皆さんは中国の妖怪・太歳をご存じですか?
古代中国の妖怪事典『山海経』にも視肉(シーロウ)の名前で登場する太歳は、丸っこい肉塊に四本足が生えたような奇妙な見た目に反し、一族郎党を祟り殺す力を持っているとされ、中国の人々に恐れられています。
今回はそんな太歳の性質や逸話を紹介していきたいと思います。
土中に住む木星の化身
太歳(タイスイ)は地中に住むとされる中国の妖怪。『山海経』曰く、その見た目は牛の肝臓に似ており、一部を切り取って食べても増えて減らず、永遠の命を保ち続けるとされています。早い話が肉塊のお化け。
後世には全身に無数の目が開眼した、キモカワイイ姿で絵に描かれるようになります。体色は粘菌さながら赤黒く、一説によると人語を解し喋るそうな。
太歳はもともと太歳星(木星)の化身とされ、木星のある方角を目指して地中を掘り進む習性を持ちます。
古代中国は占星術を大変重視し、中でも木星の位置取りで、吉凶を占うことにこだわりました。
木星の位置が狂うと天災が起きるとされ、大規模な土木工事が行われる際は、占星術師たちが固唾を飲んで木星の行方を追ったそうです。『Fate/Grand Order』に登場するサーヴァント・太歳星君は、この太歳を擬人化したもの。
厳密には木星の写しとされる架空の惑星をさし、「見たものに不幸をもたらす凶神」の性質が与えられていました。これが平安期の日本に渡り、陰陽道における禍津神へ変化していきます。
嬉しくないサプライズ?掘り当てたら一族全滅
中国では太歳を掘りだすことはタブー。土木工事中に偶然発見してしまった場合は、即座に埋め直さなければいけません。さもないと掘り出した人間のみならず、一族全員が祟り殺されてしまいます。
昔々、晁良貞という男が太歳を掘り当てました。太歳の祟りを恐れた彼は「鞭で滅茶打ちにすりゃ殺せるんじゃないか?」と思い付いてその通りにし、結果的に逃げ切ることが叶います。
後日、別の男が太歳を掘り出します。良貞の振る舞いを思い出した彼は、同じように太歳を鞭打って延命を図ったものの、72人いた一族のうち71人までも死に絶えてしまいました。
良貞が奇跡的に生き残れたのは、ただ単に彼が凄まじい強運の持ち主だったからだと思われます。
気になるお味は?
そんな最凶妖怪太歳ですが、今でも中国各地で発見され、煮たり焼かれたりして一般家庭の食卓に上っています。
実は太歳は「食べると百歳過ぎても長生きする」と言われ、中国の伝説的聖人である尭や舜、禹も口にしたと信じられてきたのです。
さらには秦の始皇帝が探し求めた不老不死の秘薬の正体とされ、古代中国の医学書『神農本草経』には「肉霊芝」の名前で登場。気になる効能はずばり「軽身不老」……体が軽くなり老化が止まるそうなので、機会があればぜひ食べてみたいですね。
肉塊お化け 太歳
今回の記事で太歳に興味が出た人は、ネットで画像を検索してみてください。
巨大キクラゲのような見た目に圧倒されます。
日本のぬっぺほふ(封)のルーツを太歳に求める説も、なかなか興味深いです。
※画像はイメージです。


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