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グリーンマンは、本当に緑だったのか

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アメリカはペンシルバニア州ピッツバーグに、「グリーンマン」と呼ばれる人物の伝説がある。
少年時代、彼は電柱に作られた鳥の巣を覗こうとして登り、電線に接触して感電、地面に叩き付けられ、目、鼻、口、片耳、片腕を失った上、感電のショックで肌が緑色になったという。

ガンマ線を浴びたならともかく、電撃程度で肌が緑色になるというのは、俄には信じがたい事だ。
だが、この「グリーンマン」伝説は、事実に基づいた都市伝説だという。

目次

グリーンマンの正体

「グリーンマン」または「顔無しチャーリー」と言われた男の正体は、レイモンド・セオドア・ロビンソン(1910~1985)である。
彼は8歳の時、伝説同様、感電によって負傷し、目、鼻、右腕を失った。大人になった彼は、親戚の家に住み、財布やベルトを作る事を仕事とした。
彼は、好奇の目にさらされる事を嫌い、夜の散歩を習慣とした。

散歩コースは、ペンシルバニア州道351号線。ここを夜間、杖をつきながら歩いたのである。時に自動車に轢かれる事もあったが、散歩は彼が晩年になるまで続いた。その後、ビーバー郡老人センターに入所し、75歳で亡くなったという。

人目を好まなかったとはいえ、この「夜の散歩」の最中、誰にも目撃されなかった、という訳ではない。
その風体に興味を持つ者が関わって来る事もあった。
彼は、ビールやタバコと引き替えに、ちょっとした会話や写真撮影に応じる事もあったという。

つまり「グリーンマン」とは、不幸な事故で障害を負いつつも、自分の気に入った習慣を少々頑なに続けただけの、どこにでもいる、有り触れた男だったのだ。

人の肌が緑になるとき

さて、本題に入ろう。
彼の正体は分かったが、「グリーンマン」の方が解決していない。
どういったメカニズムで、彼が緑の肌になってしまったのだろうか?

彼の伝説は、日本語のサイトに情報が乏しいのだが、英語版ウィキペディアには、きちんと写真付きで項目が作られている。だが残念ながら、掲載された写真は白黒なので、彼の肌色は分からない。

ただ、その色味は白く、濃い緑ではあり得ない。
そもそも「緑の肌」に言及している項目は「LEGACY(伝説)」の項目に1箇所のみである。
結論から言えば、彼の肌は、別に緑ではなかったのである。

だが、火の無い処に煙は立たない。立つ事もあるが確率的には低かろう。
さてさて、何故、彼の伝承に「肌が緑」という情報が付け加えられたのだろう。都市伝説の伝達者の何が反映されたのだろうか。

一般的に皮膚の色は、皮膚組織の色と、それを透過した血液の色で決まる。
皮膚は基本的に透明に近い色であり、メラニンによって黒が加わる。通常、緑の要素はない。
では、血液の色はどうだろう。
生物の血は必ずしも赤だけではない。イカやカニなどは青い血である。青は比較的緑に近い。
彼らの血が青いのは、鉄を含むヘモグロビンの代わりに、銅を使うヘモシアニンが含まれている為である。
鉄は赤い錆が出るが、銅は緑青が出る事を考えると、理解しやすい。

では、人間に銅を摂取させて、ヘモシアニン青血球を作れば、比較的緑に近い青い肌になるのでは?
それは難しい。
先に銅過剰症で腎臓が損傷し死に至る、端的に行って毒として作用する。

電気のショックぐらいで肌が緑にはならない、というのが結論であり、伝説として伝わる中で追加された要素だろう。
尚、ゲーム、ストリートファイターシリーズに登場するブランカ(実写版:チャーリー)が、電気を発する上に緑色だが、彼の肌色は「塗っている」という公式見解が出ている。

たぶんグリーンマン?

文化的位置づけ

緑は事実に基づいた色というより、文化に基づいていると考えるべきだ。

人の血は赤であるが、その反対側の色、すなわち補色は緑である。
この色の違いは「人と対極の存在」という暗喩となるため、モンスターやゾンビなどの表現に、「緑の血」が使われやすい。プレデター然り、ガメラ然り、ホヤ然りである。
このため、レイモンドを「化物じみた存在」とする噂話に入り込む余地はある。
「血」ではなく「皮膚」なのは、彼のエピソードが平和なものばかりで、流血の物語まではでっち上げられなかったからだろう。

他の考えとしては、森の色がある。
ペンシルバニア州道は、ローレンス郡とビーバー郡にまたがる27.7kmの道だが、その大半は農場や森である。
「顔無しチャーリー」を求めてうろついた輩が、見つからない、または怖くなって早々に逃げ帰った理由として、
「森に上手く隠れる、葉っぱに紛れる緑色をしている」という噂を付け加える事も充分考えられる。

レイモンドが森の妖精と同一視された場合もあり得る。
ヨーロッパでは、森の樹木の擬人化として、葉に覆われたり葉に顔が浮き出たような、「葉の仮面」という彫刻がしばしば見られる。
この彫刻を研究したレディ・ラグランが、1939年の論文内で付けた名前が「グリーンマン」である。

緑の肌に「見せる」には

しかし、本当に彼が「電撃による落下事故によって緑の肌」に「見せる」可能性は残されていないのだろうか?

肌が実際に緑になる事は難しい。だが、実際に緑ではなくても、「緑に見える」事はあり得る。
例えば、落下時の衝撃で、頭蓋骨にヒビ、即ち「隙間」が出来た場合。
当然脳波は、遮るものが少なくなり、より強く放出される。

これは、神秘主義的発想でしばしば行われる穿頭(トレパネーション)と同じ状態である。穿頭は、古代ギリシャのヒポクラテスが言及し、近世ヨーロッパまで続けられていた処置で、20世紀に入ってもアマンダ・フィールディングなどの手によって行われた。
事実上、近代医学と言っても、過言ではあるまい。広い意味では。1つの考え方としては。

彼の頭蓋骨が良い感じに開いた事で、ある種のテレパシーが、近隣の感受性の強い人間に作用した。
レイモンドには「人に見られたくない」という思念を抱いていた事は間違いなく、その手段として「草木に紛れたい」という考えも浮かんだろう。
これにより、目撃者の一部には、レイモンドの姿が「草木に紛れた状態」に見え、それを理解した時「肌が保護色であった」という合理的解釈をした。
納得した事に、遡って記憶を合わせるという操作は、当たり前に行われている心理的操作だ。
こうして、レイモンドの肌は「緑色に見え」、それが数多ある噂の1つに加わったのではなかろうか。

だが、既にレイモンドは既にこの世にない。今となっては全ては藪の中、否、森の中である。

参考:
ウィキペディア「Raymond_Robinson_(Green_Man)」

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