終電の出来事

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私は都内で働く会社員です。
心霊現象について、どちらかといえば懐疑的ですが、人は酔っ払うとまともな判断ができなくなるもの。
この出来事は、どうしても腑に落ちない体験した話です。

目次

飲み会の帰り

その日は会社の同僚たちと飲み会があり、終電間際の電車に乗りました。
全員それなりに酒が入って気分が高揚し、車内は空いていて他に乗客は見当たらない事もあって、私たちは周囲を気にすることもなく騒いでいたのです。

次の駅に到着してドアが開くと、180cmは余裕で超えているだろう長身の、黒いコートを着た男性が乗ってきました。あまりにも不気味な姿なので気になって顔を覗き込んでみると、深々とかぶったフードの影になってよく見えません。
今思えば、季節は真夏だったので、そんな暑苦しい服装は不自然で不気味。もし飲んでなくて一人きりで電車に乗っていたら、関わりたくないので間違いなく他の車両に移っています。

酔っ払い

突然、一人が指を差し「うわ、あいつデカいな!」と笑いだし、「確かに!」と他の連中もつられて大笑いを初めたのです。
私は一瞬で酔いが冷めてしまい、止めようとするのですが、その男はこちらへ向かってきました。
全身を左右にゆらしながら、「歩く」というより滑るように。
はっと一瞬で距離が詰まり、コートの男は私たちが並んで座っている前に立ちはだかります。

薄暗い車内、フードの中から顔が浮かび上がりました。
それは無表情ですが、口元がかすかに歪んでいます。
なにかを伝えようとしたようですが、言葉ではなくて耳障りな「音」。
聞いた瞬間、その場にいた全員が悲鳴を上げた・・・。

夢か幻か

私たちはいつのまにか眠ってしまっていたようで、気がついたときには電車は終着駅に到着し、駅員に肩を叩かれて起こされました。
車内は惨憺たる状態。
同僚の中には失禁している者、嘔吐物にまみれてしまっている者、自分自身も、まともな状態ではありません。
酒に潰れた結果だとしても、なかなか悲惨。

最初は、あれは夢だったのだと思いました。
酔い潰れて見た、悪い夢だと。

ところが、同僚たちが口々に言い出したのです。
「変な夢を見た」
「背の高い人間が出てきた」
「電車の中で、何かおかしいものを見た気がする」

細部は一致していませんでしたが、「怖いものを見た」「説明できない違和感があった」という点だけは、全員が共通し、私一人の夢ではないようです。

それよりもなによりも

電車の中で起きた出来事が、錯覚だったのか、夢だったのか、それとも別の何かなのか。
その答えは、今でも出ていません。

ただ一つ確かだったのは、私たちは終着駅で目を覚ましたという現実。
そこは、周囲にほとんど何もない田舎の駅で、タクシーも見当たりません。

始発までには時間があり、コンビニすら見当たりません。
われに帰った私たちは互いに顔を見合わせ、どうやって朝まで時間を潰すべきかを考えていました。

※画像はイメージです。

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