2023年のヴェネチア映画祭オープニング作品として公開されたイタリアとベルギーの共同制作映画「潜水艦コマンダンテ~誇り高き決断~」
第二次世界大戦のイタリア海軍潜水艦を舞台にした本作を紹介します。
ストーリー
映画「潜水艦コマンダンテ~誇り高き決断~」の主人公は飛行艇の事故での後遺症から全身にギブスを着込んでいる海軍軍人のサルバトーレ・トーダロです。重い障害で軍を退き家族と暮らす道ではなく、あえて海へ出て戦う道を選びます。
そんなトーダロは潜水艦「コマンダンテ・カッペリーニ」の艦長として出撃します。
任務は大西洋で敵国の商船を攻撃する事です。しかし地中海から出撃する「カッペリーニ」はジブラルタル海峡を突破する必要があった。ジブラルタルのイギリス軍に加えて狭く機雷もある海峡を潜航して進む「カッペリーニ」は困難に遭いながらも大西洋に出ます。
大西洋に出た「カッペリーニ」はベルギーの商船「カバロ」を発見、「カバロ」からの砲撃で「カッペリーニ」は戦闘に入り、砲撃の撃ち合いの末に「カバロ」は沈む。
「カッペリーニ」はボートで脱出した「カバロ」の乗員へ食糧や水を渡し解放しますが、「カバロ」の乗員は大西洋で見つけられずこのまま遭難して死ぬのだと絶望します。
そこへ「カッペリーニ」が戻って来て「カバロ」の乗員を助けるのです。
潜水艦で展開するドラマ
映画「潜水艦コマンダンテ~誇り高き決断~」は前半は艦内に音楽も流すイタリア人の陽気さ、狭い海峡を敵に見つからずに潜航しながら進む潜水艦ならではの緊張感で展開される。その流れが変わるのが「カッペリーニ」が「カバロ」と出会ってからです。
撃沈した「カバロ」の乗員を助けた「カッペリーニ」は、中立国ポルトガルの領地であるアゾレス諸島へ「カバロ」の乗員を送り届ける事にします。これは狭い潜水艦の艦内で「カッペリーニ」と「カバロ」の乗員、いわば敵同士が混ざる事となります。
密閉されていない部分である司令塔にも「カバロ」の乗員が居るので潜航できず浮上したままアゾレス諸島へ向かう「カッペリーニ」は敵に見つかる危険と、狭い艦内ですし詰めになっている乗員達で衝突が起きないかの不穏さを抱えながら目的地へ向かうのが後半になっています。
戦闘や派手な展開よりも独特の考えを持つ艦長がどう決断し、乗員達が不快さを増す艦内でどう過ごしていたかが中心になる本作ですが、「カバロ」の乗員達とどうアゾレス諸島へ着くのか結末が気になる展開になっています。
日本との縁がある「カッペリーニ」
登場する潜水艦「コマンダンテ・カッペリーニ」は実際にある潜水艦で1939年9月に就役し映画で描かれた大西洋での通商破壊作戦に出撃、1942年ではイギリスの輸送船「ラコニア」の乗員と同乗者の救助もドイツのUボートと共に行っている。
1943年になると同盟国日本から天然資源を運ぶ任務の為にシンガポールに遠征した時にイタリアが降伏、日本海軍が拿捕しドイツ海軍へ渡されたのを経て、日本海軍潜水艦として再度拿捕され「伊503」となって神戸で終戦を迎えています。
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