最も有名な日本の神様はと聞かれると、様々な神様がいるが、日本の最高神は誰かと言えば、アマテラスこと天照大御神(アマテラスオオミカミ)である。
日本の神社の中でも最高位と言われる伊勢神宮内宮に祭られる女神とされている。
しかし、そのアマテラスも神生みの後の禊によって生まれた神であり、それ以前にも神は存在していたはずである。
アマテラスが本当に最高神だといえるのだろうか?
アマテラスと並び立つと言われ、神話に時々登場する神、高皇産霊尊(タカミムスビ)という神がいるが、その神は大きな権力と神々にに対する指示を行っているのだ。
もしかしたら、タカミムスビこそが、最高神だったのではないだろうか。
タカミムスビという神
名の意味は、「たか」「み」は美称、「むす」は生み出すや生ずること、「ひ」は霊威の意という。
総じて生成力の神格化といえ、何かを生み出す力がある神、むすひを結びとして、縁を結ぶという神力がある意味も込められている。
神話『古事記』には、アメノミナカヌシ・カミムスビと同じくして『造化三神』とも称される。
天地開闢・天地初発の時に、高天原に出現した別天神として名があり、独神という男女の無い神としており、そしてすぐに身を隠したという。
それ以降、他の2神は身を隠したままほぼ神話には出てこなくなるが、タカミムスビは比較的登場しているのだ。
神話上で重要な場面で登場する神
タカミムスビは、極めて重要な場面で登場している。
まずは国譲神話には、タカミムスビは特に孫のニニギを可愛がって大切に育て、ニニギを葦原中国の君主にしようと考えた。
そこで、騒がしい葦原中国を平定するために神を派遣させるようにと、神々を集め会議をしたというのだ。
この時点で、神を集め指示しているあたり、アマテラスよりも上の人物ではないかと見える。
高御産巣日神が「もし高天原に叛く意志があるならこの矢に当たるであろう」と述べて投げ返すと、矢は天若日子を討ったという記述もある。そして天孫降臨の時、葦原中国の平定が終わると、タカミムスビは眞床追衾(マトコオフスマ)を皇孫のニニギに着せて天降らせたという。
眞床追衾は、天津神の直系であることを象徴するものとされ、そのような重要なものを預けるのがタカミムスビなのだ。
最後には、神武天皇東遷時の場面、即位前の神武天皇が熊野から大和に侵攻する場面で神武天皇を助けた高倉下(タカクラジ)の夢にタカミムスビが登場する。
枕元に現れたタカミムスビは、『剣を高倉下の倉に落とし入れることにした。お前は朝目覚めたら、天津神の御子に献上しろ』と、夢でも重要な剣を自分で預けたりすることができるのだ。
このように、決定権や指令権が与えられている神は最高神といっても過言ではないのではないかと思われる。
大和王権の守護神だった?
タカムスビは、古くからの天皇守護のための神々である『御巫八神』の筆頭と言われている。
『御巫八神』とは、現在は皇居にある宮中三殿の1つ合祀されている、天皇守護のため祀られる8神のことを指す。
ここに、アマテラスは含まれておらず、古代には宮中に高祖神として祀られたことはないという。
大和王権が樹立し、各豪族との連合によって太陽神であり最高神としてあがめられたアマテラスであるが、崇神天皇の時代には、大物主の神託により伊勢に宮中から出された。
これはどういう意図があったのだろうか?
アマテラス以前の皇祖神は、古くは天皇家となる前の大王家の至高神であったという説もあり、タカムスビの系譜にアマテラスが連なっているということもあり、間違いなく、日本の祖神だったのではないだろうかと考える。
featured image:玉蘭斎貞秀, Public domain, via Wikimedia Commons


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