖に陥れたとされる。

蛇足ではあるが、この話はかなり眉唾ものである。
吸血していないのに、なぜ吸血鬼なのか?と疑問におもうだろう。伝承によれば、彼は「シュトリグン」(ふくろう)と呼ばれて、「シュトリグン」は吸血鬼の意味もあるようだ。
そうするとルーマニアでは「ふくろう」は吸血するとおもうだろうが、そんな事はないようで真意は解らない。
それにいくらなんでも16年間というのは長すぎるだろう。

ジュレ・グランドの伝説は、西ヨーロッパの吸血鬼像の形成に影響を与えたと考えられ、あくまでも吸血鬼は伝承の中での存在。だがしかし、ルーマニアでは事情が異なる。
ルーマニアの吸血鬼ストリゴイは伝説ではなく、現実なのだ。

2003年の事件

2003年12月、ルーマニアのマロティヌ・デ・スス地区でペトレ・トマという老人が亡くなると、義妹が原因不明の病に倒れ、次第に衰弱していった。
村の人々はストリゴイの仕業で、ぺトレが死後にストリゴイとなったのではないかと疑い、墓地に赴いて遺体を掘り起した。すると、遺体は埋葬時とは異なり、腹ばいになり、口元には新しい血の跡があったという。

この光景を見た彼らは、ぺトレがストリゴイになったと確信し、伝統にしたがった処置を進めた。
心臓を取り出しで破壊し、遺体にも杭を打ち込む事でストリゴイの退治は完了するらしい。

年が明け、この出来事を知ったルーマニア警察は、死体損壊の罪で関与した村人たちを逮捕、起訴した。
結果として彼らは6カ月の執行猶予を言い渡されたが、村の住民たちはこの裁定に不満だ。

村人たちにとって、ストリゴイを退治するのは先祖代々受け継がれてきた伝統であり、不可欠なもので、彼らは「この土地ではずっと行われてきたことだ」と主張したのだった。

伝統と現代社会の衝突

この事件は、伝統的な信仰と現代の法制度が衝突する一例といえる。
合理的に考えれば、ストリゴイの存在は科学的に証明されておらず、遺体を損壊する行為は法的に許されるものではない。しかし長年にわたる文化的背景や共同体の信念を無視して、一方的にこれを否定することもまた難しい。

ストリゴイ信仰は、ルーマニアの特定の地域に根付いた文化のようなものであり、恐怖と共存する形で継承されてきた。科学的には説明のつかない病や不幸な出来事が起こると、人々はそれをストリゴイの仕業と解釈し、退治する事によって安心を得ようとする。

政府や国際社会がこのような伝統にどのように対応すべきかは難しい問題ではないだろうか?
信仰や文化を尊重する一方で、法と人権の観点から一定の規制を設けることはできるであろうか?

ストリゴイが単なる伝説ではなく、現代社会に影響を及ぼしている。
つまり、その存在は信じる者にとって、今なお「生き続けて」いるのだ。

※画像はイメージです。

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