米軍が公開したUAP映像と現実に存在する脅威

当サイトは「Googleアドセンス」や「アフィリエイトプログラム」に参加しており広告表示を含んでいます。

地球外知的生命体が搭乗し操縦している宇宙船、いわゆる「UFO」を撮影したとされる写真や映像は、半世紀以上にわたり山のように出回っている。
だが、その大半はフェイクか誤認である。糸で吊った模型、レンズフレア、気球、鳥、CG。
人類は空に光るものを見ると、古代には神、近代には妖精、現代ではエイリアン、その時代ごとの妄想に応じた名前を付けてきた。

そんな中、アメリカ政府が「本物」と認めた極めて珍しい映像が存在する。
ただし「宇宙人の宇宙船を撮影した」と認めたわけではない。米政府が認めたのは、あくまで「軍が撮影した実在の未確認現象の映像」。
それが後に「UAP映像流出騒動」と呼ばれる一連の映像だ。

目次

「UFO」ではなく「UAP」

現在、アメリカ政府は「UFO」という言葉をほとんど使用していない。代わりに用いられているのが「UAP」である。
「Unidentified Anomalous Phenomena(未確認異常現象)」の略称であり、従来の「Unidentified Flying Object(未確認飛行物体)」より意味の範囲が広い。
飛行物体に限定せず、説明困難な空中現象全般を指す名称だ。

この呼称変更には明確な理由がある。

「UFO」という単語は長年にわたり、宇宙人や空飛ぶ円盤のイメージと強く結びつき過ぎてしまった。米軍や情報機関としては、安全保障上の脅威を分析しているにもかかわらず、「宇宙人を信じている人たち」の話として処理される状況を避けたかったのである。
実際、米軍が問題視しているのはロマンではなく、識別不能な飛行現象そのものだ。

世界を騒がせた「GIMBAL」と「GOFAST」

2017年12月、ニューヨーク・タイムズ紙がアメリカ海軍の内部映像を報じ、世界的な騒動となった。
公開された映像は複数存在し、その中でも特に有名なのが「GIMBAL」「GOFAST」「FLIR」と呼ばれる三本である。

「GIMBAL」の映像には、戦闘機に搭載された赤外線カメラが捉えた黒い飛行物体が映っている。モノクロームの画面には目標追尾用のディスプレイ表示が重なり、パイロットたちのノイズ混じりの音声が緊張感を際立たせる。
物体は途中で機体を傾けるような挙動を見せ、それが「通常の航空機では説明しづらい」として話題になった。

一方、「GOFAST」は海面近くを高速移動しているように見える物体を捉えた映像である。
後年、一部の研究者や映像解析者からは、「実際にはそれほど高速ではなく、カメラの視差によって速く見えているだけではないか」との指摘も出ている。

この二つの中で「GIMBAL」は、幼少期にUFO特番を浴びるように観て育った世代からすれば、真偽とは無関係に思わず「面白い」と感じてしまう。
赤外線カメラで撮影されたモノクロームの映像。映像に被さる戦闘機のディスプレイ。捉えられた正体不明の飛行物体。興奮するパイロットの声を記録したノイズまみれの音声。
もしSF映画のワンシーンだったなら、かなり完成度の高い演出になっていただろう。
90年代なら、民放テレビ局のバラエティ番組で大々的に扱われていたであろう。

それだけ「未確認飛行物体を撮影した映像」としての魅力を「GIMBAL」は放っている。こうした映像に魅力を感じる筆者のような視聴者ならば…だが。

最初の遭遇「FLIR」

「GIMBAL」の他にも、アメリカ海軍は似たような現象を記録していた。2004年撮影の「FLIR」である。

この映像は、空母ニミッツを中核とする第11空母打撃群が南カリフォルニア沖で展開していた際に遭遇した未確認飛行現象を捉えたものだ。

第11空母打撃群は、空母を中心に巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、補給艦、航空戦力を統合した海上機動部隊であり、単一艦の行動ではなく、複数のセンサー網と戦術システムで海域全体を監視・制圧する戦力単位である。
つまり、「一隻の艦の誤認」ではなく、広域に展開した軍事システムの中で観測された現象という性格を持つ。

当時、この打撃群に所属する巡洋艦は、2週間にわたり正体不明の飛行物体をレーダーで継続的に追跡していた。
その観測が続く中で、海面付近に「白い楕円形の物体」が出現する。

物体は急激に降下したかと思えば、その場に留まるような挙動を見せ、海面上に静止しているかのように観測された。
いかにも「未確認飛行物体」らしい動きをしたという。
これを受け、偵察のため戦闘機が出撃し、搭載していた赤外線カメラによって記録された映像が「FLIR」である。

