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座敷わらしの新住居

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コロナ明け、初めてのお盆から、私の妹夫婦は、八戸に墓参りに帰省する。墓参りの直後は、必ず、岩手県二戸市の『緑○荘』という旅館に宿泊する。この緑風荘は、『座敷わらし』が出没する旅館として全国的に知られており、嘗ては原敬氏や中曽根康○氏、長○茂雄氏等が宿泊したとも言われている。

緑○荘は、平成の終わりに火事になり、昔の旅館は跡形もなく消失した。数年後に白亜の新たな旅館が建設されたが、噂では、緑○荘の、あの世の住人、亀麻○君が、友人(無論、あの世の……)に対して、新築された家(緑○荘の今の建物)を見せびらかしているためか、以前にも増して、座敷わらしの出没件数が増加したとも言われていた。

そんな折、緑○荘に宿泊した娘夫婦は、「本当に出た。実際に皆が寝静まった夜半、人影が見えた」とLINEで報告が来た。
添付された写真を見れば、確かに、オーブと称される丸いシャボン玉のようなものが五つほど、不自然にフワフワ浮いていた。また、他の写真は、四つのオーブが光の如き速さで飛び散っている写真も送られてきた。

「確かに、オーブが撮影されて、実際に人影を見たならば、良いことが絶対に起こるとの伝説はある。ただ、こんな飛び散ったオーブの写真は見た例がない。少し、気を付けたほうが……」

私は、注意を促した。

「確かに、見た例がない。気を付けるに越したことはないね」

そう話した妹であったが、数ヶ月、絶対に成立しない筈の海外との商談が成立した旨の連絡が、妹の夫からあった。

「これは、座敷わらし、亀麻○様のご加護としか考えられない」

そう話した妹は、八戸に来る度に、帰りには必ず、二戸市の緑○荘に宿泊するようにしているようだ。お礼参りと、新たな願いを携えて……。
で、年に一度のお礼参りと新たな願いをしなければ、元よりも悪い状態に戻る、との噂もある。それだけは、防止したい……。そんな願いも垣間見えるが、『怖いことをやるものだ!』というのが、私の感想である。

士波 詮
青森県八戸市在住! イタコと座敷わらしの地方です。

「奇妙な話を聞かせ続けて・・・」の応募作品です。
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※画像はイメージです。

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