久しぶりに実家に帰省した時です。私の実家は2階建てで、それなりに広く風通しも良い。それなりに好きな家だったのですが、一つだけ嫌な部分がありました。足音や怪奇現象が多々起きていたのです。2階から子供がはしゃぐようなタトタトという足音。深夜に聞こえた女の子の笑い声。
ドアが勝手に閉まるなど、この家には幽霊をあまり信じたくない私でも信じてしまいそうになるくらい現象が起きていました。ですが、それも過去の話。2日3日したらまたバスに乗って、今いる家へ戻らなければならない為、当時そんな事はすっかり忘れていたのです。
「ただいまー」
と、久々の家に多少心を弾ませていました。が、家に入って見たところ、違和感がすごい。
湿気がすごい。
あんなに風通しが良かった家なのに、暑い。蒸している。これでは寝る時も寝苦しくなってしまう。
「ごめんねー…。仕事行ってたら窓開けれなくて。」
現在母は一人暮らし。開けっぱで外へ出れるような田舎でもない為、これは仕方がない事だろうと思っていた。だが、これがいけなかったのかもしれない。
「おやすみー」「おやすみー」
夜23時。訳あって、母と布団を並べて寝る事になった。母は早々に熟睡。私は目を閉じながら、明日はゲームしようか。草むしりもしちゃおうかと明日への作戦会議をしていた。すると
“トンッ”
“トンットンッ”
何か音がする。
“トンットンットンッ”
窓?ガラス?いや、違う。これは
“タンッタンッタンッタンッタンッ”
床を歩く音だ
その瞬間私は鳥肌が全身を覆った。
何しろこの足音。
私の頭の上から聞こえるのだ
“タンッタンッタンッタンッタンッ”
“タンッタンッタンッタンッタンッ”
一定のリズムで床を足踏みしている。歩いていなかった。その場所でずっと足踏みをしているのだ。
目が開けられない。何故こんなにも近くで足音が。今までこんな事は無かったのに。
ぞわぞわと体を包んでく恐怖に私は、暑い夏にも関わらず、布団を被りぎゅっと目を閉じて気絶する様に眠った。
タンッタンッタンッ タンッタンッタンッ タンッタンッタンッ タンッタンッタンッ タンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッタンッ タンッタンッタン
翌朝、目覚めが最悪の私は起きてから速攻換気を行った。全部の窓を開け、家の空気の入れ替えをした。”しなければ”と本能的に思ったという方が正しいかもしれない。ただこの換気もあまり意味がなかった。
夜、あの音は再び鳴った。
“タンッタンッタンッ”
だが鳴った方向は昨日とは変わって、部屋の入り口に変わっていた。(少しは換気が効いたかな)距離が少し離れただけでも安心感がすごかった。だが、怖いものは怖い。
“タンッタンッタンッ” ”タンッタンッタンッ”
(聞くな!聞くな!)
そうは思っても耳は音を聞いてしまう。
早く眠れと自分に術でもかけるように祈る。
そうして私は毎夜、気絶をするかの様に眠った。
音はずっとなり続けていた。
この足音に実家に滞在した期間大変苦しめられた。
因みに母に聞いてみたところ、音は全然聞いてないらしい。その代わりによく魘されていたんだとか。
現在母は引っ越し、あの家は離婚した父方の家がどうにかしようとしているらしい。自分達が住むのか、人を住まわすのか。その答えは私は知らないが、あの家にまた住もうとは思えない。あの家に住む人は大変な思いをするんだろうなと勝手に憐れんでこの文章を終わりにしようと思う。
※画像はイメージです。


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