ただし、「FLIR」は「GIMBAL」ほど劇的ではない。
カメラワークも固定的で、パイロット側の緊迫感も薄く、単体映像としては地味だ。だが、軍の公式記録として見れば十分に異様だ。

「FLIR」が撮影されて暫くのち、「未確認飛行物体」はアメリカ海軍の前に姿を現すことはなかった。
だが2015年、今度は空母セオドア・ルーズベルト周辺に出現する。その際に出撃した戦闘機が撮影したのが「GIMBAL」だった。

国防総省が認めた「本物」の意味

「FLIR」「GIMBAL」と呼ばれる映像は、ニューヨーク・タイムズ紙が報じる以前からインターネット上に流出していたとされる。
その後、同紙がこれらの映像を大きく報道したことで、事態は一気に可視化されることになった。さらにワシントン・ポスト紙も追随し、「GOFAST」と呼ばれる別映像についても報じた。
これにより、アメリカ国内外ではUFOをめぐる議論が再燃し、懐疑論と肯定論の双方が表舞台へと引き戻された。

2020年、アメリカ国防総省は「FLIR」「GIMBAL」「GOFAST」の映像を正式公開した。
これによって「ついに宇宙人の存在を認めた」と騒ぐ者も現れたが、実際にはまったく違う。
米政府が認めたのは、「映像そのものが軍の本物の記録である」という点に限られている。一方で、その内容が何であるかについては結論は出されておらず、地球外起源であると断定された事実もない。

翌2021年、ペンタゴンは「Preliminary Assessment: Unidentified Aerial Phenomena(未確認航空現象に関する予備評価)」を公表した。
報告書の作成に携わった関係者は、「UFO」という名称を避け、「Unidentified Anomalous Phenomena」という用語を用いて「UAP」と呼称した。
その背景には、「UFO」という言葉が長年の使用によって、すでに地球外知的生命体の乗り物というイメージと強く結びつき、分析用語としての中立性を失っていたという事情がある。

報告書では144件のUAP事例が検証されているが、その多くは正体不明のままだった。
考えられる可能性として挙げられているのは、鳥、気球、ビニール袋、ドローン、センサー誤作動、自然現象、軍内部の機密開発、さらには外国勢力による偵察活動など。

つまり米軍は、「宇宙人が来た」と騒いでいるわけではなく、「識別不能な飛行現象が、自国の軍事空域を飛んでいる」という事実を問題視しているのである。

現実に存在した「侵入物」

2023年、そういった懸念を象徴する事件が発生した。
アメリカとカナダ上空に巨大な気球型飛行体が侵入したのである。

この気球は通常の気象観測用とは異なり、長時間にわたり高高度を飛行し、電子機器とみられる構造物を搭載していたことから、偵察目的の可能性が指摘された。
アメリカ政府はこれを中国の偵察気球である可能性が高いと判断し、中国側も気象研究用の気球が偏西風などの影響で制御不能となり、北米上空に到達した可能性があると説明した。

最終的にアメリカとカナダは安全保障上の判断から戦闘機を出動させ、当該気球を撃墜した。後の回収作業により、情報収集に関連するとみられる機材の存在が確認されている。

こうした事例を見ると、米軍がUAP問題を安全保障として扱う理由は理解しやすい。
現代のUAPとは、単なる「空飛ぶ円盤騒ぎ」ではない。
そこには外国製ドローン、極超音速兵器、電子戦、監視システムへの干渉、識別不能な飛行体など、現実の軍事問題が含まれている。

夢のない話ではあるが、国家が本気で警戒するのは、いつの時代もエイリアン・クラフトや未知の神秘ではなく、「正体不明だが実在する脅威」の方だ。

それでも人類は宇宙人を見たがる

もっとも、個人的には一つくらい本物のエイリアン・クラフトが混じっていても面白いとは思う。
もちろん、米軍が追跡している未確認現象の正体が本当に地球外知的生命体である可能性は、現時点では極めて低い。現実にはドローン、偵察気球、電子戦、あるいは単純な誤認の方が遥かに可能性は高いだろう。

それでもUFOという存在には昔から、「未知との遭遇」へのロマンが付きまとってきた。
ある日突然、巨大な飛行物体がワシントンD.C.上空へ降下する。中から現れた地球外知的生命体が、人類を見渡しながら「もういいかげんにしろよ。同族同士で殺し合ってばかりいるんじゃない」と呆れたように言い放つ。

そんな昭和SFじみた展開を、心のどこかで期待してしまう人間は案外多いのかもしれない。
だが現実のUAP問題は、宇宙からの来訪者よりも、人類同士の監視と対立の方へ近づきつつある。
そこに夢があるかと問われれば、たぶん、ない。

Image Generation: Gemini by Google

面白かった?

平均評価: 0 / 5. 投票数: 0

投票がありませんよ、最初の評価をしてね!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

思った事を何でも!ネガティブOK!

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

目次