高校を卒業して数年、久しぶりに同級生3人で集まってプチ同窓会をしているうちに話が盛り上がり、懐かしさから母校を訪ねてみようということになりました。
久しぶりの母校
学校に着いた頃には、日が沈みかかっていました。
土曜日だったので、グラウンドで部活を終えた生徒たちがこれから帰る支度をしている様子です。
あれからそんなに経っていないはずなのに、夕方の寂しさも手伝って校舎は古くなったように感じました。
職員室へ行き担任の先生と再会、すこし話しをして、皆で教室へ行こうと階段を上がっていきます。
生徒だった頃のそれぞれの席に座ってみて、教室の窓から見える夕焼に「あぁ、こういう景色だったね。変わらないね」と話ながら懐かしさにふけりました。
下校時刻を告げるトロイメライが鳴り響き、教室にさよならを告げて昇降口を抜けた時、友人の一人が「あれ、K子は?」。
そういえば、いつの間にはK子がいないのです。
K子がいない
「あの子ってトイレに行くとき、なにも言わずにいくよね」と笑いながら、その場で待っていても一向に姿を見せつ気配すらありません。
ふと校舎に目をやると、さっきまでいた教室の窓から、K子が私たちを見下ろしているのに気がつきました。
友達は口々に「まだそこにいたの?もう帰るよー!」「写真撮ってあげようかー?」などと言っても、なぜか黙っていて無表情でじっとこちらを見ています。
風が吹いて教室の黄ばんだカーテンが揺れ、K子の姿がいつの間にか見えなくなった途端、校舎の端っこにある駐車場からK子が「ちょっとー、もう帰ろうってー!遅くなるよー!」と叫んでくるのです。
私たちは一瞬頭が真っ白になりました。
急いで駆け寄り、さっきまで4階にいたのにどうやって駐車場に行ったのか?
私たちがいるこの場所を通らないと駐車場にはいけないのにどうしたか?
とたずねると・・・。
「ずっとここであんたたちを見てたけど?何で上を向いて大声出してたの?」とすこし怒ったようすでした。
本当のこと
次の日の事、一緒に言った友人から電話がありました。
その内容はとても信じがたく、「K子は卒業後、しばらくして病気で亡くなった」と。
私は「そういう冗談は趣味が悪いからやめよう」と窘めたのですが、彼女はいくつか気になる事があったので、K子が住んでいる実家に電話をかけてご両親に聞いたと言います。
私は信じられず、K子のご両親に失礼なのは解っているのですが、連絡してみると・・・亡くなっていました。
週末に友人と共にK子の実家へ訪れ、お線香を上げ、両親に事情を話すと「きっと会いたかったのかしら」とさみしく話されたのが今でも心のなかに残っています。
※画像はイメージです。
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