「忍者」。闇に隠れ、世を忍び、任務をこなす影の者……。史実はともかく、映画、ドラマ、小説、マンガ、アニメ……様々なコンテンツで描かれてきたモチーフでもある。
今回ご紹介するアニメ『アンダーニンジャ』もそんな忍者がテーマの作品だ。ただし、本作の舞台は現代。時代劇でも『NARUTO』のようなファンタジー世界でもない。普通に現代。
私たちの日常に溶けこむ非日常の存在。忍者。彼らは一体どんな活躍を見せてくれるのか。今回はそんな『アンダーニンジャ』の世界に迫ってみよう。
ヒットメーカーが描く現代忍者活劇!シュールとハードが同居する魅力とは
「忍者」。彼らは歴史の裏側で暗躍し、歴史に消えた……はずだった。今や、時代劇や御伽噺の中にしかいないと思われている「忍者」が現代でも存在し、極秘ミッションを遂行していたら……というのが今回ご紹介するアニメ、『アンダーニンジャ』だ。
本作は、現代に生きる「忍者」の活躍を描き、特に現存する三つの忍者組織の暗闘がメインとして描かれる。
利害関係が複雑に絡み合う中、敵味方が入り乱れ、壮絶なバトルが繰り広げられるのは、従来の忍者コンテンツと同じだ。ただし、こちらの作品、原作は『アイアムヒーロー』でもお馴染みの花沢健吾のコミックというのがポイント。ハードなバトルや駆け引きを描きつつ、花沢氏お得意のシュールでやや下品なギャグが本作でも冴えており、笑わせてくれる。実は、この「抜け感」が本作の大きな魅力。
これがあるおかげで作品の見やすさがかなり違う。ややもすると重たく、複雑になりがちなこの手のアニメだが、本作のテイストは想像以上にコミカル。本作、コンセプトはスパイスリラーなのだが、普段スパイスリラーなどに馴染みがない人でも、すんなり作品世界に飛び込むことができるだろう。
現代忍者に課せられた過酷なミッション!挑むのはニート?
さて、ここで気になるストーリーを見ていこう。
主人公は霧隠九郎。東京練馬のボロアパートに暮らすニート……いや、謎の男性だ。自作の吹き矢で暇を潰し、隣人たちと酒を飲んで酔い潰れ……と怠惰な毎日を送る彼の正体は、現代に暗躍する忍者組織『NIN』に所属する忍者。そんな彼にある重要なミッションが下される……そんなところから物語はスタート。
ここから時系列が前後し、ストーリーはやや複雑な進行を見せ始める。序盤、軸となるのは二つの事件。ある高校への潜入と、忍者かぶれの外国人通り魔を追うミッション。この時系列が異なる二つのストーリーが絡み合いながら、主人公の忍者生活や、忍者組織、そしてタイトルでもある忍者を潰す忍者組織、「アンダーニンジャ」につながっていく。
ここに主人公である普段はニートの凄腕忍者、霧隠九郎。そのライバル日比、忍者学校主席のエリート鈴木、近所のお騒がせおじさん佐々魔など、個性豊かすぎるメンバーが参戦し、ストーリーが進展。目の離せない展開がくり広げられるというわけだ。このあたりは文章で解説するよりも実際にアニメを観たほうがわかりやすいだろう。ぜひ実際に『アンダーニンジャ』の世界を目で見て体感してほしいところだ。
ドローン手裏剣??隠れ身の術パーカー??びっくりニンジャ兵器が目白押し??
現代に生きる忍者たちを描いたアニメ、『アンダーニンジャ』。際立っているのはストーリーやキャラクターの個性だけではない。現代風にアレンジされた忍者アイテムも本作の見どころの一つ。忍者といえば手裏剣や鎖鎌といった独特の武器や、まるで魔法のような忍術を思い浮かべる人も多いだろう。
本作『アンダーニンジャ』にも、もちろんそうした忍者アイテムや忍者ならではの戦闘術が多数登場する。ただし、その実態は防刃、防弾、光学迷彩機能を備えたパーカーだったり、ドローン機能搭載の手裏剣(!)、喋るAI搭載バイクなど、現代というか近未来ナイズされている。
また忍者といえば変装、潜入だが、現代忍者たちの世を忍ぶ仮の姿は、運送業者に市役所職員、出版社に勤める編集者、果てはラッパーなど、なんというか……とっても現代風だ。ただし、これらの忍者アイテム、例えば光学迷彩パーカーなら、名前は「摩利支天」で、真言を唱えると起動するなど、ハイテクであってもあくまで「忍具」「忍術」としての設定はブレさせないのが、本作の面白さ。そしてカッコよさでもある。
このあたりのガジェット描写や、バトル描写はシンプルにカッコよく、ちょっと真似したくすらある。
現代ナイズされた多種多様な忍者ガジェットと忍者たちが日常を刮目せよ!
現代ナイズされた多種多様な忍者ガジェットと忍者たちが日常の裏側で繰り広げる華麗なバトル。こちらも『アンダーニンジャ』の大きな見どころ。こちらもぜひアニメで楽しんでほしい。
『アンダーニンジャ』は従来の「忍者もの」フォーマットを受け継ぎつつ、近未来のガジェットや現代的なアイテムをミックスすることで、「私たちの日常に忍者がいたら?」という一見シュールなテーマを一級のエンタメに仕上げた良作だ。
気になった人はぜひ、日常の裏側で忍者たちが繰り広げる非日常にとびこんでみてはいかがだろうか。
(C) 花沢健吾 講談社 週刊ヤングマガジン
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