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オカルト物質「経皮毒」の正体

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オカルトの世界では、毒はカジュアルな要素である。
厄や穢れと概ね差はなく、物質的である必要もない。悪い言葉が毒となって心身を損ねる事もある。
そんな中で、そこそこ科学っぽい皮を被っている毒に「経皮毒」がある。
摩訶不思議物質「経皮毒」とは、一体何なのだろうか。

目次

「経皮毒」という化学物質は存在しない

「経皮毒」は、稲津教久らが作り出したと考えられる造語であり、『経皮毒―皮膚から、あなたの体は冒されている!』(日東書院)に記されたものである。
タイトルに「!」が入っている通り、若々しい感性で書かれた本で、ビジネスシーンを想定しておらず、正しさより分かりやすさ重視だ。
「経皮毒」という言葉も特に捻らず、「皮膚を」「経由して入って来る」「毒」という意味で使われている。

経皮毒が皮膚に入って来る例としては、洗剤、化粧品の界面活性剤がイメージされている。
界面活性剤はサポニンなど自然物にも存在する筈だが、経皮毒は自然物には含まれていないようだ。
また、経皮毒はアトピーや癌を引き起こすという。
これを論拠に売られている「経皮毒フリー」の化粧品や洗剤類は、「効能に対して不実」として、経産省の処分対象になっている。

化学の分野においては、毒物の評価で「経皮毒性」という試験が行われる事はあるが、経皮毒との関わりは一切ない。
つまり、利益享受者が、学術的な過去の研究と関係無く、「経皮毒」という「さわったら死んじゃう、ぼくのかんがえたさいきょうのどく」を設定した、と考えれば良い。

経皮毒は皮膚に勝てるか?

皮膚は物理的にも化学的にも非常に丈夫な組織である。
毒を素通しするような事はまずない。
皮膚を貫通するような毒は、他の人体のほぼ全てに対しても危険であり、殊更「経皮毒」の概念を設定するまでもなく、既に猛毒である。

経皮毒の存在を誤認させるのが、肌荒れやアトピー性皮膚炎だろう。
だが、界面活性剤による肌荒れは、肌から油脂が失われた事で保水性が失われ乾燥するという、純然たる「物理的現象」である。洗剤などの界面活性剤は、元々油を水と結びつけ、油汚れを落ちやすくする目的で使われるのだから、正しい機能と言える。
アトピー性皮膚炎に至っては、何をか言わんや。アレルギー反応で肌を攻撃しているのは免疫機能であって、そこに毒はない。

だが、科学で全てが解決されるとは限らない。
その隙間は、オカルトが埋めるべきだろう。

経皮毒に侵され続た肌のようなブロッコリー

オカルト物質「経皮毒」

オカルト物質としての「経皮毒」を考えよう。

皮膚から入り込み、皮膚に悪影響を与える物質である。
口から食べるものの毒は、ほとんどが無毒化されるが、経皮毒は消化吸収を経ないため、身体にそのまま入り込む。
そして、蓄積されていく。
閾値を超えると、深刻な皮膚炎を引き起こし、ダメージが繰り返されれば癌にもなる。

敢えての「経皮」なのだから、口から食べても直ちに影響はない、または、決して口から入る事はなく皮膚で触れた時にだけ悪影響を与える・・・という事で良かろう。

皮膚を侵す物質界のトップアイドルと言えば、マスタードガスだが、これは飲んでも吸っても死ぬので、多分違うだろう。

では呪いだろうか。
呪いも皮膚だけのパターンは少なそうだ。古くはハンセン病が呪いや業の文脈で語られたが、これも皮膚だけの病気ではない。やはり、皮膚は頑強だ。
皮膚を侵すなら、当然本体もやられる。この原則をひっくり返すのは、オカルト物質でもなかなか難しい。

経皮毒の正体

経皮毒の概念は、2005年以降の若い概念である。
まだ記録も充分ある時代だ。
その頃に、何かあったろうか。
現場百編、まずはその起源を辿る事は、解決の糸口になる可能性がある。
2000年の出来事で、皮膚に関する情報を辿ってみた。

すると、存在した。
この時期から、日本人の皮膚を侵し始めた、最悪の「毒」が。
皮膚だけを侵し、その他の部分に対しては基本的に無害な毒。
すなわち、トコジラミである。

トコジラミは古くから君臨する害虫であったが、「ジクロロジフェニルトリクロロエタン」すなわちDDTの使用で、日本におけるタイトルは奪還された。その後、1960年代頃から何故かアメリカを中心にDDTが廃止され、アメリカなど海外で、沈黙していた筈のトコジラミが再燃した。
それが海を渡り、日本で見られ始めたのが2005年頃からだ。

正体の知れない、皮膚だけを侵すもの。皮膚以外にはダメージを与えないもの。
トコジラミの被害と経皮毒は、完全一致する。
トコジラミの正体が判然としない中、経皮毒の実在性を強烈に後押ししたのではなかろうか。
提唱者は、医師ではなかろうから、その被害がトコジラミとは気付かず、経皮毒という仮の概念を打ち立てたのだ。

経皮毒は確かに実在した。だが、毒ではなく、トコジラミ、すなわち昆虫であった。
世間に認知されない正体の知れないものを特定し、危険性を提唱したのだ。経皮毒提唱者は誇って良い。
正体より前に、対処法によって被害を減らすのは、疫学の基本的な考え方だ。
インチキ呼ばわりされるべきは、洗剤や化粧品のせいと適当な結論を付けて、インチキ自然商品を売りまくった者達である。
だが、罪を憎んで人を憎まず。「彼らに経皮毒が訪れよ」と呪うのはやめよう。
経皮毒は、繁殖力が凄いのだ。

参考:
日本家政学会誌vol.61 P.511~516『安全性・環境問題に関する消費者情報の課題』(大矢 勝)

※画像はイメージです。

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