2026年4月13日の「ITmediaビジネスオンライン」記事によれば、不動産の「オバケ調査」を行う会社があるという。
賃貸の部屋で自殺者が出たり、幽霊が出たりという「事故物件」は、通常嫌がられ借り手が付かない。それを補うためには、家賃の値引きなどが必要となり、不動産価値は大きく落ちる。
同社はここに目を付け、事故物件などに泊まり込んで「オバケ」について調査し、不動産価値を維持できるよう対処するという。
面白い発想のサービスであるが、ある種の霊は「出て欲しい」と願っている人の前には出ないという話もある。
オーナーが提示する、同社の「異常なし証明書」をそのまま信じ、無事故の家賃と同額で部屋を借りるというのは、正しい判断なのだろうか?
オバケ調査とは
まず、オバケ調査とは具体的にどういうサービスなのか説明しておこう。
あくまで記事の会社の業務内容であり、同業他社のそれと同じとは限らない、というのは強調しておく。
オバケ調査は、オーナーまたは入居者の依頼に応じて調査員を派遣し、22~6時までの間泊まり込み、映像・音
・電磁波・サーモグラフィー・温度・湿度・風力・大気圧を測定し、「オバケ」の存在を調査する。
同社が言う「オバケ」とは、幽霊だけでなく、ラップ音やポルターガイストから、家鳴りや近隣の交通に伴う振動まで、住人が「原因の分からない不気味な事象」と感じる全般を網羅するものと定義している。
これらの調査で、何も異常が発見出来ない場合、同社から「異常なし証明書」が発行される。
この「異常なし証明書」は、「事故物件だけど、オバケは出ないので、家賃は下げません」という主張の根拠となる。 「異常なし証明書」は、ただの証明書ではなく、保証書としての意味もある。その後「オバケ」が出た時は、借り主が同社から懸賞金を貰える事になるのだ。
一方、異常が存在しながら、理由がはっきりしない「不思議な現象」要件に合致した場合。
同社は、オーナーに「オバケのいる部屋」という部分を付加価値にして運用するよう提案する。場合によっては、同社が借り上げる事もある。
例えば「オバケが出たら、入居者が懸賞金を貰える部屋」といった懸賞付きで入居者を募るものである。オバケが出ない限り追加の出費はないから、一律に家賃を下げる従来の方法より、オーナーに都合が良くなりやすい。
入居者からの依頼で本当に「不思議な現象」があった場合は、同社から程度に応じて異なる額の懸賞金が進呈されるという。
オバケに会いたくないから使う?
お気づきだろうか。
この会社のサービスは、オバケを追い払うものではないし、オバケが出ない事を保証するものでもない。
ただ、懸賞金による補償が約束されているだけだ。
あなたがオバケに出会いたくないと強く感じながら部屋を探している時、「異常なし証明書」はあなたの期待を叶えてはくれない。
無論、あなたが「オバケ」を物理的な存在と考えているなら、話は少し変わってくる。
現在、同社の調査は、映像・音・電磁波・サーモグラフィー・温度・湿度・風力・大気圧 の8項目を対象としている。
大半は超常現象以外を計測するためのものと考えるべきだが、物理的なオバケなら質量があり光も反射するため、空気の動きや映像に記録が残る筈で、存否の証拠になる。
逆に、「オバケ」精神的な存在であり、人間の意識によってしか認識出来ないのであれば、これらの項目は全く無意味で、唯一、その場に居合わせた調査員の感覚しか頼るものはない。
同社社長は霊感が感受性皆無という訳ではないようだが、あなたより鋭いかは分からない。
そして、あなたにピンポイントに恨みを持つ者が死に、彼彼女が遺した家に住みたいと考えて、オバケ調査をするという場合、なおさら希望通りにはならないだろう。
恨みを持つ者は、あなたにしか祟らないため、第三者の調査員が行っても、姿を見せない可能性は極めて高い。
オカルト物件との付き合い方
だとすると、オカルト物件に住むのは難しそう、と考えたのだとしたら、ちょっと待って欲しい。
人類は既に、事故物件、オカルト物件との付き合い方を知っている。
古来、家は量産出来るようなものではなかった。
世代を超えて改修しながら使い続ける、一族の財産であった筈だ。
湿気の多い日本でさえ、古くから100年単位で残る建築物は存在する。当時の寿命を考えれば、1代で住み潰すような造りではない。とすれば、そこで亡くなる人は当然存在した。
惜しまれて看取られた者ばかりではない。間引きによって生まれた瞬間に死んだ子も、まともな治療が受けられず病にのたうち死んだ者もいた筈だ。だが、人は同じ集落の同じ家に住み続けた。そうする他に、仕方がなかった。支配階級でない限り、そういう者が大半だったろう。
それが仮に激しく祟るのであれば、人類は早々に滅んでいる。
オカルトとの付き合いは、先人に倣えば良い。
死んだものは儀式によって供養すれば良い。それでほとんどが落ち着く。
それでも祟るものは、神に祀ってしまう。小人閑居して不善をなすというのも何だが、悪霊をやっているより、神にした方が仕事に追われ恨みを忘れるものだ。
その他、南無阿弥陀仏を唱える、線香を焚く、十字を切る、塩を盛る、清め効果のあるラベンダーのアロマを焚く、エッチな事をして生命力で圧倒する、あなたが何となく納得出来る宗教儀式を何でも試せば良い。
儀式、儀礼はオカルト存在を抑えるだけでなく、文化に食い込む禁忌意識も和らげる。これにより、あなたの精神面のストレスも解いてくれる。
科学的根拠がない、と考えるかも知れないが、科学はいつでも現実の後追いだ。それまで置いておく一時保管庫が、オカルトなのだ。
オカルト現象との距離感
オバケ調査は、物理現象による不安のみ解消してくれる。そしてその本質は、物件の価値の維持であって、本物の悪霊対策ではない。
そして、悪霊などのオカルト現象に伴うダメージを回避、解消するのは、あなたの心によるところが大きい。
心をコントロールするに足りるオカルト技術を身に付けた上なら、事故物件も選択肢に入ってくる。
舐めてかかるのではなく、適切に畏れる事が重要である。
※画像はイメージです。


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