科学の行く末に、タイムマシンが発明されるのか?

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今年の春枠でアニメ『ドクターストーン』が大団円を迎えた。
ネタバレを防ぐため伏せ字にしておくが、最後は「かつての人類が到達していない大発明」である「タイムマ●ン」のロードマップを提示して終わった。

科学の素晴らしさを主題とした物語の最後をオカルトにしたか、という第一印象だったが、この第一印象は合っているのだろうか。

記事内に若干のネタバレがありますので、ご注意下さい。

目次

タイムマシンはファンタジー?

タイムマシンと一言で言っても、イメージはそれぞれだ。
そもそも人類は時間が何であるかすら、はっきり定義できていない。
そして「この原因があって、この結果がある」という「因果」は、時間の流れに沿っているのか、というのも曖昧だ。

ここに入り込むと進まないので、今回はざっくり作中で目指していたところの
「何かを過去に送り、過去の物事を変更させられる装置」
を、タイムマシンとしておこう。

送る「何か」は人間や物とは限らず、情報でも良い。

送った情報によって過去の人間が行動を変えれば、過去の物事を変更できる。
大前提として、このタイプの過去を改変するタイムマシンは、タイムパラドクスという矛盾に到達するため、存在が否定される。
過去の事故事件を回避するため、タイムマシンで介入した時、その過去の事故事件は介入によって発生しなくなるが、そうなると過去に行くという行動の動機そのものが発生しない。
というタイプの矛盾である。

これに整合性を持たせたのが「過去に介入した時点で世界が分岐する」という理屈である。
だが分岐説を取った場合、タイムマシンは「時間を行ったり来たりする」という本来のイメージと違う、ただ他の世界に行ったきりの中途半端な機械になる。
何度も言及しているが、タイムパラドクスは、タイムマシンが存在出来ない事を証明したものであって、タイムマシンを使う時の注意事項ではない。

その意味で「過去改変出来るタイムマシン」が出た時点で、その物語はオカルトかファンタジーになる。

タイムマシンを実現させるもの

ドクターではなく浮きもしない石

では何故、科学を扱うドクターストーンにタイムマシンを出したのか。
それは「石化装置メドゥーサこと機械生命体が、重力制御機能を持つ」というその1点である。

重力と時間の関係は、割と直接的に繋がっていると考えられる。
当方、物理の徒ではないため、詳細な解説は出来ないが、重力は「時間の歪み」と考えると理屈に合うのだという。
重い重力は空間の時間をぎゅっと縮めるため、その空間を抜ける「必要時間」が長くなる。
通常の空間を抜けるのと同じ時間で通り過ぎるためには、「スピードを上げる」必要がある。
必要なスピードは、重力が大きくなるほど増やす必要がある。

この重力を極限まで大きくすると、時間は停止し、限界の速度である光速も意味をなさず、脱出不可能なブラックホールとなる。こう考えると、初手で重力制御技術に到達しているなら、確かにタイムマシンは作れそうに見える。
というか、作れて当然、主人公らは作れる事に気付いて当然である。

だが、逆にこう考えるべきだ。
そもそも重力制御が出来ると、時間操作ができてしまう事になるから、重力制御も実在出来ないと。

機械生命体が重力制御能力を持つ部分が取って付けたように見えるかも知れないが、むしろ、重力制御が標準機能で、石化機能は後発的なオプション機能の可能性の方が高い。

生殖能力を持たない機械生命体が、宿主を見つけるためには、何はなくとも移動能力が必要だからだ。
この作品はつまり、石化装置にオカルトを集中させ「それが存在するならどうなるか」と、SF手法を辿ったが故の、「タイムマシン」だったという事だ。
1つだけ嘘を混ぜて、周囲は現実で作り込むというのは、実にハードSF的で好ましい。

過去改変≠タイムマシン

では、重力制御技術から作られたタイムマシンで、過去改変は出来ただろうか。
出来ない、と考えるべきだろう。

時間を停止させるところまでは進められるだろう。
だが、その停止を破ってマイナスにするのは、同じ方向性にあるように見えない。
温度の絶対零度の如く、停止で終わる未来しかなさそうだ。

これを破るには、光速を超えるスピードを出すとか、虚数方向に進むとか、そういうこの宇宙空間の外側にアクセスする必要が出るだろう。
この宇宙の物体である我々には、触れる事も認識する事も出来ないかも知れない。

こういうものになってくると、オカルトの箱に入れてしまって、とりあえず「ふしぎなもの」としておくのが精神衛生上よろしい。
こういうオカルトに保管しておいたものが、未来の世界で科学で解き明かされるというのは、「アイデアのタイムトラベル」と言えなくもないだろう。

参考
・TVアニメ『Dr.STONE』公式ページ
・琉球大学 第10講 重力と「時間と空間」—リンゴはなぜ落下するのか

※画像はイメージです。

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