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「もったいないお化け」は、PC譲渡会を開くか

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PC譲渡会という、イベントが存在するそうだ。
文字通り解釈するなら、誰かの用途に合わなくなったパソコンを、それでも欲しいという人に譲るイベントである。
ロクに動かないOSを積んで体裁だけ整えるとか、品薄を煽って値段を釣り上げるとか、そういう問題がないなら廃品を有効活用できる大変結構なイベントだ。

もったいないお化けもニッコリであろう。
今回は、この「もったいないお化け」の話である。

目次

もったいないお化けの由来

「もったいないお化け」は、ごく新しい時代に作られた妖怪である。
具体的に言うと、1982年に公共広告機構(現、ACジャパン)が作成したテレビCMが初出とされる。

内容としては、『まんが日本昔ばなし』とスタッフがかぶる、かなり似た雰囲気のアニメ。

昔、和尚さんが子供達を招いて食事を振る舞ったところ、子供達は「大根嫌いじゃ」「豆嫌いじゃ」と、膳の中から自分の嫌いなものをつまんで捨ててしまった。
するとその晩、大根や豆の顔に着物姿のお化け達が現れ「もったいねぇ」「もったいねえ」と、子供達を囲んで怨み言を言い続けた。
翌日、子供達が和尚さんにそれを話すと、「それはもったいないお化けだ」と説明され、以降、子供達は食事を残さず食べるようになった。

という、食育の内容である。

子供にも伝わり易い内容だったため、アラフィフ以上の年代で、強烈に覚えている人も多いだろう。

このCMは90年代まで放送された上、2004年のワンガリ・マータイ氏の「モッタイナイ」ブーム、2013年のauの「モッタイナイおばけくん」など、再注目される機会があったため、より若い世代にも認知されている筈だ。

もったいないお化けの元ネタ

さて、このもったいないお化け達の姿は、着物を着た人の身体に、それぞれの物を頭部にした絵である。
これは『陰陽雑記』という絵巻物に描かれた付喪神達と同じフォーマットだ。
偶然似たのではなく、意図的に似せた、または、子供向けにアレンジしたと言って良い。

製作スタッフは、まんが日本昔ばなしと共通しており、民話や伝承、妖怪変化の知識を多数持ち合わせていた筈なので、『陰陽雑記』についても、当然知っていただろう。

付喪神は、「九十九神」と書いて、持ち物を99年(または100年)使うと霊力を得て化ける、というパターンがあるのだが、この『陰陽雑記』の付喪神は違う。
99年よりも遥かに前に、「まだ使えるのに捨てられてしまった」道具達が、恨みを抱いて妖怪変化となり、人に祟るものだ。どちらが正しいという話ではなく、「物が命を持って動く」という結果は同一で、経緯や意味合いが異なると思えば良い。

99年を生きた場合、その長い年月で持ち主の気を受け取り、八百万の神々の末席に仲間入りする程の力を得た状態。
粗末に扱われた場合は、最初から微かに存在したその道具の魂が、怒りにより未来の可能性を全て投げ打ち、恨みを晴らす瞬間だけでも付喪神並の力を得ようとした状態。端的に換言すれば、ゴンさん状態だ。

無論、もったいないお化けは後者である。

おむすびのもったいないお化け?
おむすびのもったいないお化け?

パソコンは化けるのか

CM映像を改めて見てみると、もったいないお化けは子供を怖がらせはするが、子供達の肉体は傷付けていない。
元が食べ物であるから「食べてくれよ」という気持ちが溢れているだけなのだろう。
だからこそ、何となく愛嬌や憐れみが感じられ、「もったいないお化けが出るような事をして悪かった」と、自分の行いを素直に反省しやすいのだ。

尚、罰がヤバすぎて共感されにくい典型は、手塚治虫の火の鳥である。

翻って、パソコンはどうだろう。
パソコンを「本当に壊れるまで使った」人は、どれぐらいいるか。
現在のパソコンはネットワーク端末の1つとしての要素が強く、「使える」状態と機械的寿命が一致しない。
新たなOSにはスペックが足りず、古いOSのままではセキュリティ上問題があるので、捨てる事になったというパソコンも多い。

Windowsの動くPCならxpと7、7と10の切り替え時を覚えている人もいるだろう。
そもそも、ソフトウェアアップデートも、今までのままでも使えたのに、新たなものにソフトが差し換えられる現象の事がある。

絵画の妖怪もいるのだから、ソフトが化けても何らおかしなものではない。
そんなまだ動くパソコンやソフト達が捨てられた時、やはり無念を感じ、もったいないお化けになるだろうか。
食べ物よりも、遥かに「なりやすい」と言わざるを得まい。

もったいないお化けは、心が作る

ここまで、必ずしも架空の話をしていた訳ではない。
妖怪は、物理的に実在していなくても、感情に影響を与え決断を左右する。キツネ憑きのように、信じる心が人を操る、そういう場合もある。
捨てられるパソコンにもったいないお化けを感じ、その強烈な無念に当てられ、あらゆる手段を使ってでも次の持ち主に渡さねばならない、そういう強迫観念に捕らえられた人もいるのではないか。

一部のパソコン譲渡会の開催者に、もったいないお化けに憑かれた者が紛れる事は、あり得るだろう。
来客も、もったいないお化けに当てられ、「大枚はたいてでも持って帰らねばならぬ」と、精神に影響を受ける可能性は充分あり得る。

中古パソコンを手にする時は、くれぐれも気を付けるべきだ。
気軽に使い捨てをしていると思っても、あなたの深層にある「もったいないお化け」は、突如牙を剥くかも知れないのだ。

参考:
ACジャパン広告作品アーカイブ「もったいないお化け」
京都大学貴重資料デジタルアーカイブ「挿絵とあらすじで楽しむお伽草子 第5話 付喪神(つくもがみ)」

※画像はイメージです。

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