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大物主(オオモノヌシ)という神

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日本神話である『古事記』に、他の神と異質で不思議な神がいる。
その神は、オオモノヌシと言い、神でありながら蛇や矢として登場し、また、魂という概念的な姿で現れている。
その出現する時代背景は、多岐に渡り出現するとおもうと、またしばらく姿を消すと言う神なのだ。

他の神と同神だという見解もあり、否定説もあると言うその存在すらよく分かっていない全く不思議な神は、いったいどのような神なのか?

目次

オオモノヌシが住む場所

大物主神はオオモノヌシという読み、偉大な畏怖されるもの・魔物の主という意味合いを持つと言う。
大国主神(オオクニヌシ)が、国造りを行っている際に、相棒の少彦名神(スクナヒコナ)が常世の国へ帰ってしまった。

落胆しているオオクニヌシの前に御諸山の神として海上から現れ、「吾を倭の青垣、東の山の上にいつき祀れ」といい、三輪山に祀らせオオクニヌシの国造りに協力したと言う。
日本書紀には、オオクニヌシの「幸魂(サキミタマ)・奇魂(クシミタマ)」だと名乗っている。
御魂とは、神霊・祖霊であり、形無き魂であり、霊魂である。
こうして、オオモノヌシは、三輪山に鎮まられたというのだ。

オオモノヌシを祀る神社

オオモノヌシを祀る神社と言えば、神話から所縁がある、代表的な三輪山を御神体とする大神神社だろう。
大神神社は、古くから神様の中の大神様として尊ばれ「大神」を「おおみわ」と読ませている。
この山を神と崇め、社殿を持たない神社は、原初の古い神祀りの姿だと言う。

また、香川県琴平町の象頭山に鎮座する神社である、金刀比羅宮も主祭神として祀られている。
これは、保元の乱により讃岐国へ流された崇徳天皇が、象頭山中腹に鎮座する金刀比羅宮を日夜崇敬していたという。
崇徳天皇が朝廷を恨みながら崩御される前年には金毘羅宮に参籠し、荒行をしたと伝えられている。

蛇神であるオオモノヌシ

オオモノヌシが「神様の中の大神」として尊ばれていることには、どんな歴史的背景があるのか。
古事記によると、オオモノヌシは国津神であるとともに、蛇の姿であるという。
セヤダタラヒメが厠で用を足しに来る頃を見計らって川の上流から流れて行き、彼女の下を流れていく時に陰部を突いたとある。

その矢が素晴らしい男神であるオオモノヌシの姿になり、二人は結ばれることになった。
矢が突くは、交わりを意味し、その娘は、ヒメタタライスケヨリヒメと言い、初代神武天皇の后となったのだ。
また、崇神天皇の時代、国家存亡の危機にあったのだが、オオモノヌシはその天皇の夢の中に出てきて神託をしている。

オオタタネコという者に我が御魂を祀らせれば、神の気起こらず、国安らかに平らぐ、と言うのだった。
崇神天皇がそのようにすると、天変地異も疫病も収まったとされる。

オオモノヌシの正体

オオモノヌシは、多くの時代を多様な姿で現れて神を助け、時には厳しく関わっている。
その素性は、あまりにも不思議でならない者ではあるが、共通して言えるのは、大きな力を持つ国津神であるということだ。そして、その神は一つではない、複数のオオモノヌシがいて、その時代背景で主となる人物に関わってくるのだと推測できる。

オオモノヌシこそ、神の名前ではなく、役職名もしくは家柄・豪族の集合体の長、様々な神と同一視されていることから、称号らしきものだったのか。

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