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約束

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私たちは子供がいない、60代夫婦で私は定年退職を迎え専業主夫となり、妻も2年後に定年退職を迎える立場にあります。

昨年末、隣のベッドで寝ていた妻が掛布団を蹴って飛び起きた音で目を覚ました私は尋常でない出来事に何事かと妻に尋ねたところ、
「足の裏をくすぐられ、驚いて飛び起きた。」と言う妻を寝ぼけたかと思いながら、眠りを邪魔された私はすぐまた眠りにつきました。

翌朝、朝食をとりながら妻に昨夜の飛び起きた事を詳しく聞くと、
「寝ぼけてた訳でもなく、確かに人の指で足の裏をくすぐられた感覚があったので飛び起きた。」と話し始め、私が悪戯をして足裏をくすぐったのではないのか。と何度も確かめる妻の言葉に信憑性を感じ、同時に薄っすらと気持ち悪さを感じました。

その日の夜、勤務先から帰宅した妻が着替えもせず、話し出した事は、高校時代に同じクラスで親しかった友人がいて、テレビや雑誌で見聞きした心霊現象の話を興味本位で話しては怖がりながらも楽しんでいた時代があったそうです。
そんな時に死後の世界はあるのか。という話題になり、もし死後の世界があれば何らかの方法で相手の足の裏をくすぐって知らせよう。と軽い笑い話で約束をしたそうです。

妻は昨夜の出来事があり、この友人との軽い約束を帰りの電車内で思い出し、帰宅するなり私にこの話をしたかったようでした。
しかしながら、妻はこの友人とは高校卒業後、目指す将来も違い二人は離れ離れとなり、今では何処で何をしているのか分からない。同窓会もクラス会もない学校だったのが残念だと懐かしみながら話す妻でした。

この出来事から妻がどうしても高校時代のこの友人に会いたくなり、人伝に連絡先を探すも約50年近く過ぎた連絡先や学校も統合され別名の学校になり簡単には見つからなかったそうです。

妻も諦めていた矢先、その友人の兄という人の連絡先がわかり、友人の連絡先を聞いて会えそうなら会ってくると嬉しそうに話していたのですが、妻がその友人の兄に当たる人に連絡を取ったところ、
昨年の10月頃にその友人は病気で亡くなられていたそうです。

後日、妻はお兄さんに当たる人の家に飛んで行き、妻が今回の出来事を話すと、お兄さんは驚いたように「妹もその話をよくしていた。」と話されたそうです。
妻は知りませんでしたが、高校卒業後、大病を患い、夢を諦めたその友人は愚痴を家族に話しては泣いて当たってしていたそうです。
しかし、高校時代の出来事を母親に楽しそうに話していた時もあり、
その中であの世があれば足の裏をくすぐる約束をした話も入っていたのだと思います。

その友人は天国に逝かれても妻との冗談めいた約束を忘れずに果たしてくれたのだと思います。妻も私も怖いという気がしません。
妻は友人に対して感謝と寂しさと、辛いときに会えずにいた後悔が残る出来事だったそうです。

私はまだ半信半疑ですが、妻はあの世という所に逝ければ、必ずその友人に会うそうです。

猫田 昼寝
今年で64歳になりますが、私は怖がりです。でもどういう訳か不思議な事が定期的に起こります。

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
評価やコメントをお願いします。

※画像はイメージです。

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