子どもが大きくなり、夫の地元に引っ越して腰を落ち着けようかと計画していたときのことです。
いまではもう没落していますが、夫の実家は往時には大地主だったそうです。山や土地をたくさん所有していて、本家の敷地の中には森が入っているくらいの規模で、土地の境界線には氏神様の祠がありました。
貰い受けた土地
私達一家はその敷地の一部を貰い受けて、家を建てて暮らすことになったのです。
正直なところ、知らない土地に行って暮らすことと、今まで疎遠だった義父母とこれから近い距離に住まなくてはいけないことは不安であるとともに不満でもありました。
せめて家はもっと便利な場所に買いたいと思っていたので、夫の実家は決して交通の便のいい土地ではない。
それでも土地の整備や新築を建てる話はどんどん進んでしまったので、諦めて私も引っ越しの準備に忙しくしたのでした。
小さな祠
そろそろ家も完成し、荷物を運び入れてもいい段階になったころ、私は子どもを連れ、改めて夫の家を覆うような森の近くを散歩していました。
そこには先述の氏神様を祀った古い小さな祠があります。子どもの手を引いて祠の前を通ったとき、なにか人の声のような不思議な音がしました。そして風もないのに、木の枝かなにかが「からからからから」と音を立てて転がってくる気配がしたのです。しかし、何も落ちてきませんし近くに人の影もありません。
なんだろう?と一度そこを通り過ぎ、あたりをぐるっと一周してもう一度祠の前までくると、再度「ほーう」という鳴き声のような音と、からからと木の枝が転がる気配がたしかにしたのです。
試し
ああ・・・これはきっと、祠の神様が新しく越してきた私達を試しているのだ、怪しいものではないか土地に害をなすものではないか、観ていらっしゃるのだ・・・直感的にそんなことを考えました。
そこで引っ越してから100日と決めて、私は毎朝起きて一番に祠に新しい水を差し上げることにしたのです。ついでに夫と子どもの健康と安全を守ってくださるようにお祈りしていました。
30日ほど経った頃でしょうか・・・朝行ってみると祠の前に小さなたけのこが落ちていました。生えていたのではなく、掘り出されたものが根本から折られていたので、お供物ではないことは確かです。祠の前の石畳に落ちていましたから。
ちょっと迷いましたが、持ち帰り、アク抜きをして自分だけで食べると、そのすぐ後に下の子どもを授かりました。
おそらく、土地の神様が自分を認めてくださって、新しい子どもを授けてくださったのだと感じています。
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