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妖怪ぶつかりおじさん伝説は、どこへ行くのか?

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日本には、「ぶつかりおじさん」なる妖怪が実在するらしい。
SNSによると、中年以上の男性の姿を取り、妊娠中の女性を中心に、体当たりしてくるらしい。

妖怪の中には、かまいたちの1匹目のように、衝突して人を転ばせるものも存在するが、このぶつかりおじさんはどのようなものなのだろうか?

目次

ぶつかりおじさんの定義

まず、ぶつかりおじさんの定義を考えよう。

中年ぐらいの男性の姿をして、人にぶつかる

以上である。

だが、これでは偶然ぶつかってしまった中年男性は全て当てはまってしまう。
「中年」もまあまあ曖昧な語句だ。
もっとも、今や「おじさん」は、大人の男に対する蔑称と認識されているので、年齢的な意味は薄いと考えた方が良い。

一昔前は「オヤジ」がその位置にあったが、語句は時を経る毎に、品格が落ちていくのは歴史的事実だ。
そして「ぶつかる」というのが、袖が触れ合う程度なのか、正面から当たって弾き飛ばす事なのか、偶然にかすった場合も当てはまるのか、曖昧すぎる。
袖が振れる程度まで該当するなら、満員列車に乗った事のある成人男性は、すべからくぶつかりおじさんと呼ばれるべきだ。

この典型とされる事件が2018年の「新宿駅タックル男」であり、YouTube上に動画が存在する。
この動画はかなり引用されている。
他に、私人逮捕系?と思われるYouTuberが、警察に突き出しているパターンもあった。

これらのコメント欄やSNSには、「私もやられた」という報告も多い。

木を見て森を識ったと思う勿れ

だが、である・・・この話、少々違和感がある
証拠動画が、どうにも少なすぎるのである。
語句を定めるほど頻発する事なら、もっと様々な動画がある筈ではないか。

ぶつかりおじさんは、意図的に相手にぶつかっているのだから、頻度×人数の分だけ録画される可能性がある。
痴漢のように隠れてやっているのではない。白昼堂々とぶつかっているのだ。

1度の「ぶつ活」で、数人程度ぶつかっているらしいので、更に多くなる。
SNSが盛り上げているというのも、かえって違和感を増す。

SNSは、事実を書く義務はない。
勘違いや思い込みもあれば、注目を浴びたいために嘘を書く場合、善意で伝聞を書き込む場合もある。

1つの書き込みを見た後「どうやら」と、自分の言葉で語れば2つの書き込みになる。
更に、盛り上げるため、ライターに1本10円でツイートさせても良い。そういう仕事が実在するのは事実だ。クラウドソーシングサイトを覗いて見ると良い。
最底辺ライターの相場は、1文字0.1円未満だ。

何、人を雇う事もない。AIとマクロの複合でニュアンスだけ変えた同じ書き込みを、無数に流し続ける事も可能だ。
今回の件が「そう」というより、そういう事ができる時代であると認識すべきだ。
1つの事実があるからといって、付帯する全てが本当とは限らない。むしろ、一片の事実を混ぜるというのは、嘘を吐くテクニックですらある。

結論からすると、「ぶつかる男」は実在する人間である。

それは動画から明らかだ。
フェイク動画の可能性はゼロではないが、そこから先に踏み込むのは流石に不毛だ。

彼の目的は、痴漢か、ストレス解消目的の暴力、「相手が避ければ良い」という精神で絶対に避けない結果ぶつかる、傍若無人系の輩も含まれるだろう。
だが、ぶつかる事を目的として「ぶつ活」を繰り返す「ぶつかりおじさん」は、イメージよりも遥かに少数であり、証拠を伴わないSNSフォロワーの報告は、信憑性が薄い。

だが、この「ぶつかりおじさん」が、定着しつつある事も確かだ。
これは、都市伝説や妖怪伝説が定着するプロセスとも似ている。
故に冒頭、「妖怪」と呼称したのである。

スネにぶつかる猫

膨れ上がる、妖怪ぶつかりおじさん

何らかの振る舞いで認識された「ぶつかり男」が、「ぶつかりおじさん」という噂となり、各地で虚実混じりながら発生が報告される。

いつしかそこに、具体的な定義がされ、

  • ぶつかり女
  • ぶつかり若者
  • ぶつかり電柱
  • 単なる乱暴者
  • 通り魔
  • 逆にぶつかられてキレた人

など、全ての「ぶつかり」が「妖怪ぶつかりおじさん」に集約していく。

これは伝統的な妖怪物語の発生原理と似ている。例えば、狸や狐が人を化かすという伝説も、この構造だ。
特徴がはっきりして、山と人里の境界で目に付きやすい狐狸は、それ故に山で生じるあらゆるトラブルを背負わされ、それを総じて「化かす」ものと認識された。

「狐の七化け、狸の八化け」というが、これこそ多数の伝説を統合した証左だろう。狐狸が人前で連続で化けて見せた伝説は、ごく僅かだ。

一反木綿伝説も同様だろう。
一反木綿は、風に飛ばされた褌か反物が元になったと考えられる。
一方、強風と共に飛ばされた布が、人に巻き付き、薙ぎ倒した事もあるだろう。この事例が広まる中で、一反木綿に攻撃性が付与される。飛ばされたビニールハウスのビニールが目撃され、「透明になる」という性質が足される。

雪だるま式に話は広がっていき、ついに原型をも留めぬ妖怪伝説となるのだ。
何年か後、ぶつかりおじさんに、どのような属性が付与されていくのか、恐ろしくもあり興味深くもある。

参考
・FNNプライムオンライン「【独自】恐怖“ぶつかりおじさん”画像入手!「いつもぶつかりやがって」言いがかりつけ急に暴行…被害者は全治2週間のけが 殴られ鎖骨骨折の女性も JR田町駅前」2024年10月25日
・YouTube「新宿駅で女性にだけぶつかる最低男」2018年5月6日

※画像はイメージです。

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