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幽霊がでる家

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これは、僕がまだ大学生だったころの話です。
当時、僕は友人のTとよく心霊スポットにて肝試しをしていました。いま思えば、ただの暇つぶしだったのですが、そのときは「本物の幽霊を見てみたい!」という軽いノリでした。

ある日、Tが「ここ、マジでヤバいらしい」と言って、町はずれの古い空き家のことを教えてくれました。その家はもう長い間誰も住んでおらず、「夜になると女性の声が聞こえる」とか、「白い影がうろついている」とか、そんな噂があるらしいのです。

正直、僕はあまり信じていませんでした。でも、Tは「行くしかないっしょ!」とノリノリで、結局その日の夜に二人で行くことになりました。

夜10時くらい、懐中電灯を片手にその家へ向かいました。家の外観はまさに「いわくつき物件」といった感じで、壁はボロボロ、窓ガラスは割れていて、なんとも不気味な雰囲気です。

Tは「おお、雰囲気出てるな」と興奮気味で、僕は「まあ、ただの廃墟だろ」と軽く流していました。

家の中に入ると、埃っぽい空気が鼻をつきました。家具はほとんど残っていませんでしたが、壊れた机や椅子が散らばっていて、「昔ここに人が住んでいたんだな」と思わせるような感じでした。

「なんかないかな?」と言いながら奥の部屋へ進んでいくと、急にTが「……今、何か聞こえた?」と小声で言いました。

「え?」と耳を澄ませると「うらめしや~~」

確かに、どこからともなくそんな声が聞こえました。「え? ベタすぎない?」と思いました。まるで誰かがふざけているかのような、定番すぎる幽霊のセリフに聞こえる。

「え、これマジでやばくね?」とTは少し焦ったようでしたが、僕は「いやいや、風の音とかだろ」と笑いました。でも、なんとなく胸騒ぎがして、早めに引き上げようと思いました。

「とりあえず帰ろうぜ」とTに言い、玄関へ戻ろうとしたそのとき――

視界の端に、何か動くものが見えました。

振り向くと、廊下の奥に、白い影のようなものがスーッと動いたのです。

「おい、マジかよ」とTが小さくつぶやきました。僕も思わず息をのんで、足がすくみました。

それは、まるで人のような形をしていました。でも、顔や体の輪郭がぼやけていて、はっきりとは見えません。

「・・・逃げよう」とTが言いました。

僕は無言でうなずき、二人で一気に玄関まで駆け出しました。靴を履く時間も惜しく、サンダルのまま家を飛び出し、そのまま走り続けました。

途中で後ろを振り返ると、家の中の暗闇の奥で、まだあの白い影がぼんやりと立っているように見えました。

その後、なんとか家から離れた僕たちは、しばらく息を切らしながら顔を見合わせました。

「見たよな?」

「見た」

「アレ、なんだったんだ?」

「わからんけど、もう行かん」

それ以来、僕もTも二度とその家には近づきませんでした。後で町の人に聞いたところ、「あの家には昔、不幸な死を遂げた人がいたらしい」とのことでした。でも、それが誰なのか、なぜ亡くなったのかは誰も知りませんでした。

そして、それから数年後、Tと僕は、あの体験のことをすっかり忘れていました。
でも、なぜか最近、Tとは連絡がつかなくなりました。

小島 匠

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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