その私は誰？

時折思うことがあります・・・。
この世には、今いる自分とは別の自分が存在しているのではないかと。

屋台に訪れた二人の話

ある夏、勤めていた会社が地元の祭りに屋台を出すことになり、私も手伝いをするハメになってしまったのです。
地方の小さな町に沢山の人が訪れ、普段とは違って大変な賑わい。
やっと一息ついていた時です。

若い女性が、話しかけてきました。
「あの、すいません昨日、XX公園でお見かけしたのですが」

初めは会社関係の人かと思ったのですが、昨日はお祭りの準備に追われていたので行っていません。

「いや人違いですよ、私は昨日、XX公園には行ってないです」
と答えると。
２人は「いやいや、そんなはずはないです」となぜか否定してくるのです。

「世の中には似た人がいるからなと」と思いながら困っていると、
「黒い大きな犬を連れてましたよね？」・・・その言葉を聞いて私はギョッとしました。
「・・・犬・・・ですか？」と話しかけると、すぐさまに「はい」と返事が。

犬

確かに私は犬を飼っていて、XX公園にも連れていったことがあります。
でも、それはもう１０年以上前の話で、当時飼っていた犬も亡くなり、いまは何も飼ってはいません。

驚いている私に「とっても可愛い犬だったので、撮らせてくださったじゃないですか？」と見せてくれたスマホの画像には、確かに当時飼っていた犬と私が映つていました。しかも日付は祭りの前日。

驚いて声も出せず、呆然と驚く私に「大丈夫ですかと？」と女性は声をかけてくるのですが、店が混み合ってきて対応する事ができなくなり、軽く会釈してそれっきりでした。

しかし、やはりもやもやするばかりなので、かき入れ時を過ぎてから、その女性を探したのですが見つかりません。

なんだったのか？

結局あれがなんだったのか、いまだに謎のままです。
似たような人だけならともかく、犬まで同じなのは理解できません。

あの女性が知らず知らずのうち、過去に紛れ込んだのか、それとも私が未来にやってきたのか？
犬は病気で亡くなったのですが、病気にかからずに今も行きている、もう一つの世界なのか？
今ここに存在する自分をも疑いたくなります。

あれから数年たった今も、時折思いだすことがあります。

※画像はイメージです。