タイムカプセルってご存知ですか?
簡単に説明すると、思い出の品や未来の自分へのメッセージを長期保管できそうな箱にいれ、XX年後経った後で開き当時を思い出す・・・そんなようなものです。
タイムカプセルを埋めよう
僕が小学生の頃、万博が開催された時に始めてタイムカプセルの存在を知り、数人の友人達と一緒に「僕たちもやろう!」となったのでした。
各々が宝物と未来の自分に宛てた手紙を用意し、クッキーの空き缶に詰め、何十にもビニール袋を被せてガムテープをぐるぐる巻きにしてタイムカプセルをつくり、なかなかの出来栄えに感動したのを覚えています。
そして、絶対忘れない場所として、家のそばの地元神社にある太い木の下に埋める事にしました。
タイムカプセルを埋めるために穴を掘り進めていると、古い破れた手袋が出てきたのです。
ボロボロですが皮で出来ていて軍手などとは違い、高級な感じですが、だからといって何があるという事でもないので適当に投げ捨て、タイムカプセルを埋めて完了。
皆で肩を組んで、「20歳になったら、開けよう!」と約束して解散しました。
奇妙な体験
夏が終わった頃、突然「ザー」と雨が降る音がしたので窓を開けてみると、雲ひとつない晴れ。
それ以来、水の音と一緒に何か話かける声、沢山の人が辺りを走り回るような音が聞こえてくるようになったのです。
一番印象に残っているのは、ある日の夕方、誰もいない家で家族の帰りを待っていた時、耳鳴りと共にめまいがして倒れると、視線の先に片腕だけが表れて手を差し伸べてきました。
本当なら恐ろしいと思うのでしょうが、僕は何故か手を握らないといけない衝動に駆られ、握ってみるとすごく気持ちのいい。
その瞬間、ふわっと体が浮かび、気持ち良かった。下を向いたら横たわる自分が見えた。
「幽体離脱をしたのかな?もしこのままだとあの世に行ってしまうんではないか?」。
怖くなって手を離すと・・・落下して「ボチャン」と水の中に落ちたような感覚がしました。
気がついた僕はなぜかびしょ濡れでした。
その事を家族に伝えても、「いい年してオネショなんて!」と怒られてしまったのです。
納得いかず、「みんな変な事が起きてない?」と聞いても「何それ変な言い訳」・・・なんて言われて気がつきました。
つまり僕だけが奇妙な出来事を体験しているようなのです。
友人たちに相談しても・・・「何それ?もう夏も終わったし、怪談って気分じゃないよね」と、やはり笑われてしまうだけ。
どうする事もできず仕方なく、気にしないようしていると次第におさまっていったのでした。
小学生最後の夏
やがて時は流れて6年生になり小学生最後の夏を迎え、奇妙な出来事の事なんてすっかり忘れていました。
が・・・・忘れもしない、7月、終業式が終わってすぐの夜。
両親は親戚の用事で出掛けていて家には僕一人だけ、夏休みが始まる開放感もあって気分上々。
リビングの大きいTVで、いつもは1時間しかやらせてもらえないファミコンをのボリュームをうるさいぐらい上げてやり続け、気がついたら夜の19時を回っていました。
そろそろお腹が空いたし親も帰ってくる頃だと思った瞬間、びっしょり濡れた冷い感じの男か女かわからない物が目の前を横切り、台所から風呂場へ向かって移動していったのです。
ふと以前の怖い体験を思い出して恐ろしくなり、不覚にも「ママー」なんて叫びながら、家を飛びだした途端に転んでしまったのです。
立ちあがろうとするのですが足が思うように動かない、下を向くと「さっきの物」が足を引っ張っている。
もがいていると突然動けるようになり、猛ダッシュで道路の方に走りだすと・・・そこには両親が乗った車が。
間一髪で避けて尻もちをついた僕がみたのは、裏の神社の太い木の方に向かっていく「さっきの物」。
僕は「何やってんの!」と怒りながら車から降りてくる親にしがみ付いて、泣きじゃくりったのでした。
ごめんなさい
翌日、親に起きた事を話すと、昨晩の尋常とは思えない様子からようやく信じてもらえました。
そこで、神社にお参りすれば良いだろうと家族全員で一緒に神社に行ったのですが・・・。
境内でふと目に入ったのは、この辺りは昭和の初めに台風で近所の川が決壊して、沢山の人々が犠牲になったというような事が書かれている慰霊碑。
両親もこんな物が神社にあったなんてと感心していると、偶然にも宮司さんが社務所から出てきたのです。
僕は今までの事を話すと、昨日の夜が慰霊碑の洪水が起きた日であると。
やんわりと何か恨まれるような事をしたかと聞かれ、ふと、タイムカプセルの時に見つけた古い手袋を思い出し、宮司さんに告げると・・・どうやら思い当たるような顔をしました。
それから友達と一緒にタイムカプセル掘り起こし、お小遣いを出し合って買った新しい手袋を埋めました。
以来、20年以上経っても不可解な出来事は何もおきていません。
※画像はイメージです。
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