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VRChatから生まれる「都市伝説」

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VRという技術が個人でも気軽に購入できて、使うことのできるようになってから数年が経つ。
最近、VR空間における都市伝説と言うべきジャンルの新たな可能性を見た。
今回はその話を紹介し、それについて考えてみたいと思う。

目次

VRChatとは

ここ数年でVRがゲーム業界で流行り始め、VRゴーグルもPSVRの発売から一般人に手の届く価格になるっていことをご存知だろう。

皆さんは、VRChatというVRSNSをご存知だろうか?
VRChatとは、VR機器を用いることを想定されたSNSである。ユーザーは自分の好きな見た目のアバターで、ワールドと呼ばれるチャットルームで様々な人々と眼の前で対話しているような交流ができる。
そして、このアバターやワールドは、3Dモデリングの知識とゲーム開発エンジンの扱いがわかる方であれば、自由に作れ、自由度はほぼ無限。

男性や女性、動物やドラゴンなどの想像上の生き物にもなれる。
ワールドも一軒家、ホテル、アパートの一室から、写真スポットのような景観地、本格的なゲームを楽しめるような場所などと、様々なワールドが、日々世界中の人々によって作られている。

ゆりかをかえして

ある時、気になる話を聞いた。「ゆりかをかえして」というワールドが不気味だという。
ワールドのなかには「ホラーワールド」と呼ばれるホラー演出が仕組まれ、ゲーム感覚で楽しめるワールドも存在しているので、最初はそのたぐいかと思って聞き流していたのだが・・・どうも様子がおかしい。

「ゆりかを返して」の作者は「yurikakaeshite」、作ったワールドはこれ一件のみ。
ワールドに入ると、なんのテクスチャも貼られていない床のみがあるデフォルトの空間。
そこに、なんのテクスチャも貼られていない墓のような造形物があるのだけれど、正面に画質の悪い少女の顔写真が飾られている。
それ以外の設置物、ギミックも無くて、ただそれだけの空間であるというのだ。

この不思議なワールドを発見したのは、新作ワールドをチェックしていたある人で、このワールドが公開されたその日、インスタンス(VRChatのワールドは公開されると、ユーザーが任意で作成できるチャット部屋)を見つけたのがきっかけだという。
「ゆりかをかえして」といった意味の解らない名前もあり、入場制限がなかったので気になって入ってみると、誰もいないワールドで、謎の人物がこの墓らしきものの前で一人佇んでいたのだとか・・・。

このワールド、別に都市伝説というわけではなく、実際にVRChatで今でも公開されている。
Twitter(現X)でバズった結果、いろいろな人がこのワールドへ行って考察が続々と上げられた結果、界隈の人間で知らぬものはほとんどいない状態となっている。

しかし不気味なことに、短期間でワールドがこれだけ有名になったにも関わらず、作者が名乗り出ることも、それらしき痕跡がネット上で見つかることも一切ないのである。
一体なんの意図があるのだろうか?

ホラーというものは

結論から言うとこのワールドは、AI生成の画像を利用したイタズラではないかという説が出てきている。なんでも、ネット上の有志がAI画像判定を通したら、顔写真がAI生成と判定されたとか。
しかしながら、もしそうであったとしても、とても興味深い話である。

ネットの発展に伴い、ネット上のオカルト創作も日々進化してきた。最近ではSNS上での実話形式怪談で「あたかもその人物が実在して、現在進行系でそのような目にあっている」かのように、演出するアカウントなども多数存在している。
また一般人でもAIによる写真生成が容易に可能となったため、まるで本物の写真のような心霊写真や、なんでもない写真を生成して、それに「曰くをつける」形でのネット創作怪談も確認している。

VRChatにおいても、何気なく置かれているものや写真から情報を拾っていくと一つの物語になる形式のホラーワールドや、なんの説明もなく、ただただ不気味な画像が数点放置されているだけのホラーワールドなども以前から確認されていた。

ホラーというものは、今まで語りや映像内で確認する怪異や怪奇現象によって、概ね演出されてきたと言ってもいいだろう。しかし、とくに最近台頭してきた「民俗学ホラー」と呼ばれるような、土着の因習などに関連する実話形式のホラー創作の醍醐味とは「説明されることのない不条理さ、気持ちの悪い読後感」である。

これらを演出するに、「語り」や「映像」はあまりに相性が悪い。なぜなら、ストーリーをストーリーとして書き連ねる以上、形式上の「結論」を出さなくてはならないからだ。
物語とは必ず終わる。そして終わりには、どのような終わり方にしろ一旦の決着がつかなくてはならない。つまり、なにも説明せずに終わりたいのに、多少なりとも一旦物語に決着をつけなければ文章も、映像も終わらないのである。

VRChatからの始まり

その点、VRChatにおけるホラー演出は、そういった心配がない。
ただ、なにもない空間に思わせぶりな文章とともに写真をおいておくだけで、SNSや口コミを通して一瞬で広まり、様々な人物が現実的なものからオカルト的なものまで様々な解釈をし、おのおの自分の中で出した解釈に恐怖を感じている。

匿名であり、なおかつ情報伝達性が高いというネット空間の特性に加え、「自分がまさにその場所にいる」ことを強く実感できるVRという技術の台頭によって、初めて「個人の体験として」実現可能になったように思う。
つまり、今までは語り手が聞かせてきた都市伝説的な状況に、聞き手自身を主人公として引き入れてしまうことが可能になったのだ。

VR空間内での擬似的なものではあるが、眼の前に実際にある不気味な現象。それが「ありえる」と個人個人に思わせることができる。
そして体験者の数だけ自分の中の物語を作り上げ、結論を下すのだ。
これは新たな都市伝説ジャンルの台頭と言えると思う。

VRChat内の噂話は、これからネット都市伝説の1ジャンルとして確立されていくかもしれない。
オカルトマニアであれば、ぜひこのワールドに1度は訪れ、その不気味でそこしれない雰囲気を体験してみるべきだ。

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